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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 小説「魔法少女育成計画 特別編集版」を読んだ。作者は遠藤浅蜊。

 主人公・小雪は夢見がちで心優しい女の子。
 幼い頃から「魔法少女」に憧れてきた。
 あるとき、本当に魔法少女になってしまった!
 ささやかな魔法の力で人助けを始める小雪。幼なじみや、先輩魔法少女たちと交流し、ほんとうに幸せな日々を送る。
 ところがある日、マスコットキャラクターが言い出す。
「魔法少女の数を増やし過ぎたぽん。半分は脱落してもらうぽん」
 16人の魔法少女たちのサバイバルが始まる。
 最初は「人助け競争」で脱落者を決めたが、やがてルールが歪められ、血で血を洗う殺しあいとなる。
 
 勝ち残ったのは意外な人物? 殺人ゲームが行われた真相は?

「魔法少女たちが、邪悪なマスコットキャラクターに唆されて殺しあいをする」といわれると、やっぱり「魔法少女まどか☆マギカ」を連想すると思いますが、実際に読んでみるとあまり似ていません。
 むしろ、「戦闘破壊学園ダンゲロス」によく似ている。

 この小説の魔法少女たちは、一つだけ魔法の力を持っているんだけど、どんな力を持っているかはお互いに秘密。「たぶん、あいつの能力はこうだろう」と推測して戦う。
 能力の読みあいと相性で勝敗が決まる。
 すごく強そうな能力が、たまたま効果を発揮できずにあっさり破られることもあり、「これは戦いの役に立たないだろう」というハズレ能力が意外な決め手になったりする。意外性があってスリリングだ。
 もうひとつ、この小説をスリリングにしているのは「命の軽さ」。
 十六人の魔法少女たちは、それぞれ憧憬、渇望、恋慕、怨念などを背負っているんだけど、それらの感情を色々と描写しておきながら、殺すときはサクッと殺す。えっ因縁があるんじゃなかったの? 想いを伝えるんじゃないの? ところが死んでまう。重要そうなキャラクターも、色々なものを背負っているキャラクターも、お涙頂戴的な演出をせずにサクッと死ぬ。ほんの少しの偶然や油断で!
 このシビアな感じが、すっごくダンゲロス的。
 ダンゲロスが好きな人、悪趣味なバトルものが好きな人に、オススメ!

 あるキャラクターが「ひとり殺せる奴がいる! 今度は失敗しない!」って叫ぶシーンが衝撃的だったなあ……お前がそれ言うのかよ……

 これってシリーズ化されているそうです。
 私が読んだ「特別編集版」というのは、一番最初の巻「魔法少女育成計画」を増補改訂したもの。
 続刊の「restart」「limited」になると、もっと面白く、もっとエグくなるらしい。
 読みたい気もするが、胃にもたれそうだな……
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 ドラマ「アオイホノオ」たったの11話で終わってしまった。
 てっきり13話だと思っていた。
 アニメの感覚だと、11話で終わるってのは相当変なのですが、実写ドラマでは普通なのですか?

 っていうか、「ほんとうに打ち切りなんじゃないの?」という気がしました。
 まったく根拠が無い、印象だけで語っているけど、あと2話くらい補わないとストーリーが変なのでは……?
 だって、話の展開的に、あっさりデビューしすぎでしょ。
 これまでホノオくんは、

 「アニメを作ろうとするが完成しない」→「不完全な作品を出すくらいなら出さない方がいい!」
 「マンガを持ち込みするがボツ」→「俺はあのレベルの賞にはひっかからないくらいデカイんだよ!」
 「自分の漫画がなぜボツなのか?」→「学園漫画じゃなかったからだ! 学園漫画だったらすぐデビューできる!」
 「集英社にダメ出しされる」→「少しマンガから距離を置いてみるか……俺は大学生だから青春を謳歌しよう」

