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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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「こなたま」さんという人が2chで連載した「やる夫がフューラーになるようです」を読んだ。

 2008年から2011年まで連載されたもので、もう何年も前のものだけど、いやこれが実に面白くて、なんで今まで読まなかったんだろう!
 ここ1、2週間くらい、隅から隅まで夢中になって読んだ。
 スゴイ面白かった!
 こういうのはなんて言うんだろう……小説とは違うしマンガでもない……
 「やる夫スレのAA物語」、としか言えない……

 フューラーというのはナチスドイツの総統、アドルフ・ヒトラーです。
 ヒトラーの青年時代から、ナチ党への参加、ミュンヘン一揆、失敗後の再建、選挙、政権獲得、ドイツの支配者になるまでを描いています。
 いろんな歴史上の人物が、アニメキャラのAA(アスキーアート)の姿を借りて、カリカチュアされた姿ではあっても魅力的、人間性たっぷりに描かれている。
 私はドイツ軍好きではあってもヒトラーはあんまり好きじゃなくて、総統になる以前のことは「若いころはダメ人間のワナビだった」「軍隊では勇敢だった」くらいの知識しかなかった。
 ましてワイマール共和国の政治家なんてぜんぜん知らん。(知ってたのはローザ・ルクセンブルクなど、共産主義関連の人だけ)
 でもこれが、ナチスもその敵対者も、面白い奴ばっかりで。

 前半で興味深いのはエーベルト大統領かな。
 左翼でありながら、共産主義の暴動を弾圧したので左翼から憎まれ、右翼からは弱腰の売国奴と憎まれ、それでも最大限、安定と民主主義を守ろうとした姿が泣ける。

 中盤では、ヒトラーの恋愛面が面白かった。
 エヴァ・ブラウンは有名だから知っていましたが、マリア・ライターという少女に惚れられていたのは知りませんでした。初々しい恋愛で、妬ましくもあり、微笑ましくもあり。
 ヒトラーのまわりには相思相愛の女の子が何人もいたのに、なかなか一人に決めなくて、ラブコメ主人公みてーだな。
 優柔不断ぶりのおかげで、女の子が次々に自殺して、ちっともコメディじゃねーけどな。
 ラブコメ主人公と政治権力が合体すると人が死ぬ。みたいな。

 終盤は、レーム(突撃隊)、ヒムラーとハイドリヒ(親衛隊)、ゲーリング、ヒンデンブルク大統領とその側近など、さまざまな人物の思惑がドーッとぶつかりあって、濁流となって一つの結末に流れ込んでいくところに、すごいダイナミズムを感じだ。
 生きた歴史!! という感じ。

 映画「ヒトラー 最後の12日間」も良かったけど、こっちの「やる夫がフューラーになるようです」も「人間・ヒトラー」を描いた傑作だと思う。
 とにかく、歴史って面白いなあ! と興奮させてくれる、素晴らしい作品だった。
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 「おそ松さん」を見ている。
 第1話のパロディはちょっと白けたけれど、2話、3話、4話と見てると、「これはすごいな」。
 笑えるし、「これは画期的なアニメじゃないのか」という気もしてくる。
 昔の「おそ松くん」を見てないから、この作品だけの評価になっちゃうけど。
 外見はほとんど同じ(僅かに違いはある)の六つ子たちが、声優の演技によって演じ分けられ、見ているうちに、「別の人格」として立ち上がってきて、関係性までわかってくる。
 こんなアニメもあり得たのか。
「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」4話、5話を見た。
 うーん。
 いまでも面白いけど、SF的にちょっと……という点が出てきたな。
 5話の宇宙戦闘は、ネットでは高く評価されてるみたいだけど……
 SF的にはダメでしょう……

 1 
 やっぱり、「宇宙船の高度を下げたから遅くなった」というビスケットのセリフは無理があるよ。
 ニュートン力学的に、逆ですよ。高度を下げたら速度は上がるものです。
 衛星軌道でも弾道飛行でも、上がります。

