１０年ぶりだ

　今月の収入は１１万円だった。
　とても３０代の収入とは思えない。
　うちの会社って所帯持ちも大勢いるのに、みんなどうやって生活しているんだろう。
　独り者の私も相当つらい。
　ジャンボプリンを我慢したくらいではどうにもならない。
　仕方ない、１０年ぶりに自炊するか。

　某「じゅ、１０年……！？　何年一人暮らししているんでしたっけ？」
　ますだ「１５年ですね」
　某「それで自炊するのが１０年ぶりってどんな人生だよ！」
　ますだ「だって自炊すると変なクソ不味い飯が出来上がって、『珍料理如物体』とか友達にバカにされるんだ！　だから心に傷を負って料理が作れなくなったのさ！　僕は悪くない！　僕は悪くないんだ！　うわあああ！（碇シンジ風）」
　某「ホンモノのシンジ君は成長したのに、なんでこのオッサンは……」
　ますだ「まずはカレーからはじめよう。私が作れる３種類しかない料理の一種なのだ。でもうっかり材料を買いすぎるとタマネギが腐ったりジャガイモが腐ったりする。ジャガイモが腐ったときは本当に大変だった。茶色い粘液になって蛆が大量にわいて、隣に置いといた少年キャプテン１冊が跡形もなく溶解した」
　某「なんで、そんなになるまで気付かないんですか？」
　ますだ「わたし鼻が利かないんですよ。あとタマネギって腐ったら泡が出るんですよ知ってましたか？　ちょうどその時ガス料金徴収の人が来たので面白かったです。
　『増田さんガスが漏れてますよ！　タマネギが腐ったような臭いがします！』
　『ああ、それはタマネギが腐っているんです』
　わっはっは」
　某「ワッハッハじゃありません！」