 こんな感じでさあ、ひたすら大言壮語して、失敗はすべて言い訳してきたでしょう。
 現実逃避の帝王でしょう。
 「俺は描かん……やる気が出るまで描かん!」とか、すごいセリフだよね。
 その言い訳番長ぶりを、いままではコメディとして楽しめていたんだけど。
 でも最終話で、女の子全員にそっぽを向かれ、青春を謳歌できないと知ったホノオくんは「出してみるか……」とかいって、小学館にマンガを送り、あっさり受賞してデビュー。
 えっ、これは何なの。
 今までの、言い訳ばっかりしていた自分はダメだと気づいて、心を入れ替えてウオーッって頑張るシーンが必要なんじゃないの?
 精神的・性格的に成長したようにぜんぜん見えないから、ダメなヤツがダメなヤツのまま、成功して幸せになってしまったという理不尽極まりない感じ……
 「出してみるか」の一瞬だけで、「覚悟の変化」を読み取れっていうの?
 読み取れないよ……
 っていうか、彼、徹頭徹尾、努力と無縁の人に見える。
 作中だと、ホノオ君は「トータス1」「あの娘を奪え」「必殺の転校生」、たった3本しかマンガを描いてないんだよね。2年くらいあるのに。
 集英社に2回めに送った「31ページに書きなおしたヤツ」をサンデーに送ったらデビューした、ように見える。
 ネットで検索すると、「集英社に送った31ページ版と、サンデーに送った『必殺の転校生』は違うもので、同じマンガを3回書き直している」という説も出てきた。
 だとしても4本だけ。
 短編を4本描いただけでデビューできる人間。
 「天才」と言わずしてなんといえばいいのだろう。
 何十かいても全く相手にされない人間がウジャウジャいるというのに。
 「労力と成果の割合」でいえば、庵野秀明よりも数段効率よくプロになってるわけで。
 主人公のダメっぷりを「あー、わかるわかる! 俺もそうだわーw」といって笑っていたら、実は主人公は天才で、「ダメなままでいい人」だった。
 な、なんだこれ……?
 ハシゴを外されたというか、一気に感情移入できなくなったというか、自分と重ね合わせていた人たちは、いい面の皮というか、なんというか……
 庵野ヒデアキがモテ男だと知った時と同じ衝撃で……
 けっきょくこいつらは雲の上の人、凡人と同じダメさを抱えているように見えても、「それでもなんとかなってしまう」人たちなんだな、と……
 
 で、ネットで感想を検索すると、「感動した」って素直に言ってる人が大半で、ショックを受ける。
 「ホノオ君がデビューしちゃったのが不自然だ」「デビューできてしまったことが衝撃だ」という意見は、あるにはあるけど圧倒的少数派……
 俺がオカシイのか、そうか。

 そりゃあ、最終的には島本和彦になるんだから、デビューできるでしょうよ。
 でも、さんざん「ダメな漫画家志望者」として描かれてきて、そのダメなところをギャグにしてきたのになあ……
 なんかワンクッションあると思っていたよ……
 あるいは、プロになるところまでは描かず、「まだデビューできないけど、今までよりはマシになって、これからも頑張り続ける」という終わり方だと思っていた。
 彼がプロになれる、秀でた人物である、という描写もあったけどさあ……
 でもそれは、アニメ作品を分析する能力という形で描かれていた。
 どちらかといえば「口だけ達者」に近い描き方だった。
 それなのになあ……

 うーん、ショック。
 
 もちろん全体としては面白かったけど。
 ガイナックス3人組、特に山賀の演技が最高だった。
 「食いっっっぱぐれない!」
 しばらく、このセリフが脳内で大流行している。
 っていうか山賀って「ガンダム0080」とかの脚本書いてるんでしょ?
 「ひとりだけ何の能力もない」みたいに描かれてるけど立派な能力だよね。

 それから津田さんが良かった。
 俺はホノオ君と同じで、断然ロングヘアー派なんだけど、ドラマ版の津田さんの可愛らしさには目を見張った。毎回、ホノオ君なみに目玉をひん剥いて驚愕しながら観ていた。
 原作と全く違うじゃん!
 スポーツウーマンという印象は微塵もなく、ロリで無邪気で人懐っこくて、子犬のような……
 あのバシバシ叩くのは、原作の漫画以上に漫画的で、なんか面白かったし。
 原作ではトンコさんが言ってる発言をドラマ版では津田さんが言っていて、わりと役割が変化している。
 とにかく津田さんはほんとうに良かった。
 こういう子と友達になれたらなあと素直に憧れる。
 あっ、「20歳若返って」だよ、だから犯罪じゃないよ!

