ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 深見真の小説「ゴルゴタ」を読んだ。 これは「自衛隊の怖さを描いた小説」だ! 「反自衛隊小説」だ! 作者の思惑は違うと思う。でも私はそう思った。 主人公は陸上自衛官の真田。 陸上自衛隊の最精鋭部隊・特殊作戦群に所属し、その中でもナンバーワンの凄腕。 北朝鮮の特殊部隊を殲滅したこともあり、実戦経験豊富。 まさに最強の自衛官だ。 そんな彼が、いつものように訓練を終えた時、悲報が入る。 最愛の妻が、お腹の中の赤ん坊ごと殺された……! しかも犯人の少年たちは、不可解な事情により、ほとんど罰を受けることがなかった…… 理不尽極まりない現実。 犯人たちが全く改心していないことを知った真田は、ついに復讐者と化す。 入念な準備を重ね、アリバイや逃走手段を用意し、銃器で武装し、警察の目を巧みにかいくぐりながら、一人また一人と、犯人の少年たちを拉致し、拷問を加えて殺害していく…… 真田は、「悪党を守るならば警察でも容赦しない」。警察に対して警察以上の武装と、圧倒的な技量で立ち向かい、常に勝利を得る。護衛を何人つけても無駄だ、皆殺しだ。 さらに殺害の対象は、犯人たちに甘い主文を下した判事、犯人たちを育てた親にまで拡大…… 真田の上官は言う。 「やつは決して怒らせてはいけない男だった」「この国です。この国がやつを怒らせた」。 真田の激しい怒りは、民衆の一部にも共感を呼んでいく。 真田はいまや、ただの殺人鬼ではなかった。「犯罪者に甘い社会」を、変革するための革命家だ…… 戦いの規模は大きくなっていき、警察特殊部隊SATと真田の市街戦にまで発展する。 復讐の話は好きです。 悪党をむごたらしくブッ殺す話も好きです。 が……この小説は……面白いけど…… 妻を殺した少年たちは本当に腐れ外道で、まったく同情の余地がない。 でも、そいつらが殺されていく物語なのに、私はなぜか快感を覚えず、怖いと感じていた。 前半の真田は人間的に内面を描かれているけど、復讐をはじめてからは「行動のみ」が描かれていくようになって、心がわからずにすごく怖い。 いかにして犯人を拷問するか。護衛の警察官を殺していくか。というプロセスが実に詳細に描かれているのも怖い。ヤクザの屋敷に乗り込む時なんて、装備品の説明だけで20行くらい使っていて、ナイフや銃器に対する尋常じゃないこだわりが伝わってくるし、「すごいものを読んだ」。 だが、いちばん怖いと思ったのは、真田の上官。 復讐ものって、「単なる復讐」と「正義の復讐」の2種類があるじゃないですか? 「あんな奴らが野放しにされている世の中は間違ってる、だから俺が殺す。この殺しは正義だ」という、「単なる憂さ晴らしではない、正当性を掲げる復讐」。 ゴルゴタはまさに「正当性を掲げる復讐」なんです。 真田は黙々と殺すだけで、正当性を演説することはない。 かわりに真田の上官、日下部が、真田の殺人の正しさを語る。 日下部は、訓練で苦楽を共にして、親子よりも固い絆で結ばれた真田のことを、ひそかに支援している。 この支援があってこそ、真田は警察に勝利できた。 日下部は言うのだ。 真田の行動こそ、自衛隊の理念である「専守防衛」の体現だ。 自衛隊は張子の虎であってはならない、大切なモノを傷つけられた場合は必ず反撃する、それが自衛隊の大義で、それを実行できないなら真田も、自衛隊も存在する意味が無いんだ。 「真田の行動を誇りに思っている」と言い切る。 真田を追う刑事・長間がその発言に激高するが、日下部は動ずること無く、真田は固い絆で結ばれた家族だと言う。その言葉には、どんな犠牲を出しても国を守るという決意が込められており、長間は言い返せなくなってしまった…… わかるだろうか、この怖さ。 復讐殺人を正当化する大義が、自衛隊の中にあるという書き方。 自衛隊は法律よりも大義で動くという書き方。 そして、「どんな犠牲を出しても国を守る」人間が、「この国が、やつを怒らせた(だから殺されても仕方ない)」と言う、この矛盾。 国を守るの「国」とは何なのだろう。 思えば、自衛隊とはもともと、法律的に怪しい存在だ。 明らかにハードウェア的には軍隊であるものを、軍隊ではないと強弁してきた。 「裸の王様」の逆みたいに、あるものを「ないない」と言い続けてきた。 その積み上げてきた幻想と、認知の歪みが一気にドーンと噴出したのが真田であり、日下部なのかもしれない。 人間として、家族を殺されたら復讐したいのが当たり前だ、というなら分かる。 そこに「自衛官として正しい」という正当化が入るのが怖い。 (なお、断っておきますが、私は現実の自衛隊を非難・危険視しているわけではありません。現実の自衛隊員は真田みたいな事件を起こしていないわけで、ごっちゃにする気は毛頭ない) 読んでいて「自衛隊怖い!」という気持ちが高まっていくのと同時に、「警察頑張れ!」って気持ちが沸き起こってきました。真田を追う刑事・長間が、すごく感情移入できるおっさんなんです。 ラストバトルは銃撃戦ではなく、最強の刑事・長間と最強の自衛官・真田の、一切武器を使わない格闘! 顔面が血まみれになり、骨がへし折れ、それでも吼える二匹の獣! 私は手に汗握って長間を応援していた。ああーっ、負けちゃったー。 そんなわけで、凄惨な復讐の迫力と、自衛隊が秘める恐ろしさが印象に残りました。 PR
無題
なぜ、真田はテロを行うことになったのか?