 2
 「180度反転するには足を止めないといけない」
 「止めたら敵の攻撃を食らってしまう」
 「だから小惑星にアンカーを引っ掛けて反転する」
 「逃げ切った!」
 という話の流れになってるけど。
 180度反転するには止まらなければいけない、という理屈が分からない。
 宇宙船が軌道を曲げるとき、停まったりしない。
 いちいち減速するなんて推進剤の無駄。
 周回軌道の速度(火星の場合、低軌道では秒速3.5キロくらい)を出したまま、大きなカーブを描いて反転すればいいわけで。
(作中の映像だと、眼下の火星はけっこう小さかったから、高度は数千キロくらいで、もっと遅いですかね)
 それができないなら「推進剤の量が足りないから」ということになるわけだけど。
 じゃあモビルスーツが縦横無尽に飛び回っているのは何故ですか、みたいな。
 どっちも「エイハブ・リアクター」が動力源ではないのかな?
 そもそも秒速3.5キロで「推進剤が足りなくて曲がれない」というんならほかの惑星になんぞ行けないでしょう。
 だって地球の脱出速度は11.2キロですよ。
 
 3
 モビルスーツが銃を撃つとき、反動の描写がない。
 レーザー砲やメガ粒子砲だったら、質量がゼロに近いものを撃ってるんだから反動を無視してもいいけど、でもオルフェンズの世界では普通の砲弾を撃ってるんでしょう?
 口径が120ミリと仮定すると、砲弾質量は20キログラムはあるでしょう。
 今日の戦車砲と同じ、秒速1500メートルで発射した場合、運動量は30000kg・メートル毎秒だから。
 モビルスーツの質量が40トンだと、3万を4万で割って0.7。秒速0.7メートル(時速3キロくらい)の速度で後ろに飛ぶことになる。
 連射すれば、でんぐり返ってしまいます。
 スラスターを噴射して相殺しないとダメでしょう。

 4
 遠距離から撃ちあってもラミネートアーマーを貫通できない、というセリフがありますが。
 宇宙は大気の抵抗がないわけですから、遠距離でも近距離でも砲弾の速度は同じ。
 威力も同じであるはずです。(命中精度が落ちるならわかりますが)

 もちろん科学的に正しいかどうかかが全てではないし、面白くするためなら科学を無視しても構わないけど……
 ここで科学を無視して、本当に面白くなるのか?
 「反動」「弾切れ」「排莢」「煙」「重力で弾道が曲がる」などを描いてこその「ビーム兵器禁止」じゃないか?
 オルフェンズはリアリティー重視で地味に行きます、というふうな印象があっただけに、うーん、ちょっとなあ、と思ってしまう。

 たとえば、シンフォギアシリーズとかキルラキルに対しては、科学的にありえないとは言いません。
 第一印象からしておもいっきり非現実的な話で、「ああいうことが可能な世界なんだ」って前提があるから。。
 現実とは違う世界の中で、非現実的であることを楽しめばいい。
 でもガンダムはなあ……
 他のロボットアニメと比較してリアルであろうとする、というのは、ガンダムの大原則じゃないのかなあ……
 そんな原則は俺の頭の中にしか無いのか……?
 でも、多くの人間が、ミノフスキー物理学を創作して設定のツジツマを合わせてきたのは、リアルであってほしいという欲求があったからですよね。

 「鉄血のオルフェンズ」3話、やはり面白い。
 視聴率はとても悪いらしいが、路線変更せずに踏みとどまってほしい。
 昔の特撮みたいに、子供向けにテコ入れしたら、俺泣いちゃう。
 ハードでシリアスで、現代を鋭く描いた、「残酷な戦争を乗り越える物語」を貫いてくれ。
 ガンダムには「反戦」という要素もある。
 私の知る限り、反戦要素をいちばん追求したのが「0080 ポケットの中の戦争」。
 その先を見たい。

