ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 こないだの日曜日、「文学フリマ」に行きました。

 「文章同人誌の即売会」です。
 じっさいに文学の同人誌もあるようですが、別にSFを売ったって構いませんし、評論もたくさんあります。
 批評家・東浩紀が次世代の批評家をデビューさせるプロジェクト「ゼロアカ道場」が行われました。同人誌をたくさん売ったら次の関門に進めるんですよ。2chのスレッドが一日で一つ消費しつくされる、ウォッチャー大注目の企画です。興味があったので、フラフラッと秋葉原まで出かけました。評論同人誌を読むのってけっこう好きなんですよ。
 文学フリマは小さな即売会です。即売会全体で机の数がたった7、80、ゼロアカのスペースはそのまたごく一部で小学校の教室より狭いのに、その狭い空間に何百人もぎっしりと……なんだこれ!
 同人誌を買うための列? いや、列も確かにありますが、それより何倍も多いのが「買った同人誌を立ち読みしつつ周囲を観察し、携帯に何やら打ち込んでいる人たち」。
 まさか、これ全員……「実況」!?
 案の定、2chの東スレッドを開いてみたらすごい勢いで実況中継が行われています。「いま何が売れた」とか「ネット有名人の誰々が来た」とか。
 こりゃスレッドが早く流れるわけです。
 作者のキャラクターや人間関係がネタとして消費されてるんですね。
 評論の場合、小説よりそういう傾向が強いかも。
 デビューより先に作者のキャラを立てようというお祭り企画かも。

 で、いろいろ買ったんですが……
 いちばん面白かったのは「最終批評神話」という同人誌。
 MADムービーの人気作家と、エロゲーシナリオライター元長柾木。二人のインタビューが主軸の本です。
 この元長インタビューが、目が覚めるほど面白かったのです。
 まったくオタクではなかった人が哲学を経由し、いかにしてゲームのライターになって独自の作家性を獲得したか、という話にはじまって、常にあっけらかんとした態度で、しかし挑戦的に、インタビュアーの固定観念を砕いていく……
 一番胸を打たれたのは、「セカイ系」に関する元長氏の発言。
 「セカイ系を全面的に擁護する」「キミとボクの恋愛とか、世界が滅亡するとかそういうギミックは余分」「個人の意志が社会なんてすっ飛ばして世界の構造を変革して、その変革が自分に戻ってくるのが本当のセカイ系」「成長物語ではない。成長は社会構造の中で上に上がるに過ぎない。ビルディングス・ロマンは社会に馴致されているだけなのでつまらない」「セカイ系は世界と個人を革命する物語だ。」
 
 ズガーン! と脳天に衝撃。
 なんというカッコよさ。
 そうだ! わが意を得たり! という感じです。
 有名な評論「ゼロ年代の想像力」を読んで、「面白いけど、この人はセカイ系の意味をすごく限定した上で批判していないか?」と思っていたのです。
 私の思うセカイ系とは、「ひきこもりを肯定する物語」とか「少女を所有して癒される物語」なんかではありません。
 「俺は××のことが大好きだから戦う。よしんば世界を敵に回しても、世界を滅ぼしてでも」という「きわめて攻撃的で戦闘的なもの」なのです。
 理論武装や組織化の行われていない「原初の革命」というか。
 「成長とは社会に馴致されることだからつまらない」という発言も熱いです。
 
 まあ、とにかく、いろいろ面白い同人誌がありましたよ。
 変な話ですが、さいきん小説を直接読んでも得られなかった「そうだよな! 物語ってすごいよな!」という熱気を受け取りました。
 

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