 山本弘の小説「プロジェクトぴあの」を読んだ。
 大傑作ですよこれ!

 天才科学者の軌跡だ。
 アイドル歌手・「結城ぴあの」は、実は超天才。
 生まれつき人と違う脳を持つ。人を愛せず、ひたすら宇宙に憧れる。

 幼い日の疑問だけが、彼女を突き動かしている。

 「私、何も悪いことしてないのに。どうして宇宙に出られないの?
 あんなに広くてきれいな宇宙なのに、どうして見ることしかできないの?」

 彼女の言う「宇宙」とは、衛星軌道や月面のことではない。
 太陽系を遥かに飛び出した、何千光年彼方の星々を、思うがままに駆け巡りたいのだ。
 カネを積めば可能になることではない。物理法則が彼女を阻む。

 物語の舞台は近未来だが、宇宙開発はさっぱり進んでおらず、人類は火星にも行けない……
 何十億円も払って、地球の周りをグルグル回る程度しかできない……
 だが、ぴあのは諦めない!
 必ず、星々の彼方に旅立つ!
 夢のために芸能界でのし上がり、人工知能搭載のバーチャルアイドルを打ち破り、現代物理学をひっくり返す理論を考えだし、画期的な宇宙船を作り上げる。
 ついに、あらゆる束縛を振りきって、ソラへ……
 そういう物語だ。
 そして、その天才少女に憧れ恋をする、ひとりの男の物語でもある。
 彼女を愛し、彼女に付き従い、支え、しかし結局は見送るしか無かった男。
 全てわかっていた。とびきりユニークで、とびきりマッドで、宇宙だけをひたすら愛し、そのためならどんな努力も厭わない彼女が好きだった。
 ボクを好きになるような女だったら、ボクは好きにならなかった……
 その終わり方が切ない。
 いちばんラストに、こんな文がある。

 「晴れた夜にはオリオン座を眺めて思い出すだろう。あの方向に結城ぴあのがいる。今も飛び続けている。」

 泣ける!!! これは泣ける!!!

 あと……
 この小説は、同じ山本弘の小説「地球移動作戦」の前日譚なんですよ。
 私は、数年前、「地球移動作戦」という小説を読んで、それなりには面白いと思ったけど、 「ふうん」くらいの気持ちで、感動はしなかったのです。
 それどころか「設定が生かされていない」という強い不満を持ちました。
 「地球移動作戦」の世界では、「ピアノ・ドライブ」という、タキオンを噴射することで推進剤無しで加速できる、事実上の永久機関であるエンジンが出てくるんです。
(そのピアノ・ドライブ発明を描いたのが、『プロジェクトぴあの』です)
 ピアノ・ドライブで地球を動かすんですけど、私は「なんでわざわざタキオン出すの? 普通のロケットでもいいじゃん。タキオンを使うんなら、それを生かした話にしないとダメだろ」と思ったのです。
 多くのSFでは「タキオン」は「時間を超える通信手段・移動手段」として使われるからです。
 要するに、「タキオンはタイムトラベルの道具であって、タキオンを出した以上はタイムトラベル物にしなければダメだ」と思い込んでいたんです。
 あるガジェットは、ある特定の目的にしか使ってはいけない、独創的な使い方を認めない、というのは、固定観念に囚われているだけで、SFファンとして完全に終わってる。でも当時の私はそうだった。
 この小説「プロジェクトぴあの」を読んで初めて、ピアノ・ドライブの凄さがわかりました。
 推進剤や燃料無しで推進できる、というのは、途方も無い大革命なのだ!
 「それが当たり前の、スペースオペラ的な世界」ではピンとこなかったけど、「現在と大差ない世界」にピアノ・ドライブが忽然と出現したので、私の鈍い頭でも、ようやく凄さがわかった!
 