逆送確実のはずの事件で、犯人がほぼ無罪となったから。 なぜ、ほぼ無罪になったのか? 自衛隊へのネガティブキャンペーンを行うことで、対抗勢力を牽制しようという謀略があったから。 これがあってこその「やられたらやりかえす」であり、長間も「真田は被害者以上の犠牲者だ」と認めざるを得なかったですよ。 家族を殺されただけでなく、その家族の死を、自衛隊否定、自分が遂行した任務否定に利用されたのです。 「人間として、家族を殺されたら復讐したいのが当たり前だ、というなら分かる」というだけでは読みが足りてない。 そもそも任務を遂行した自衛隊員を人殺しと呼び、その家族が殺されて当然と持って行ける論理とは何なのか? 「自衛隊は法律よりも大義で動くという書き方」のこわさの大元には、このもうひとつのこわさがあるのではないでしょうか。
無題
>NONAMEさん コメントありがとうございます。 >これがあってこその「やられたらやりかえす」 日下部の言う「大切なモノを傷つけられたら」というのは「家族を殺されたら」だけでなく「自衛隊の名誉を傷つけられたら」も含まれているわけですね。 日下部の心理としては理解できる。しかし賛成できるとは、とても言えません。 そもそも真田は、ネットにアップした動画でも自衛隊のことなんて一言も言ってませんし…… 彼は、「犯人と、犯人を生み出してしまった、犯罪者に甘い社会」を告発しただけではないでしょうか。 自衛隊の名誉なんて考えてない、日下部の思い込みではないでしょうか? それから、もうひとつ。 「真田の行動は、むしろ自衛隊の名誉を傷つける、ネガティブキャンペーンの手伝いになっているのではないか」と思いませんか? 一連の殺戮劇により、「自衛隊なんて戦争の時はビビって戦えないんじゃないの?」などと中傷する者は沈黙したでしょう。しかし逆に「自衛隊は人殺し、危険」と言う勢力にとっては、かっこうの宣伝材料ができた。主張に説得力を与えられた。私がそういう主張の活動家なら「ほらやっぱり俺の言ったとおりだ、自衛隊は狂犬だった!」って大喜びしてますよ。 「舐められるよりは恐れられた方がマシ」とは言えるかもしれませんが、すくなくとも、自衛隊が過去に何十年も災害救助を続けて培ってきた「温和なイメージ、国民に親しまれる自衛隊」ってのは一撃で瓦解しますよ。これ以上のネガティブキャンペーンはない。 これが本当に、自衛隊として誇るべきことなのでしょうか? 失ったものはあまりに多くありませんか? たまたま今回、真田が殺した相手は本当に悪党でした。 犯人たちは最低の屑ですし、彼らを無罪放免にした法曹界の連中も、保身ばかり考え犯罪被害者を蔑ろにする、遵法意識も怪しい、悪党といってよいでしょう。 本当にたまたま、悪人だった。 しかし人間の個人的倫理観、判断力はそんなに信頼できるものじゃない。つぎは勘違いや思い込みで人を殺すかもしれない。どんなに有能であってもです。 真田はこれから一部の人間から熱狂的に支持されるでしょうが、それでも彼は人間です、神様じゃないんです。 間違いを犯す個人が、個人の感情で人を殺し、それを警察は止められないことがはっきりした。 しかも上官は「自衛隊の代表意見」として「誇りに思う」と擁護して、「これからも自分の判断で殺し続けろ」と言って、獣を野に解き放った。 これは恐ろしいことだと思いませんか? じゃあどうしろっていうんだ、お前が望む展開はなんだ? 真田が泣き寝入りすればいいのか? そうは言っていません。 敵討をしたことじたいは「人として」当然です。 世の中全体に訴えて変えたい、というのもわかる。 でも、それは「いち市民として」「自衛官という、比類なき力を持った者として」やってはいけないことであることも、書いて欲しかった。 真田はラストに長間と戦って死ぬべきだった。相打ちがもっとも良い。 あるいは、「人としては為すべきことをなしたが、自衛官としては失格」として上官に撃たれるべき。 彼もまた殺人者であり、裁かれるべきものだったのです。 >そもそも任務を遂行した自衛隊員を人殺しと呼び、その家族が殺されて当然と持って行ける論理とは何なのか? それはもちろん間違った、賛成出来ない思想ですよ。 しかし、間違った思想を唱えたから、間違った思想によって名誉を傷つけられたから「ぶっ殺して落とし前をつけさせる」というのは、やはり間違ったことであり、明らかに近代的民主国家の公務員がやっていいことではありません。人間としては共感するけど。 真田は、「そんな理屈は通らない」と長間に言われて、「俺は理屈で動いてるわけじゃない」と答えているので、自分の言動が「自衛官として間違ってる」ことを理解してる可能性があります。間違っていてもやるんだ、と。 しかし日下部は、「自衛隊として正しい」と認めてしまった。 だから「日下部が一番怖い」と私は言ってます。
無題
>日下部の心理としては理解できる。しかし賛成できるとは、とても言えません。
理解できるのならいいのです。絶対賛成すべしとか、小説の感想を強制するつもりは毛頭ありません。この部分が感想からまったく抜け落ちているのが不自然だと感じたのです。 >そもそも真田は、ネットにアップした動画でも自衛隊のことなんて一言も言ってませんし…… 確かに謀略については言及してない。これは、私はプロットの穴だと思ってます。あるいは、全体として続編を意識している節があるので、作者としては背後のさらなる敵についてはそっちで描くつもりだったのかもしれない。ネットへの動画アップは、社会に訴えると同時に黒幕を揺さぶる作戦の第一段階、とかなら良かったんですが、その割には日下部のところにいって状況終了とか言ってるし。この辺、完成度の高い小説とはいえないですね。 >彼は、「犯人と、犯人を生み出してしまった、犯罪者に甘い社会」を告発しただけではないでしょうか。 真田は家裁の調査官・蓮井の態度から得体のしれない力が働いたと察している。そして一年の調査と準備を行っている。謀略には気づいていないと不自然ですが。