ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
こちらです
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こないだ「SFマガジン」で中国SF特集やってたんですよ。
中国を舞台にしたSFじゃなくて中国作家のSFです。 で、中国のSF雑誌「科幻世界」が紹介されていて。 目次を見て……「軽小説」とか「魔法戦士 水野良」とか気になりましたが…… ある一点を見て、びっくり。 小川一水「ギャルナフカの迷宮」が載ってる! 翻訳されてる! えええ!? 「ギャルナフカの迷宮」というのはハヤカワ文庫の「老ヴォールの惑星」に収録されている短編なのですが。どんな話かというと。 「抑圧的な国家。主人公は思想犯として地下迷宮に投獄される。 迷宮の中には犯罪者が大勢いて、食料や水を巡って殺し合いを続けていた。 主人公は迷宮世界を平定し、平等で平和な理想社会を作り上げる。 その後、主人公達は迷宮を脱出する。 官憲が待ち受けていたが、主人公達が理想社会を作り上げていたことに驚き、国家への忠誠心が揺らいで、主人公達を撃てない。主人公達は地上に飛び出す。迷宮だけでなく、きっと国全体を変える事ができるはずだと信じて!」 本当にこういう話なんだって。 これ読んだときの衝撃が忘れられません。 小川一水って本当に左なんだなあって。 「革命の素晴らしさを謳いあげた、左翼小説」以外の何物にも見えない! とくにラストの「国家権力もビビった!」というあたりが。 「革命」でなく「共産主義革命」と限定してもいいでしょう。 主人公が作り上げた社会というのは、まさに共産的ユートピアだから。 「水と食料を、みんなで共有する」から始めるんですよ? 冷静に考えると、限定条件の中でこそ成立する共産主義ですけどね。 迷宮の中には水と食料が供給されますが、増産する手段はないのです。 蓄積する手段もない。だから資本家が出現できない。市場経済が成り立たない。 「共産主義がうまく行くためにはどういう状況ならいいのか?」という思考実験なのかもしれません。 で……これが中国で翻訳されて…… 中国人は何を思ってこの小説読むんでしょう。 いまの中国は、名目上は社会主義国家ということになっていますが、じっさいには資本主義の極悪な部分が天と地ほどの経済格差を生み出し、しかも社会主義の独裁体制によって民衆の自由が抑圧されているという、悪い部分だけ集めたような国です。 いまの中国ほど「本当の革命」が必要とされている国はない。 「ギャルナフカ」が革命の起爆剤になってくれるといいな。 わたしはそんな光景を夢想して胸を膨らませています。 PR |
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