ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 とあるブログで

「フルメタルパニックやブギーポップのような黎明期のライトノベル」

 って書いていて、ひっくり返りそうになりました。
 えーっ、フルメタルパニックが黎明期!? つい最近じゃないか!! それ以前にライトノベルは無かったとでも言うの? ロードス島は? スレイヤーズは? オーフェンは? あかほりの諸作品は? 妖魔夜行は? タイラーは? ソノラマ文庫も忘れてはいけない!なんといっても笹本祐一だ! 安芸一穂とかも面白かったよ!
 そうか、若い人は知らないのか。ますだは年寄りになったんだな……

 だが、昔からライトノベルは有ったのだ。
 ライトノベルという言葉が普及するよりも遥かに前から。
「それはライトノベルじゃなくてジュブナイルSFだろう?」という意見もあるが、ジャンルは読む人が決めること。古本屋で見かけたらぜひ読んでほしい、きっといまでもライトノベルとして読むことができる。

 たとえばオススメなのは、私が昔好きだった小説、辻真先の「マッドボーイ」シリーズ。
 これはSFでもあるが、「三十年前のライトノベル」だ!
 1980年刊行! でも面白いよ!
 きっとイラストを変えて、文章やキャラに若干の手を入れれば今でも売れる!!

 1巻「謎の戦乱惑星ラア」のストーリーは!
 主人公は「恭太」。ちょっと頭は悪くてお調子者でスケベだが、友情と義侠心にあつい快男児だ! 突拍子もない行動力があるから、友達からは「マッド」と呼ばれている。
 あるとき恭太は謎の美少女ロボット「リーナ」に出会い、異世界「ラア」に召喚される。
 ラアでは「ホワイ軍」「ラード軍」という二つの軍隊(どっちも全員ロボット)が、果てしない戦争を続けていた。
 恭太は持ち前の正義感(とスケベ心)で戦争の中に飛び込んでいく。
 マスコット的な宇宙生物ルファをお供に大活躍、並みいるロボット武将を次々に倒していく。
 もちろんリーナとのラブコメ、ルファとの漫才的なかけあいも欠かさない。
 恭太、ついに追い詰められて万事休す!
 そのとき全てのロボットの動きが止まる。
 「デウス・エクス・マキナ」と名乗る存在が助けてくれたのだ。
 デウスは全てを説明してくれる。
 実はこの世界ラアは異世界ではなく、はるか未来の地球なのだ。
 未来では核戦争により人間は絶滅している。
 脳だけの姿でたった一人だけ生き残ったデウスは、退屈で仕方がないからロボットを作って戦争をやらせていた。だがロボットだけではいつも同じような結果になってしまう。変化を与えるため、過去の世界から恭太を呼び寄せたのだ。
 老人の暇つぶしに付きあわせて済まなかった、と謝罪するデウス。カラッと許す恭太。
 そして恭太はもとの時代に帰る。
 だが!
 帰った恭太は、知っている通りの東京を歩きながら天を仰ぐ。
 すると空を飛行機が低空飛行している。
 翼に日の丸、6つのエンジンとプロペラを持つ、とにかく巨大な爆撃機……
 恭太は驚きもせず、こう思う。

「富嶽だ。もうすぐ大東亜戦争の戦勝50周年記念式典があるから、復元されたんだ」

 当時小学生だった私は、このシーンでガツンと衝撃を受けた。

「ラアは異世界ではなかった!
 主人公が元々いた世界こそ異世界だった!!」
 

 異世界冒険物ではなく歴史改変物だということが最後の1ページで明らかになるのだ!!

 2巻からは「歴史を改変して、核戦争を回避しよう」という展開になる。恭太とリーナはデウスに頼まれて過去や未来を駆け巡る。
 2巻「謎のギヤマン機関」は江戸時代を舞台にしていて、これも面白いが、本当にすごいのは3巻!
 「謎の妖ATOM城」。
 デウスは言う。
 「やはり核戦争を回避するには、太平洋戦争の結果を変更するのが良いようだ。日本を負けさせてほしい。日本は勝つべきではなかった」
 だが恭太は猛反発。いままで一度も見せなかった激怒。彼は「大東亜戦争は正義の戦争。あの戦争で日本が勝ったからこそ、アジアの人々は欧米から独立できた」という教育を受けていたからだ。
(マッドボーイ世界の日本では、ごく普通の教育。大部分の日本人はその思想を受け入れている)
 これまで愛を育んできたリーナが頼んでも恭太は怒ったまま、協力を拒否。
 仕方なく、リーナは自分一人で歴史改変に挑む。
 現代・未来・戦時中を行き来するうちに、「なぜ日本は戦争に勝つことが出来たのか」が解明される。
 この世界の日本も史実同様、敗北寸前まで追い詰められていた。だが土壇場で原子爆弾の開発に成功し、「富嶽」でサンフランシスコに原爆を投下して講和に持ち込んだのだ。 
 日本の原子爆弾研究は史実においてはアメリカより遥かに遅れており、開発に成功する可能性はゼロだった。マッドボーイ世界ではなぜ成功したのか? それも明らかになる。実は未来からの技術だった。デウスの部下であるロボット・オダイ博士が「核戦争が起こらなかったら自分たちが生まれてこないから」、歴史に干渉して日本を勝たせたのだ。己の尾を食らうウロボロスの蛇のように、ロボットたちは「自分の存在する歴史」を生み出したのだ! 
(なお、「富嶽」の開発に成功した理由は不明)
 オダイ博士もリーナと同じ科学力を持っているため、歴史を改変するのは簡単にはいかない。向こうだって未来を知ることも時間を移動することもできる。どうやって、相手の裏をかくか……?