同じ理由で「たまたま悪人」というのも違うと思います。人物像も十分調べてるでしょう。 「間違う可能性があるからこわい」というのは勿論わかりますよ。でもそれは、あなたのいう「自衛隊こわい」とは本質的なかかわりのないこわさですよね。 (続編があるなら、真田と日下部の考えの違いがはっきりして、袂を分かつ、というような展開もありだと思えますが) >「真田の行動は、むしろ自衛隊の名誉を傷つける、ネガティブキャンペーンの手伝いになっているのではないか」と思いませんか? これは作中でも言及されてます。 真田の暴発を望んでいたろうが大ごとになって黒幕も慌てているだろうと。しかし致命傷にはなっていない。作品として消化不良。作者側の事情は分かりませんがね。 >真田はラストに長間と戦って死ぬべきだった。相打ちがもっとも良い。 > あるいは、「人としては為すべきことをなしたが、自衛官としては失格」として上官に撃たれるべき。 > 彼もまた殺人者であり、裁かれるべきものだったのです。 このプロットで死なれても結局消化不良ですよ。 ラストバトルは陳腐でした。それまで圧勝してきた真田が、肉弾戦でちょっと苦戦とか。そういうよくあるパターンじゃなくて工夫して欲しかった。 > それはもちろん間違った、賛成出来ない思想ですよ。 > しかし、間違った思想を唱えたから、間違った思想によって名誉を傷つけられたから「ぶっ殺して落とし前をつけさせる」というのは、やはり間違ったことであり、明らかに近代的民主国家の公務員がやっていいことではありません。 >しかし日下部は、「自衛隊として正しい」と認めてしまった。 > だから「日下部が一番怖い」と私は言ってます。 間違ってる、やってはいけない、それを認めた日下部怖い、これは別にいいんですよ。感想は自由です。日下部、怖いと思いますよ。 じゃあ、あなたのいう「間違った、賛成出来ない思想」とは、具体的になんだと思いますか? 唱えている者たちは、間違っているなんて思ってないでしょう。正義だと思っている。そして反撃するのは間違っているとおっしゃいますが、その黒幕たちは、むしろ反撃させようとして煽っている、ほくそ笑んでいる。正攻法ではダメージを与えられない。生半可な反撃では思う壺。 だから、「日下部のこわさを生むこわさ」を軽くスルーすべきじゃないと思うのですよ。
追記
追記です。
>彼は、「犯人と、犯人を生み出してしまった、犯罪者に甘い社会」を告発しただけではないでしょうか。 この作品は穴が多くて正確なところは分からないとしか言えない部分も多いですが、さすがにこの解釈は違うと断言してもいいと思います。 作中では「犯罪者に甘い社会」というような描き方は全くされていない。 むしろ逆で、少年犯罪には甘いイメージがあったが、思いのほか順調に行っているという描き方がされている。そして本当なら、犯人たちは逆送されて無期懲役もあり得た。全然、甘くないです。こうなっていれば、真田はテロをしなかったでしょう。 結果、ほぼ無罪になったのは、一大派閥とやらの謀略のせいです。 真田も蓮井の態度から得体のしれない力を察し、十分な時間をかけて調査したはず。それなのに、「やっぱり犯罪者に甘い社会が悪いんだー」という結論に達したなら、真田はアホの子になってしまうと思うなあ。 で、この黒幕である一大派閥、自分たちの唱えている思想が間違っているなんて考えてないと思います。むしろ「大義」だと思っている。だから、法律を無視して警官や裁判官を買収して殺人犯を無罪にしてまでプロパガンダに利用する。 この「法律より大義」による犯罪攻撃が、こわい日下部の専守防衛、やられたらやりかえす、反撃のためには「法律より大義」を発動させている。 ますださんが、後者だけを怖がり、前者の怖さを考慮できないのであれば、ますださんは黒幕にたどり着けていないのではないでしょうか。
無題
>NONAMEさん
>作中では「犯罪者に甘い社会」というような描き方は全くされていない。 そんなことないですよ。 真田がヤクザを襲撃するあたりで、 「人身売買は楽な商売だ。日本政府と警察が間抜けだからだ。捕まっても執行猶予で片がつく」 って書いてあるじゃないですか。 犯人グループは、真田の妻を殺しただけじゃなくて、それ以前から札付きの不良であり、強姦などの犯罪を重ねてきたんですよ。 日本では一年間に20万人が人身売買されており、犯人グループの一人・石田要平はそれを手伝っていたんですよ。そう書いてある。 にも関わらず処罰されていなかった。真田の妻を襲う直前にもフィリピン人を強姦している。 そもそも犯人グループってのは石田要平に悪い遊びを教えられた人たちであり、警察がさっさとヤクザを壊滅させていれば、真田の事件は起こらなかった。 それに、犯人グループを無罪にした蓮井は、「面倒くさいから遺族の声なんて聞きたくない」みたいなことを考えており、もともと犯罪に対して非常に甘い人だった。 真田を怒らせたのは社会全体であり、「巨大派閥」は最後のひと押しをしただけだと思いますよ。 巨大派閥はメインの敵であり、こいつらさえいなければ、というなら、どうして真田がこいつらに全く触れていないのか分からない。
無題
>で、この黒幕である一大派閥、自分たちの唱えている思想が間違っているなんて考えてないと思います。むしろ「大義」だと思っている。だから、法律を無視して警官や裁判官を買収して殺人犯を無罪にしてまでプロパガンダに利用する。
この「法律より大義」による犯罪攻撃が、こわい日下部の専守防衛、やられたらやりかえす、反撃のためには「法律より大義」を発動させている。 NONAMEさんの意見を要約すると、 「敵は卑怯で、改心の可能性は無く、法律を無視してくる奴らだから、こっちも正攻法では対抗できず、法律を破らざるをえない。後者だけ批判するお前はおかしい」 ということですか。 そういうことなら、ある程度は理解・同意するけれど、「毒をもって毒を制す」「敵が卑怯なので、こちらもルールを破らざるをえない」というのは「必要悪」ではあっても、「正義」とか「大義」って正当化してはしけないものだと思うんですよね。 「仕方ない」と「正しい」は違う。 だから私は、「真田が間違ってる」とは言わない。「真田を正当化する日下部が間違ってる」というのです。 真田は自分を正当化するセリフを言ってないので、自分を必要悪だと理解しているなら、ある程度は共感できるんです。 (でも、必要悪は悪なんだから、最後は死ぬべきだと) 敵がルールを守らないからこちらも守る必要がない、というのでは、世の中は永遠によくならない。