 というわけで、「プロジェクトぴあの」大のオススメです!

 深見真の小説「ゴルゴタ」を読んだ。
 これは「自衛隊の怖さを描いた小説」だ!
 「反自衛隊小説」だ!
 作者の思惑は違うと思う。でも私はそう思った。

 主人公は陸上自衛官の真田。
 陸上自衛隊の最精鋭部隊・特殊作戦群に所属し、その中でもナンバーワンの凄腕。
 北朝鮮の特殊部隊を殲滅したこともあり、実戦経験豊富。
 まさに最強の自衛官だ。
 そんな彼が、いつものように訓練を終えた時、悲報が入る。
 最愛の妻が、お腹の中の赤ん坊ごと殺された……!
 しかも犯人の少年たちは、不可解な事情により、ほとんど罰を受けることがなかった……
 理不尽極まりない現実。
 犯人たちが全く改心していないことを知った真田は、ついに復讐者と化す。
 入念な準備を重ね、アリバイや逃走手段を用意し、銃器で武装し、警察の目を巧みにかいくぐりながら、一人また一人と、犯人の少年たちを拉致し、拷問を加えて殺害していく……
 真田は、「悪党を守るならば警察でも容赦しない」。警察に対して警察以上の武装と、圧倒的な技量で立ち向かい、常に勝利を得る。護衛を何人つけても無駄だ、皆殺しだ。
 さらに殺害の対象は、犯人たちに甘い主文を下した判事、犯人たちを育てた親にまで拡大……
 真田の上官は言う。
 「やつは決して怒らせてはいけない男だった」「この国です。この国がやつを怒らせた」。
 真田の激しい怒りは、民衆の一部にも共感を呼んでいく。
 真田はいまや、ただの殺人鬼ではなかった。「犯罪者に甘い社会」を、変革するための革命家だ……
 戦いの規模は大きくなっていき、警察特殊部隊SATと真田の市街戦にまで発展する。
 
 復讐の話は好きです。
 悪党をむごたらしくブッ殺す話も好きです。
 が……この小説は……面白いけど……
 
 妻を殺した少年たちは本当に腐れ外道で、まったく同情の余地がない。
 でも、そいつらが殺されていく物語なのに、私はなぜか快感を覚えず、怖いと感じていた。
 前半の真田は人間的に内面を描かれているけど、復讐をはじめてからは「行動のみ」が描かれていくようになって、心がわからずにすごく怖い。
 いかにして犯人を拷問するか。護衛の警察官を殺していくか。というプロセスが実に詳細に描かれているのも怖い。ヤクザの屋敷に乗り込む時なんて、装備品の説明だけで20行くらい使っていて、ナイフや銃器に対する尋常じゃないこだわりが伝わってくるし、「すごいものを読んだ」。
 だが、いちばん怖いと思ったのは、真田の上官。
 復讐ものって、「単なる復讐」と「正義の復讐」の2種類があるじゃないですか?
 「あんな奴らが野放しにされている世の中は間違ってる、だから俺が殺す。この殺しは正義だ」という、「単なる憂さ晴らしではない、正当性を掲げる復讐」。
 ゴルゴタはまさに「正当性を掲げる復讐」なんです。
 真田は黙々と殺すだけで、正当性を演説することはない。
 かわりに真田の上官、日下部が、真田の殺人の正しさを語る。
 日下部は、訓練で苦楽を共にして、親子よりも固い絆で結ばれた真田のことを、ひそかに支援している。
 この支援があってこそ、真田は警察に勝利できた。
 日下部は言うのだ。
 真田の行動こそ、自衛隊の理念である「専守防衛」の体現だ。
 自衛隊は張子の虎であってはならない、大切なモノを傷つけられた場合は必ず反撃する、それが自衛隊の大義で、それを実行できないなら真田も、自衛隊も存在する意味が無いんだ。
 「真田の行動を誇りに思っている」と言い切る。
 真田を追う刑事・長間がその発言に激高するが、日下部は動ずること無く、真田は固い絆で結ばれた家族だと言う。その言葉には、どんな犠牲を出しても国を守るという決意が込められており、長間は言い返せなくなってしまった……

