忍者ブログ
ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
[175] [174] [173] [172] [171] [170] [169] [168] [167] [166] [165]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 私は子供のころずっとイジメられていたから、イジメられっ子の心をよく知っている。私以上に知っている人間など滅多にいるものか。
 ……と思っていたんだけど、なんか、どうも違うようだ。
 イジメが出てくる小説はたくさんある。ライトノベルにもマンガにも出てくる。
 だが、どれもこれも「イジメられっ子の心理の描かれ方」が、私の実体験と大きく異なるのだ。
 一般的なフィクションでは、「イジメられてる奴」は「スクールカースト最下層」らしい。 
 スクールカーストというのは「人気の高低による序列」だ。
 「彼女がいて、みんなの人気者」が「高い」
 「誰にも相手にされない」が「低い」。

 これが「スクールカースト判定テスト」。
 私がやると「クラスD キモオタ男子」になるw

 物語の中のイジメられっ子は、スクールカーストが低い自分を嘆いて、上にいる人たちをうらやましがって、でも自分には無理だ、なんて思ったりする。
 この時点で、もう私とはぜんぜん違うのだ。
 小学校や中学校時代の私は「彼女が欲しい」とか「友達が欲しい」とか「人気者になりたい」なんて夢にも思わなかった。当時の私にスクールカーストの話をしたら、「みんなに無視してもらえるなんて、楽チンで最高じゃないか。入れ替わりたい」と答えただろう。
 友達も彼女も要らなかった。そんなのは恐竜やアンドロメダ星雲ほどに別世界の出来事で、私はただ「殺されたくなかった」。
 欲しかったのは「安全」。
 ちゃんと座って、教科書やノートを広げて授業を受けたかった。それだけのことができなかったのだ。よってたかって私を便所に連行し、(逃げられないように)裸にして暴力を振るっては「ウンコ食え!」とか「オナニーしろ!」とか命令するからだ。
 しかも親や教師に助けを求めても指一本動かしてくれない。
 教師に至っては、「君を殴ることでクラスが一つになって成績も上がってるんだからいいじゃないか。君は自分のことしか考えられないのか」とまで言い出す始末だ。ほとんどの教師が口を揃えてだ。はっきりいって警察の出番だと思うが、警察は学校の中のことには干渉してくれなかった。子供同士の遊びだといって取り合ってくれなかった。
 そんな生活が数年も続くとどういう精神状態になるか。
 全世界が僕の敵だ、と思うようになるのだ。
 あらゆる人間が僕を攻撃して殺そうとしている。親も教師もだ。少しでも隙を見せたら殺される。電車の中でも町を歩いても、みんなのざわめきが「死ね、死ね」という声に聞こえる。一見優しくしてくれる人間も、きっと僕を陥れようとしている。きっと僕のいないところでは悪口を言っている。テレビから笑い声が聞こえただけで「僕のことを笑ってるんだ」と思う。窓やドアの隙間から笑い声が聞こえてくる。
 そして、ある時スイッチが入って、さらに被害者意識が1ランク強くなった。
 僕がこんな目にあい続けるのは、人類そのもの、世界そのものが敵であるからだ。
 人類のDNAに増田をイジメろと書いてあるんだ!
 宇宙の物理法則がそうなっているんだ!


 この精神状態は、二十代後半くらいまで続いた。
 悪意の無い人間もけっこういるのだ、ということが事実の積み重ねでなんとなく分かってきて、長い時間をかけて穏健なものに変わっていった。
 私は、イジメられっ子というのはみんなこういう精神状態なのだと思っていたが……違う。これは普通じゃない。小説にも体験談にもこんな気持ちは書いてない。
 自分の怨念を小説にしていることで有名な作家といえば、たとえば本田透がいるが、あの人の怨念も私とはずいぶん違うものだろう。
 あの人の小説には「自分は物語の主人公になれない、必要とされていない」という絶望がよく出てくる。
 やっぱり私とは違う。正直ピンとこない。
 当時の私はまさしく、「全人類が悪に汚染されて僕を攻撃している!」という、「妄想幻魔大戦」の主人公だった。
 脇役になれるものならなりたかったよ。

 私の知っている苦しみは、世界のごく一部、きわめて例外的なものなのだ。
 だったら、「これがイジメの当たり前」という風に小説に書いても共感されないのは仕方ない。
PR

コメント
それはひどい
……せんせ、せんせ、落ち着いて(汗)
小説は『フィクション』ですからー!
本当に事実を書いてしまったら『ノンフィクション』になりますからー!

それはともかく、あの頃は今のように『苛め、DV』などは問題視されていなかったからか、酷かったですね。
問題そのものが表に出ることすらない時代でした。

実際にセンセのような被害者がいることも耳にしたことがあります。自慢げに報告しやがった当人にはもの凄い勢いで説教をしましたが、やった当人は全く罪悪感がないらしいという現実もみました。何度言っても止めなかった末に、当人は別のヤツにフルボッコにされたらしいですがw

実際に体験していないので増田さんの気持ちが判るとは言いませんが、酷い時代だったことは判ります。

しかし教師の対応がもの凄いですね(汗)
そんな教師は教師の資格がないと思うんですけど。
そういうヤツは市教委とか県教委に訴えればクビが飛ぶのでは? 今からでもやってみるといいかも。
【2009/04/28 19:06】 NAME[由帆] WEBLINK[] EDIT[]
無題
>由帆さん
 おひさしぶりです。コメントありがとうございます。