無題
そもそも根本的疑問として、
「巨大派閥」がそんなに悪いんなら、日下部は「そいつらを殺せ」って真田に命令すれば済む話なんじゃないですかね? 真田の能力をもってすれば、国会議員でも総理大臣でも殺せそうな気がします。巨大派閥の全貌を暴いて壊滅させればいいんですよ。 あるいはラストに日下部が真田に命令するとき、「まだ黒幕がいるから壊滅させろ」と命令すればよかった。 でもそんな命令はしてないし、真田が自発的にそいつらを殺してもいない。 「やつを怒らせた」のは「日本社会全体」であって、巨大派閥はその一部ではあっても、メインの敵ではない、のではないでしょうか。 「巨大派閥さえなければ」という前提であ考えると、どうしても真田の行動に筋が通らない。
無題
> そんなことないですよ。
真田がヤクザを襲撃するあたりで、 「人身売買は楽な商売だ。日本政府と警察が間抜けだからだ。捕まっても執行猶予で片がつく」 って書いてあるじゃないですか。 犯人グループは、真田の妻を殺しただけじゃなくて、それ以前から札付きの不良であり、強姦などの犯罪を重ねてきたんですよ。 日本では一年間に20万人が人身売買されており、犯人グループの一人・石田要平はそれを手伝っていたんですよ。そう書いてある。 にも関わらず処罰されていなかった。真田の妻を襲う直前にもフィリピン人を強姦している。 そもそも犯人グループってのは石田要平に悪い遊びを教えられた人たちであり、警察がさっさとヤクザを壊滅させていれば、真田の事件は起こらなかった。 ヤクザだって隠れて犯罪おこすのだから、発覚しなければ処罰されんだろう。 それはともかく。 私は、「犯人が相応の刑罰を受けていれば、真田は事件を起こさなかった」という考えなので、「人身売買するヤクザがいなければ妻が殺されなかったから事件を起こした」という説明には同意しません。 謀略無罪のせいで、真田は自分で犯人たちを処断しなければならなくなったのであり、ヤクザとか人身売買はその派生ででてきたもの。順序が逆。 >それに、犯人グループを無罪にした蓮井は、「面倒くさいから遺族の声なんて聞きたくない」みたいなことを考えており、もともと犯罪に対して非常に甘い人だった。 蓮井が「犯罪に甘い」という描写はない。仕事に労力をなるべく使わないという描写だけ。圧力も証拠の改竄もなければ、逆送が相当の事件なのだから、労力を使わず逆送して終わりだったろう。 > 巨大派閥はメインの敵であり、こいつらさえいなければ、というなら、どうして真田がこいつらに全く触れていないのか分からない。 メインか否かは別に重要じゃない。 「こいつらさえいなければ、」の続きは何? こいつらの謀略がなければ、真田は事件を起こさなかったと考えているのはすでに書いた。 真田は全く触れてないわけでなくて1か所だけ、しまった、やられた、何か力が働いたと、存在を察してはいる。そしてその後は触れていない。 プロットの失敗以外の理由を考えてみると、派閥のやったことは①刑罰を受けるべき殺人犯を無罪にした。②それを利用したブラックプロパガンダ。 ①についてはどうせ犯人は自分で裁くと決めた。大事を起こす以上、派閥が手を回すまでもなくどうせ批判は出る。結果として②は無意味になる。だから物理的に攻撃する必要はない、と考えたのかも。 真田が日下部と同じ考えなら、批判が出る自体が許せないと考えるはずなので、おそらく違うのでしょう。後述。 > NONAMEさんの意見を要約すると、 「敵は卑怯で、改心の可能性は無く、法律を無視してくる奴らだから、こっちも正攻法では対抗できず、法律を破らざるをえない。後者だけ批判するお前はおかしい」 ということですか。 そういうことなら、ある程度は理解・同意するけれど、 基本的には、両方批判しようがしなかろうが、どちらか片方だけ批判しようが、いいと思ってます。まあ、ますださんは巨大派閥をみょうにかばうなあ、なにかあるのかあ、とは思ってます。 私の興味は批判するしないではなく、分析するしないだったのですが、まあ、材料を何もお持ちじゃないらしいと分かったのでもういいです。 >「毒をもって毒を制す」「敵が卑怯なので、こちらもルールを破らざるをえない」というのは「必要悪」ではあっても、「正義」とか「大義」って正当化してはしけないものだと思うんですよね。 「仕方ない」と「正しい」は違う。 > 敵がルールを守らないからこちらも守る必要がない、というのでは、世の中は永遠によくならない。 こういういわずもがなの一般論をいくら並べられても困る。 そうですねとしか言いようがない。 > だから私は、「真田が間違ってる」とは言わない。「真田を正当化する日下部が間違ってる」というのです。 真田は自分を正当化するセリフを言ってないので、自分を必要悪だと理解しているなら、ある程度は共感できるんです。 (でも、必要悪は悪なんだから、最後は死ぬべきだと) 真田は間違ってるともいえるし、筋は通ってない。だから必要悪になり損ねているし、それゆえ死んだところで清算にはならない。 ますださんの「犯罪に甘い社会を告発したかった」という前提で考えても、警察を殺しまくる意味が分からない。わざわざ介入する時間を与えて。警察が気づく前にもっと犯人とヤクザを殺しまくり、犯罪の証拠をネットやマスコミに流せばいい話なのにね。 ヤクザよりも警察に与えたダメージのほうがデカイ時点で説得力はない。 そういう真田に力を貸し、正当化する日下部も間違っている。 