 ネットでは、「眉一つ動かさずに人を殺しまくる三日月が怖い」という意見がある。
 でも三日月は、アトラのブレスレット(ミサンガ?)を隠してる。人の心が描写されてる。
 あいつは「人殺しは悪いことだ」「平和な方がいいんだ」って間違いなく思ってる。
 でもそれは自分には手が届かない、って諦観してるだけだ。
 殺人マシンじゃない。
 オルガのほうが怖いよ!
 ガンダム操縦は仕方ないけど、なんで一軍連中を粛清するのも三日月にやらせるんだ。
 縛られてる奴を撃ち殺すだけですよ。オルガでもできるじゃん。
 口で命令するだけで、汚れ仕事は全部子分にやらせるとか、お前ヒドイ奴だなあ。
(もしかするとオルガは人を殺せないのかも、それがバレるとリーダーでいられないから、カッコつけてごまかそうとしているのかも)

 オルガと三日月をみていると、幕末の武市瑞山と岡田以蔵を連想する。
 全く無学で、人殺し以外何もできない以蔵は、カリスマ的リーダー武市の忠犬となり、命令されるがままに人を斬りまくる。
 だが結局、見捨てられて無残に死んでいく……

 というのが、フィクションに出てくる岡田以蔵だ。
 史実の以蔵はぜんぜん違うみたいだけど、マンガなどの影響で、私の中の以蔵はそんな感じになっている。

 切り捨てられて死ぬかどうかはともかく、オルガと三日月は対立するだろうし、対立しないと。
 あの二人の関係は「信頼」とか「忠義」とかポジティブなものじゃないよ。
 

 


 2013年頃、「聲の形」(週刊少年マガジンに載った読み切り版)について批判的なことを書きました。
 あれはイジメを正当化するマンガだと。
 反論もありましたが、「そのとおりだ!」という意見もあり、2年半たった今でもレスが付きます。

 で、その後、連載版が始まって終わって。
 今度はアニメ化されるそうで。しかも京アニが。
 京アニが! 京アニが!
 
 そろそろ私は、この作品をどう思うか、最終的な結論を出さないといけない。

 ひとことで言うと、
「読み切り版よりも連載版のほうがいろいろ考えられている。私のような感想のことも想定して書いてるんだろう。作者は頭がいい。
 でも、やっぱり好きにはなれない。」
 ということだ。
 長い一言だな!w

 主人公が精一杯、罪を償おうとしているのはわかる。
 それにたいしてほかの登場人物が、「自分が楽になりたいだけだよね?」というたぐいの非難をしている。突き放して客観視している。

 そしてヒロイン硝子が、なぜ主人公のことを恨まないのか、ということも、ちゃんとフォローされている。
 要するに罪悪感だろう。自分が障害者として生まれてきたことで親が苦しんだから、自分のことを肯定できない。非常に罪深いと思っている。
 だからいじめを受けても「仕方ない」と思ってしまうんだろう。
 下手をすれば「これで少しは、生まれてきた罪を償える」くらいに思ったんじゃないか。
 そこまで自己評価が低い子が、主人公によって変わり、自己を肯定できるまでの物語……
 として、ちゃんと構築されているんですよ。連載版を最後まで読むと。

 でもね……
 そんな女の子ってすごく悲しい存在だと思うんだ。
 イジメよりも悲惨で、イジメですら救いと感じる女の子だよ?
 
 イジメさえも、それ以上の悲惨と比較すれば、たいした被害でも加害でもない。ということでしょう。

 そんなふうに描いてしまった作者に反発するな、私は。

 障害者の苦しみとくれべればイジメなんて大したことねえよ、って理屈を認めてしまったら。
 「日本の障害者はまだ幸せだ」「アフリカの少年兵や、インドの低カーストはもっと悲惨だ」「死んだ赤ん坊と比べれば、生きているだけで幸せだ」って理屈にもなるでしょ?
 世の中悲惨なんだから仕方ねえよ。っていうヤケクソな虚無主義にしかならない。
 無限の退歩だろう、それは。

 目の前で苦しんでる人がいる、しかも子供が、というイジメの現実に対して、誠実に向き合っているとは、私には思えなかった。

 続く。


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