 いっぽう現代にとどまっている恭太は、頑なになってリーナとの心の距離がますます離れていく。
 姉代わりの女性であるキクさん(名前はお婆さんみたいですが若い女性です)に、「日本が正義だとは限らない、日本はハワイに軍事基地を置いて、現地の住民を苦しめている……」などと言われるが、「姉ちゃん、アカか?」と相手にしない。
 ところが、現代の日本政府は気づいてしまう。タイムマシンなどの超科学を持った未来のロボット・リーナの存在に。日本の軍部や特高警察はリーナと超科学を手に入れるため行動を開始する。その行動はどんどん過激なものとなってゆき……一般市民を巻き込んでいき……軍の暴走ぶりを知って恭太の心も揺れる。
 ついに軍は、恭太の家族、友人たちをみんな殺してまでリーナを奪おうとする!
 リーナは赤ん坊を救うためにエネルギーを使いきったため動けない、恭太の家族を救うことは出来ない!
 恭太の家族、友人たち、心を閉ざした恭太を心配してくれたキク姉さんも、骨も残さず死んでしまった……!
 ついに恭太は悟る。自分が信奉してきた国、大日本帝国の正体を!
 血涙を流しながら吼える恭太!

「野郎ども! 敵はでかいぜ! 大日本帝国に殴りこみだあ!」 

 リーナは間違っちゃいなかった。歴史は変えなきゃいけない。「こんな日本」のない世界を作ろう。核戦争など起こらない世界を作ろう……!
 ルファの力を借りて特殊な防弾粘液で全身を包んだ恭太は、並み居る軍隊に徒手空拳で飛び込み、死闘を繰り広げる。
 歴史改変も成功した。リーナが過去に残してきた仕掛けが作動し、原爆研究所が火山の爆発で破壊される。過去数十年の歴史がまるごと書き換えられ、時空のゆらぎが、恭太を、リーナを、日本軍を、すべてを押し流してゆく……

 ここの演出が凄いんです。
 昭和20年の新聞記事が見開き2パージ使って2種類、合計4ページ掲載されていて。

「弐号研究の真価は核爆発 桑港に立つ茸雲 米国降伏す 正義は勝つた」
 
 という新聞記事(本物にしか見えない!)

「聖断下る 道は一つ ポツダム宣言受諾へ」

 という新聞記事が2つ並んでいる。
 この瞬間、「日本が勝った世界」が「負けた世界」に切り替わったのだと、視覚的にわかるようになっている。

 そして、歴史改変後の世界。
 恭太と、この世界では人間として生まれてきたリーナが、ガールフレンドになって仲良く歩いている。
 もちろん、歴史が改変される前の世界のことなんて何一つ覚えていない。あれは「無かったこと」なのだから。
 だが、ある日、空の彼方にUFOを見かける。
 かつてお供にしていた宇宙の超生物ルファだ。
 ルファを見ても恭太とリーナは、「なんだろう?」と不思議に思うだけ。改変前の大冒険を思い出すことはない。今の二人には、核戦争など起こらない平和な世界での、軍が暴虐をなすこともない日本での、幸せな日常が待っているのだ……
 ルファは、名残を惜しむように何度も何度も旋回しながら、空の彼方に消えていった……

 完。

 ああ良かった、すべてうまくいったんだ、と思った読者(私)がページをめくると。

 全世界の核兵器保有数
 アメリカ何全発
 ソ連一万何千発
 フランス何百発


 こう書いてあるんですよ……
 またガツンとやられました。
 主人公たちはあんなに頑張って「今の世界」を作ったのに、また核戦争は起こってしまうのか?
 重い問題提起で終わるんです。
 
 私がこの本を読んだのは、確か小学校高学年くらい。
(刊行されたのは1980年ですが、読んだのは5,6年後ということになります)
 手に汗握って夢中で読んで、「大日本帝国に殴りこみだあ!」のあたりでは涙を流し、最後の最後でまた、胸を締め付けられて……
 一生忘れないほど、感情を動かされた本でした。
 辻真先氏と言えば、アニメの長老、大脚本家。
 でも、「30年前のライトノベル」も書いていたのです。

 「そんな政治っぽいのはライトノベルじゃない」という意見もあるかもしれませんが、現代でも「羽月莉音の帝国」とか「総理大臣のえる!」とか、政治的ネタを扱ったライトノベルはあります。これらの作品を楽しめるならきっとマッドボーイシリーズも楽しめる! 「のえる」シリーズはノリ的に多少近いかもしれない。荒唐無稽でテンポが早くて、熱血行動派の主人公で、ギャグも入っていて、でも根っこのところはシリアスでシビアな現実的政治が出てくるあたり。「面白さの質」が似ている。
 とにかく面白くて、どこかから再刊してほしいな!
 
 いや……その……昔、私はこの本を確かに持っていたんだよ。
 でも何故か、部屋のどこを探しても見つからなくて。
 引越しの時に部屋を空にしたのに、それでも見つからない。
 欲しいなあ……
 ネットで検索したら古本があるな、買うか……?

 そんなわけで、今回の日記は「現物なし」「記憶で書きました」。
 若干の脳内補正が加えられている可能性はあります。

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