日下部の解釈でも警察を殺しまくる説明はできない。 日下部は、かわいい真田も自衛隊も否定したくないのでああ言ったのであり、まあ片思いでしょうと考えます。 > そもそも根本的疑問として、 「巨大派閥」がそんなに悪いんなら、日下部は「そいつらを殺せ」って真田に命令すれば済む話なんじゃないですかね? 真田の能力をもってすれば、国会議員でも総理大臣でも殺せそうな気がします。巨大派閥の全貌を暴いて壊滅させればいいんですよ。 あるいはラストに日下部が真田に命令するとき、「まだ黒幕がいるから壊滅させろ」と命令すればよかった。 でもそんな命令はしてないし、真田が自発的にそいつらを殺してもいない。 そもそも根本的疑問を作者でもない私にぶつけられてもね。 しかし、巨大派閥はそんなに悪くないですかねえ。本当にかばいますね。 私の指摘は因果関係についてなので、悪さの程度をどう考えるかは本質ではないですね。 日下部は明確に、背後に意図があった、自衛隊が攻撃されたと考えているのに、真田に命令を出さなかった。プロットの失敗以外の理由を考えると、日下部もバカじゃないので、自分の真田解釈が片思いだと本心では気付いていて、突っ込んだ話をしてしまうとそれがはっきりしてしまうので、抽象的で表層的なやりとりしかしなかった、とか。 真田のほうは、もともと筋が通っていないので今更だが、一応考えた理由は上に書いた通り。 >「やつを怒らせた」のは「日本社会全体」であって、巨大派閥はその一部ではあっても、メインの敵ではない、のではないでしょうか。 やつを怒らせた云々も日下部の解釈に過ぎないんだよね。 それと派閥がメインの敵ではないと何なの? 何をもってメインというのかも不明だし。 日本社会全体が怒らせた原因だと、なんで犯人の少年とヤクザに次いで警察がメインの敵になるのかも意味不明。証拠改竄した警官を殺すならわかるけど。 > 「巨大派閥さえなければ」という前提であ考えると、どうしても真田の行動に筋が通らない。 「巨大派閥さえなければ」の続きが相変わらず不明だが、 巨大派閥の謀略がなければ、真田は事件を起こさなかったという考えは筋が通ると思う。 犯罪に甘い社会を告発したかったから警察を殺しまくった、というほうがよほど筋が通らない。
無題
>NO NAMEさん
すみません、返信をもう1日待ってください。
無題
>NONAMEさん
お待たせしました。 >まあ、ますださんは巨大派閥をみょうにかばうなあ、なにかあるのかあ、とは思ってます。 私が「巨大派閥」を重要視しない理由は2つあります。 まず、伝聞の形でのみ登場し、直接出てこないから。 顔が見えない悪役だから、実感を持って憎むことができない。 もし巨大派閥のメンバーが出てきて自衛隊を侮蔑するような発言を繰り返していたら、私の態度は違っていたでしょう。 もう一つ、メインの理由として、「巨大派閥が諸悪の根源である」「巨大派閥の謀略がなければ真田は事件を起こさなかった」とすれば、「なぜタイトルがゴルゴタなのか」「なぜ真田はロンギヌスを名乗るのか」が説明できない。 真田が殺人動画をネットにアップするとき、ロンギヌスというハンドルネームを使っていますよね。 長間が「ゴルゴタの丘だ。世界にアピールするために派手に処刑したんだ」って推測してますよね。 なぜハンドルネームがロンギヌスなのか。ロンギヌスは、イエスキリストの処刑に携わり、イエスキリストを槍で突き刺した人物です。 「自らをロンギヌスになぞらえる」ということは「処刑した相手をイエスキリストになぞらえる」ということに他なりません。 しかし、真田が殺した犯人グループは、楽しみのために強姦や殺人をするなど、 イエスキリストのイメージとはまったく正反対。ヤクザや警察も、やはりイエスキリストとはかけ離れている。 では、真田が「本当に処刑したかったもの」とは何なのか。 それは「個々の人間ではなく、イエスキリスト的な考え」だと思うのです。 イエスキリストは「汝の敵を愛せ」「右の頬を撃たれたら左の頬を差し出せ」みたいに、「ゆるし」の言葉を残していますね? 真田は、そのような「悪に対して寛容である考え」が日本に蔓延しており、「それゆえに悲劇が起こり、俺の家族は殺され、処罰もされなかったのだ、その考えこそが諸悪の根源である」と考えています。 ゆえにロンギヌスを名乗り、「イエスキリスト的な考え」を滅ぼすために戦ったのです。 真田は、もちろん「巨大派閥」のことは知っており、奴らは敵だと認識しているでしょう。 しかし、「まず巨大派閥ありき」ではなく、「イエスキリスト的な考えが蔓延した結果、巨大派閥が跳梁跋扈している」という認識なので、真に倒すべきは「巨大派閥」ではなく「イエスキリスト的な考え」である。 事実としては「巨大派閥がなければ真田は事件を起こさなかった」かも知れません。 が、真田の認識としては違う。あくまでも「イエスキリスト的な思想」が悲劇の原因である。 警察を殲滅したのは「悪に対して寛容である」(と真田が考えたから)。 そして、警察と銃撃戦をして世界中の注目を集めることが、「日本全体の思想を変える」ために必要だったからです。徹底的に派手にやって、世界中の人々の語りぐさになる必要があった。 「ゴルゴタ」「ロンギヌス」「真田は聖書を熱心に読んだ」ことから導き出した、私の考えです。 まあ、最初に感想を書いた時は、ここまで考えていませんでしたが。 >日下部もバカじゃないので、自分の真田解釈が片思いだと本心では気付いていて、突っ込んだ話をしてしまうとそれがはっきりしてしまうので、抽象的で表層的なやりとりしかしなかった、とか。 「日下部は真田の心情を正しく理解していない、片思いである」というのは私も同感ですが、「それを日下部も自覚しているので、抽象的な命令しか出さない」とは思っていませんでした。 「なるほど、そういう考えもあるか!」と膝を叩く思いです。 あとそれから、 >ラストバトルは陳腐でした。それまで圧勝してきた真田が、肉弾戦でちょっと苦戦とか。そういうよくあるパターンじゃなくて工夫して欲しかった。 いろいろな感じ方があるものだと思いました。 私はラストバトルが一番好きで、興奮しました。 お互いに認め合うが、けっして相容れない信念を持つ二匹の男が、獣と化して噛み合うんですよ。 「ここで相打ちになるのがベスト」と私が言うのは、バトル後の長間が「たとえ時効になっても関係ない、どんな汚い手を使っても真田を殺す」という心境になってしまったから。 「復讐殺人をみとめれば法治国家は終わり」という長間の信念は、もう無い。警官であることを逸脱し、真田と同じ修羅になってしまった。