 >現実をそのまま書けない
 おっしゃる通りで、「これが現実なんだから伝わるはずだ(伝わらなかったら、お前のほうが悪い)」という考えで書き続けてきたのがいけないと思います。
 以前「ベルタ」を書いたとき、「女連れでイジメをするなどあり得ない」というツッコミを受けたんですが、私はその時、「あります! 僕が体験しました! 僕をウソつき呼ばわりするんですか!」みたいに怒ってしまいました。この反応は愚かだったと思います。
 
 >昔はイジメなどが問題視されなかった
 そうですね、いまはイジメが報道されるだけマシになったと思います。かつては何のペナルティもなかった。子供の世界は治外法権でした。法律以外の力で抑止できるならいいんですが、できていなかった。
 「昔の子供の世界は牧歌的で、イジメなんてなかった」という類いの主張をきくたびに「デタラメいってんじゃねえ!!」とか怒りを覚えます。

 もちろん、今の時代にも問題はあり、逆に教師がストレスに苦しんでいるということですが。
【2009/04/29 11:18】 NAME[ますだ] WEBLINK[] EDIT[]
無題
こんにちは。
いじめの話は…正直、私もそれっぽいのはされてましたが、こりゃあまたひどい話ですな。
私の時代でも教師の人は面倒なことが嫌いだったのか(と今では思いますけど)「無視しろ。無視してたらむこうもしなくなる」とかなんとか言ってました。その先生はそんなに嫌いではなかったんですがねえ。そしてやっぱり無視してもとまりませんでした。リンチみたいなの受けた時は反射的に反撃して顔蹴ったら向こうがきれて殴られましたが、その後で「怪我を負わせた」として教師に呼ばれて説教を私が受ける羽目になりましたw
いやもう、笑い話じゃないんですけど、あん時は世の理不尽をかみ締めましたわ。正直に状況を述べたら教師もさすがに私を責めたりはしなくなりましたが。
それ以来、状況を変えるためには問題を起こさなくてはいけないと思い込んで、かなり早めな段階でとっとと椅子で殴り返すとかしてたんですが、そんなことで毎度毎度状況が好転するわけでもなく、色々とありました。
小説や体験談の中の「いじめ」が現実に増田さんやら私が受けたそれと重ならないのは、まあ仕方ないとは思います。個人体験は個々によって異なりますしね。太平洋戦争の戦争体験が肯定的だったり否定的だったりするようなもので、何万人も体験者はいるので、そりゃ色々あるわと。
まあ、戦争体験もいじめも、何種かに類型化の可能な、バリエーションとしてはそんなに多様なものでもないとは思いますが、あんまりひどい目にあってた人は、そもそも語る前に死ぬとか転校とかの手段によって自分の心を護り、語ることはなくなってるのかもしれません。
小説の上でそれを語るというのは、ジャンルにもよりますが、エンターティメントとしての分野としてはやはり色々と気をつけなくてはいけないハードルは高いと思います。特に昨今ではラブコメですら予定調和のものが好まれ、読者にストレスのかかる展開は好まれないという傾向があるようです。
ながながと語ってしまいましたが、増田さんの今後の活躍に期待させていただきます。
私も頑張ります。色々と。
それではー。
【2009/04/29 14:28】 NAME[通行人S] WEBLINK[] EDIT[]
バランス感覚
ども。重要なことは「自分の経験」と「一般常識」の間の差を知り、そこを埋めながら書いていくということじゃないでしょうか。
こんなのはイジメじゃなくてリンチなので、「イジメラレタ」じゃなくて「リンチされた」と書いてあれば、それで納得する人は多くなるでしょう。事実だから通るわけではなくて、読者の体験と照らし合わせて思い当たることがあれば通るということがわかったのは、大きな収穫じゃないですかね。
そう言えば、体育の授業中、野球をやっていて「打てなかったらケツバット」というルールを作った男子がいて、堂々とバットでお尻を叩いて回っていました。3回目の授業くらいのときに先生が気がついて説諭です。その程度の経験しかなければ、「昔のイジメは牧歌的」なんて発言も出来るんでしょうね。
【2009/04/30 08:43】 NAME[ぼこしゅう] WEBLINK[] EDIT[]
無題
>通行人Sさん
 コメントありがとうございます。
 Sさんは早めに反撃などの行動を起こしたおかげで、少しは事態を好転させることができたのではないか、と思います。私の場合、対応が非常に中途半端なものだったからエスカレートさせたとも思います。
(さっさとケンカするなり逃げるなりすれば多少はマシだった。向こうは何も全精力をイジメに傾けているわけではないので、面倒くさくしてハードルを上げれば和らぐ)
 >ライトノベルとの関連
 この1、2年イジメが出てくる作品が目に付きます。メインの題材ではありませんが。
 >活躍を期待
 がんばります。
 
 >ぼこしゅうさん
 コメントありがとうございます。
 そう、イジメといっても千差万別ですよね。
 自分の経験が当たり前だと思っちゃいけないな、と思い知るばかりです。
 たとえば私は「みんなに無視されるイジメ」の経験が無いので、そういう目にあっている人たちの辛さもよく分からず、軽く見てしまいがちです。
 実際に無視を受けている人に「そんなのイジメのうちに入りませんよ。楽チンじゃないですか」という類のことを言ってしまったことがあります。
「暴言だった」と悔やんでいますよ。
【2009/05/01 19:20】 NAME[ますだ] WEBLINK[] EDIT[]


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[10/25 Home renovation]
[10/25 Быстрые деньги Минск]
[10/19 TopHost]
[10/19 CloudVPS]
[09/22 Harrytebra]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ますだじゅん/ペンネームC
HP:
性別:
男性
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析