 わかるだろうか、この怖さ。
 復讐殺人を正当化する大義が、自衛隊の中にあるという書き方。
 自衛隊は法律よりも大義で動くという書き方。
 そして、「どんな犠牲を出しても国を守る」人間が、「この国が、やつを怒らせた(だから殺されても仕方ない)」と言う、この矛盾。
 国を守るの「国」とは何なのだろう。
 思えば、自衛隊とはもともと、法律的に怪しい存在だ。
 明らかにハードウェア的には軍隊であるものを、軍隊ではないと強弁してきた。
 「裸の王様」の逆みたいに、あるものを「ないない」と言い続けてきた。
 その積み上げてきた幻想と、認知の歪みが一気にドーンと噴出したのが真田であり、日下部なのかもしれない。

 人間として、家族を殺されたら復讐したいのが当たり前だ、というなら分かる。
 そこに「自衛官として正しい」という正当化が入るのが怖い。

(なお、断っておきますが、私は現実の自衛隊を非難・危険視しているわけではありません。現実の自衛隊員は真田みたいな事件を起こしていないわけで、ごっちゃにする気は毛頭ない)

 読んでいて「自衛隊怖い!」という気持ちが高まっていくのと同時に、「警察頑張れ!」って気持ちが沸き起こってきました。真田を追う刑事・長間が、すごく感情移入できるおっさんなんです。
 ラストバトルは銃撃戦ではなく、最強の刑事・長間と最強の自衛官・真田の、一切武器を使わない格闘! 顔面が血まみれになり、骨がへし折れ、それでも吼える二匹の獣!
 私は手に汗握って長間を応援していた。ああーっ、負けちゃったー。
 
 そんなわけで、凄惨な復讐の迫力と、自衛隊が秘める恐ろしさが印象に残りました。

 杉井光「神様のメモ帳」9巻が出たので買った。
 最終巻だ。
 もう3年も刊行が途絶えていたので、ああ、もう読めないかな……と思っていた。
 大方の予想通り、ラストの物語は謎めいたヒロイン・アリスの物語だった。
 出生の秘密、遺産をめぐる陰謀、毒々しい一族との対決。
 ラスボスというには、意外とスケール小さかったな、というションボリ感もあるけど……
 マスコミも警察も動かせる巨大財閥と戦ってるはずなのに、6巻のチャイニーズマフィアあたりのほうが強敵感あるぞ。
 っていうか、いちばん「底が知れない敵」は8巻にでてきた「四代目のオヤジ」かなあ……

 でも読めてよかった。
 「感情を動かされること」が「感動」なら、間違いなく感動した。
 いつものメンツの、いつものかけあい、いつもように落ち込んでいつものように再起する主人公が懐かしくて仕方なかった。 
 終盤の、「あなたがいま手にしているこの本である」。
 これにはやられた。
 現実とフィクションの間の薄膜が破れるクラクラ感でグッとつかまれた。
 最後にしかできない大技だ。
 アリスの一風変わった毒舌愛情表現が好きだった。他のキャラクターたちも好きだった。
 だから、彼ら彼女らの結末を見届けることができてよかった。
 
 しかし……
 なんでアリスの一人称が「ぼく」なのかは最後まで謎だった……
 ティプトリーが好きだから?
 一人称以外、性別を偽るようなところはまったくないのにね。

 過去の巻、とくに気に入ってる6巻をまた読み返そう。


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