無題
>私が「巨大派閥」を重要視しない理由は2つあります。
必要以上に重要視する必要はないと思いますが、必要以上に軽視する必要もないと思います。 > まず、伝聞の形でのみ登場し、直接出てこないから。 顔が見えない悪役だから、実感を持って憎むことができない。 もし巨大派閥のメンバーが出てきて自衛隊を侮蔑するような発言を繰り返していたら、私の態度は違っていたでしょう。 私は逆で、直接出てこないことでより卑怯さが際立っていると思う。 「おおごとになって連中も慌ててるだろう」みたいなセリフがあるが、そうかな?と思う。想定外でちょっとびっくりしたが自分たちの裏工作が世間にばれたわけでもないので別にいいやと屁でもこいてるんじゃないか、とか考えて腹が立つ。 (ただ、巨大派閥の工作により証拠改竄に動いた警官がいることは警察幹部も把握しているようなので、裏工作が原因で警察大虐殺などが起こってしまった以上、巨大派閥は今後 警察に対し今までのような影響力を行使できないかもしれないし、今回のことが弱味になって逆に警察から政治的に操られる立場になってしまったかもしれない。そう考えると、真田は直接攻撃する必要がなかったのかもしれない) > もう一つ、メインの理由として、「巨大派閥が諸悪の根源である」「巨大派閥の謀略がなければ真田は事件を起こさなかった」とすれば、「なぜタイトルがゴルゴタなのか」「なぜ真田はロンギヌスを名乗るのか」が説明できない。 「諸悪の」根源とはいいませんよ。 だが、真田が事件を起こす原因であり、日下部の「こわい考え」を引き出した原因ではある。事件後に聖書を熟読し出すタイミングも、犯人のほぼ無罪が確定して、蓮井のところに押しかけるがまったく相手にされなかった後から。 ゴルゴタ、ロンギヌスが説明できないというので何故だろうとますださんの文章を読みましたが、ますださんも「事実として起こらなかったかも」とか「最後の一押しだった」と書いている。 で、理由は「真田の認識としては違う」だけですね。これについては後述します。 > 「ゴルゴタ」「ロンギヌス」「真田は聖書を熱心に読んだ」ことから導き出した、私の考えです。 まあ、最初に感想を書いた時は、ここまで考えていませんでしたが。 「犯罪に甘い社会を告発したかった」という世俗的な言い回しから、「イエス・キリスト的な考えを抹殺したかった」という宗教的かつ抽象的な言い回しへ変えても、真田がめちゃくちゃで筋が通ってないことにはなんら変わりないのです。 「やっぱり警察を虐殺する必要ないだろ?」 「このやり方じゃ、語り草にはなっても意図は伝わらないよ。」 ただ、宗教的なぞらえや抽象的目標設定をすると、「と、真田は考えた」「と、真田は認識した」という具合に、「真田の中では筋が通っている」と強弁することが可能となって便利であるというのはよく分かります。 > 真田は、そのような「悪に対して寛容である考え」が日本に蔓延しており、「それゆえに悲劇が起こり、俺の家族は殺され、処罰もされなかったのだ、その考えこそが諸悪の根源である」と考えています。 これは無理がある。 もう何度も書いてるが、作中に「悪に対して寛容」なんて描写は皆無。 真田は誰からも犯人を許してやれなどと言われていない。 ますださんは「悪事がバレずに罰せられない」と「悪に対して寛容」を混同しているが、それは間違いである。ヤクザは悪事がバレれば罰せられる。巨大派閥も裏工作が世間にバレれば失脚するだろう。 人身売買の罪が軽いというのも、法がまだ完全に整備されていないだけで改正されてきてはいると書かれてるし、悪に寛容なことが理由ではない。 妻殺しの犯人が処罰されなかったのも、巨大派閥は自衛隊へのブラックプロパガンダに使いたかったのである。少年犯罪者は更生を優先すべき寛容であるべきと考えて無罪にしたわけではない。こんなこと真田だって分かってるはず。ここから「日本社会は悪に寛容」などという発想にいくわけがない。 繰り返すが、作中に悪に寛容な描写などないし、そんな思想が日本に蔓延しているという描写もない。よって、それを真田が抹殺したかったということもない。 (もちろん現状には不満を抱いているだろうから、長間の言ってるように、事件をきっかけにいろいろ変わらざるを得なくなるように追い込むとは考えていたでしょう。しかしそれだって長間が言ってるように「どう変わるのかは分からない」。真田のあのやり方でそこまでコントロールできるわけない) >「自らをロンギヌスになぞらえる」ということは「処刑した相手をイエスキリストになぞらえる」ということに他なりません。 えーっ? 私は、真田にとってのイエスは妻のことだと思っていたよ。 長間は「処刑人きどりか!」って怒ってましたけど、ロンギヌスってイエスを処刑したわけではなく、処刑が済んだあとのイエスが本当に死んでるか、死体のわき腹をつっついて確かめた人、でもそのことで歴史に名を残した人。 真田の妻は殺され、時間も経過し、世間では事件など無かったかのように、そんな人間初めから存在しなかったかのように、早くも忘れられてしまった。 でも本当に終わったのか、終わらせていいのか、真田の一連の事件はわき腹をつっついて確かめる行為。そのことで歴史に強烈に事件を刻む行為。妻の事件をきっかけにさまざまな制度改正などが行われるように持っていくことで、その死を無駄にはしないという行為。 その目的のためには罪のない警官でも平気で殺す。聖書を読んで「憎しみで人を殺してはいけない」と学んだので憎しみなしで殺せる。 だから真田は妻の人生を編集した映像をネットにアップした。 四谷ゴルゴタが終わった以上、長間を殺す必要はなく「そんな理屈は通らん」「理屈じゃない」というやりとりをしたが、確かに理屈じゃなく、ようは妻への愛だった。だから「じゃあなんだ」「それは答えたくないな」。妻を愛さなかった長間には理解できまい。 結局、真田が罪もない警官たちを虐殺した理由というのは、作中にもあるように忘れられないインパクトを与えるため、以外の理由がないのです。 でも、すでに指摘したように、インパクトを与えるのなら、真田の能力をもってすれば、他の方法がまだまだ考えられる。 真田は能力が高過ぎるんです。それで自分に十分実行可能な作戦を立てて、その通りに実行しただけなので、「この方法しかなかった」という切実感や緊迫感がない。 「真田の中では筋が通ってる」と押し通すことは可能だが、外から見ればめちゃくちゃで筋は通ってない。長間が「理屈は通らん」と怒るのも当然だ。 真田は、警官だろうがマスコミだろうが、「罪のない人間は殺さない」という条件設定を付け加えて、自分の作戦の難易度を上げるべきだった、というのが私の考えです。 (さらに言うなら「具体的な悪事を働いた連中をしらみつぶしにする」「その悪事の証拠を暴露する」も付け加えればなおカタルシスがあった)
無題
>NONAMEさん
返答に悩んでいたので遅くなりました、ごめんなさい。 まず要点から申し上げますと、 「真田にとってのイエスは妻」というNONAMEさんの意見は、「真田にとってのイエスは『悪に寛容な考え』 という私の意見よりも、だんぜん説得力がある。 「理屈じゃない(ようは妻への愛だから)」 「それは答えたくない(妻を愛していない長間には理解できまい)」 このあたりは美しい流れで溜息が出ました。 長間の夫婦仲が冷め切っていることなんて真田が知ってるいるわけがないんですが、作者は知っているわけで、対比させる意図があって書いたのだ、と言えば、なるほどです。 全体として、NONAMEさんの意見のほうが遥かに正しく思える。 「真田は、悪に寛容な考えを告発したかった」という主張は撤回します。 100パーセント同意するわけではなくて、 「直接でてこないので巨大派閥を憎めない」ますだと、「直接出てこないからこそ卑怯に感じる」NONAMEさんは、感性の違いであって、どちらが正しいといえるものではないと思います。 だから、今もなお、巨大派閥を実感を持って憎むことは出来ません。 また、 >ますださんは「悪事がバレずに罰せられない」と「悪に対して寛容」を混同しているが、それは間違いである。 >ヤクザは悪事がバレれば罰せられる。巨大派閥も裏工作が世間にバレれば失脚するだろう。 この意見に関しては、同意半分、疑問半分。 「私自身が犯罪の被害者だとしたら、その二つを区別できないだろう」とは思います。 が、真田は感情と行動を切り離せるので、「犯人が裁かれなかった理由は何なのか」を適切に理解して、曖昧な対象を敵視することはないので、私のようにはならない。 だから、真田が「悪に対して寛容」と感じなかったことは、理解できる。 ヤクザは悪事がバレていないわけではなく、悪事がバレていても「警察の一部が、ヤクザに弱みを握られているから」摘発できないのだ、とはっきり書かれており、巨大派閥も「警察が手出しできないくらい巨大派閥だ」と書いてあるので、世間にバレてもごまかせる可能性がある。というか、あの様子だとマスコミも巨大派閥の勢力下であり、「世間にバレて失脚」というのは、ほとんどありそうにない。 が、「ヤクザや巨大派閥が摘発されない理由」というのは、「摘発側の無能」ではあっても、「摘発側の寛容」とは違うので、やはり、「悪に対して寛容な社会というのは無理がある」。 細かいツッコミはあれど、全体としてNONAMEさんの意見が正しいと思います。 >真田は、警官だろうがマスコミだろうが、「罪のない人間は殺さない」という条件設定を付け加えて、自分の作戦の難易度を上げるべきだった、というのが私の考えです。 うーん、分かりました。 そのほうが真田に感情移入できて応援しやすいし、そういう縛りのお陰で苦戦を余儀なくされるほうがストーリー的にも盛り上がる、というのは、同意します。 無関係な人間を殺してしまった復讐者というのは、ふつう、「あなたも、憎んでいた相手とおなじになってしまったんですね」という感じで報いを受けて死ぬ、というのが正しい展開だと思います。だから真田は死ぬべきだと私は思う。 が、能力的に高く設定しすぎて、長間に負けて死ぬ展開は無理がある。 だったら、無関係な人間を殺す、のはやめるほうがすっきりするわけですね。
無題
ああ、そうそう。
NONAMEさんとのやりとりを通じて、 「真田の殺しには正当性がなく、復讐を逸脱しているし、社会変革のためとしても適切じゃない」ということが私にもわかってしまいました。 真田の正当性が下がったぶん、「真田よりも日下部が怖い、自衛隊怖い」という気持ちもだいぶ消え去ってしまいました。
無題
>細かいツッコミはあれど、
>ヤクザは悪事がバレていないわけではなく、悪事がバレていても「警察の一部が、ヤクザに弱みを握られているから」摘発できないのだ、とはっきり書かれており、 いや、そんなこと、どこに書いてありますか? じっさいに書かれているは、組長の石田が「下僕にしている警官は一人や二人じゃない」ということだけですよ。 悪事に関してはバレてるとも何とも書いていない。まあ、下僕にしている警官は同じ犯罪者なわけだからバレても問題ないでしょう。でも下僕にしていない警官のほうが当然多いわけで、そちらにはバレたら摘発される。「石田もすべての警官に顔がきくわけではない」と書いてある。 ますださんの書き方だと、警察全体が石田組の犯罪を把握しているが、警察自体の弱味を握られており、そのために見逃しているように読めてしまうが、そんなことは書かれていない。買収されて犯罪者になった警官が何人かいるだけでしょう。 >巨大派閥も「警察が手出しできないくらい巨大派閥だ」と書いてあるので、世間にバレてもごまかせる可能性がある。というか、あの様子だとマスコミも巨大派閥の勢力下であり、「世間にバレて失脚」というのは、ほとんどありそうにない。 「警察が手出しできないくらい」とか具体的なことは書かれてませんよ。 派閥の工作を知っているらしい警察幹部が、長間の追及をかわそうとして「お前が知ったところでどうにもできん」と言ってるだけ。 当然マスコミにも影響力はあると思いますが、完全制御下にあるような全能な書き方はされていないし、そうじゃないんでしょう。というか、そこまで全能なら小細工してまで自衛隊を牽制する必要なんかないわけで。 問題なのは、やり方が巧妙なので、悪事の証拠を客観的に明確に示すのが難しいという点でしょうね。それがまた「憎たらしいポイント」になっているわけですが、逆に言えば、明確な証拠があれば失脚するでしょう。世間をごまかせるかもしれないが、ごまかす必要があるということは、世間が悪に寛容ではないということです。寛容なら「まあそれくらい、いいじゃない」とごまかさなくても罰しようとはしないでしょう。 やはり、「悪事のやり方が非常に巧妙で罰せられない」と「悪に寛容」は違うといえるでしょう。小説ほかで、明らかに悪事を働いているが証拠はないので手が出せない(罰せられない)で正義側が悔しがるというのはよくあるパターンで、これは「悪に寛容」という描写ではなく、「悪への憎たらしさを際立出せる」表現でしょう。 > 無関係な人間を殺してしまった復讐者というのは、ふつう、「あなたも、憎んでいた相手とおなじになってしまったんですね」という感じで報いを受けて死ぬ、というのが正しい展開だと思います。だから真田は死ぬべきだと私は思う。 真田が社会に対しての必要悪、つまり、社会を改善するためにあえて自分が法律を犯すのだ、ということであれば、最後は「でも法律を犯すのは悪だから自分も死んでけじめをつける」となるでしょう。 でも、真田は自分が社会の必要悪とも、社会改善するとも考えてない。 真田は社会を変えたいと思っているが、それは妻の存在を刻むためで、刻んだ結果、社会が良いほうに変わろうが悪いほうに変わろうが関知していない。 だからやりたいことをやったあとは、どうしていいかわからない(社会に対して責任を取るなどの発想はない)ので、日下部のところに行って、指示を下さいとベソをかいている。 >真田の正当性が下がったぶん、「真田よりも日下部が怖い、自衛隊怖い」という気持ちもだいぶ消え去ってしまいました。 最初は、こちらについて書こうと思っていたんですよね。 ますださんの、日下部こわい、自衛隊こわい、という感想は正しいと思ってますので。
無題
>NOMANEさん
>やはり、「悪事のやり方が非常に巧妙で罰せられない」と「悪に寛容」は違うといえるでしょう。 わかりました。 >最初は、こちらについて書こうと思っていたんですよね。 ますださんの、日下部こわい、自衛隊こわい、という感想は正しいと思ってますので。 「真田は、犯罪に寛容な思想を撲滅するために戦ったわけではない」 「犯罪に寛容な思想は無かった」 「真田は妻のために戦った」 「日下部は自衛隊の名誉のためであり、真田とは考えが違う」 これだけ意見が一致した(NONAMEさんに説得された)わけですが…… この先は何の話をするのか、最終的な着地点が見えません。 「巨大組織を憎たらしく感じるか否か」というのは感性の問題であって、話し合って変わるものでもないと思います。
無題
>「巨大組織を憎たらしく感じるか否か」というのは感性の問題であって、話し合って変わるものでもないと思います。
こんな考え最初からこちらにはないんですが。 異様なまでの警戒感というか、最初から最後までずっと奇異な印象でした。 最後にあげられている「同意点」も表現のニュアンスが微妙で、どこまで分かり合えたのかなあ、という…。 あと、明らかな誤読が多すぎ。 こちらの指摘にもよく確認しないし。 図書館で借りて読んだか何かで、手元に本がないんですか? 何だかまくしたてられるばかりで、こちらも途中からは完全に受け身で、なるべく丁寧に応対したら勝手に納得された、という感想です。 では。
無題
>NONAMEさん
「では」というのは「会話を打ち切りたい」という意味かもしれませんね。 返事が来ないことを覚悟して書きます。 「増田が変なことを言うので反論orたしなめていただけで、私が言いたかったことは別にある。本題を喋らせて欲しい」ということなら、私の早とちりでした。 まだ会話の意志が残っておられるなら、「日下部こわいは正しいと思う」の続きを聞きたいです。 >こんな考え最初からこちらにはないんですが。 異様なまでの警戒感というか、最初から最後までずっと奇異な印象でした。 私が「日下部こわい」と書いたら「その怖さを生み出したのは巨大派閥」とNONAMEさんがおっしゃったので、「日下部は巨大派閥の被害者であって悪くない」という擁護論だと思ったのです。 ところが「日下部は一人よがりの片思いで、真田も筋が通っていない」と言う。 だとすると、「なぜ、ますださんは自衛隊ばかり批判して巨大派閥を糾弾しないのか」という問いかけが残ります。だから、「ますだが、巨大派閥を悪役として重要視しない理由」をずっと語り続けたわけです。 >図書館で借りて読んだか何かで、手元に本がないんですか? いえ、手元に持ってます。読み込みが足りなかったのは反省します。 というより、思えば、「悪に対して寛容な社会を糾弾したい」というのは、ゴルゴタに書いてあるというより、私自身の考えで、それが先入観となって読み方を引っ張ってしまった可能性があります。 |
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