ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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映画「レディ・プレイヤー・ワン」を見ました。
 
 仮想現実の話です。
 仮想現実の舞台にしたゲーム「オアシス」が大流行している世界。
 「オアシス」は世界中で何十億人もの人間が夢中になっている。
 もう、単なるゲームじゃなくて、もうひとつの現実といってもよいくらいだ。 
 で、その「オアシス」を作った天才ハリデーが死んだんだけど、死ぬときに遺言を残した。
 「オアシスの中に3つの鍵を隠した。それを見つけた者に、オアシスの経営権を譲る」って。
 オアシスを手に入れるために、多くのものがオアシスの仮想現実内を探しまわっている。
 特に、IOIという悪徳企業が、血眼になってたくさんの人員を投入している。
 それなのに、まだ5年たっても一つも見つからない。
 そんななかで、貧しいオタクの青年ウェイドは、偶然一つ目の試練をクリアして、鍵を一つ手に入れてしまう。
 ウェイドは英雄として注目され、悪徳企業IOIからも命を狙われる。
 ヒロインのアルテミスはIOI社に父を殺され、IOI社に立ち向かうレジスタンスを組織していた。
 ウェイドはアルテミス達と力を合わせ、IOI社の刺客と闘いながら、3つの鍵を揃えるため冒険する。
 
 面白いんだよ。
 ゲーム内での闘いのシーンはスピード感バツグンだし。
 主人公が「闘いだ! みんな来い!」って呼びかけて、思い思いの装備を身につけた数万人の大軍団が集まってくるシーンは、興奮した。
 ガンダムも出るし。
 それと平行して現実世界での闘いもあるのが面白い。
 敵のボスが意外に間抜けで笑える。そんなところにパスワード置いとくなよ。
 でもさあ……

 主人公は最終的に敵のボスを倒し、3つの鍵をそろえ、オアシスの所有者となる。
 それでね。

 「オアシスは週に2日、休みにした。
 現実こそがリアル、人は現実に生きるべきだから。」

 ヒロインと抱き合いながら、「人は現実に生きるべきだから」って言うの。
 それがラストシーンなの。
 
 あのさあ、あんた、それはないでしょ。
 あなた、ゲーム内ですべてを手に入れた人間じゃないですか。
 カネも、友も、恋人も。
 それなのに、ゲームを否定して「人は現実に生きるべき」って、あんまりにも恩知らずだ。
 ネットでは「ゲームの世界を守るためにも、現実を守らないと」って解釈してる人もいる。
 極端な話、体を壊して死んじゃったらゲームできないし、仕事もやらないといけない。
 そうかもしれない。
 でも、それなら「ゲームも現実も大事」という言葉になるはずで。
 「現実こそがリアル。人は現実に生きるものだから」というのは、ゲーム世界全否定にしか聞こえない。
 やっぱりおかしいよ。
 「現実こそがリアル、人は現実に生きるものだから」というセリフを、説得力を持って主人公に言わせたいなら、主人公はオアシスを手に入れてはいけない。

 私だったら、こうする。
 最後の最後で、鍵を手に入れてオアシスの所有者になるか、それともヒロインの命を救うか、両方はできない、という選択が発生する。
 そこで主人公は、あんなに好きだったゲームを否定し、あえてヒロインの命を選ぶ。
 主人公は単なる貧乏人に戻り、仲間からも「お前には失望した」って蔑まれる。
 それでもいいんだ、最愛の人が生きていてくれたから。

 こういう終わり方であれば、「人は現実に生きるべき」というセリフを言わせてもいい。

 これだとオアシスは悪者IOIが手に入れてしまうから後味悪すぎるな。
 じゃあ、破壊しよう。
 主人公は闘いに負け、IOIに鍵を奪われた。
 このままではオアシスはIOIのものになってしまう。
 あんな奴らに渡すくらいなら、と、主人公はオアシスを抹消する。
 多くの人に恨まれるけど、でも、人は現実に生きるものだから……

 これもちょっと後味悪いな……
 でもじっさい、オアシス世界を破壊するというのは、展開としてアリだと思う。
 じっさいの映画でも、ハリデーは主人公に、オアシスを破壊するボタンを渡してるんだよね。
 だから最後の最後で、IOIが逆襲してきて、オアシスを奪われそうで、渡すくらいなら破壊する、という展開は可能だったんだよね。
 「人は現実に生きるべき」というセリフを出したかったなら、それが良かったんじゃないかな。
 まあ、とにかく、「人は現実に生きるべき」というセリフは、それまでの展開に全く整合せず、邪魔で、イラッと来るセリフだ。
 しかもあのセリフは主人公の中から出てきたセリフじゃないんだよね。
 ハリデーのセリフを借りてるだけなんだよね。

 なんだかなあ……
 
 主人公は現実世界では貧乏。ヒロインのサマンサも顔にアザがある。
 でも、「その程度の不幸」なんだよね。
 その程度の不幸だから「人は現実に生きるべき」って言えるんだよ。
 もっと寝たきりとか、全身が焼けただれて、二目と見られない姿で……
 「現実は地獄でしかない、ヴァーチャルの世界だけが救い」って人もいるはずで。
 そういう人だっているのに、週に2日オアシスを休みにするなんて、残酷で傲慢だと思いますよ。
 あと、ハリデーが「ヴァーチャルの世界では美味い飯が食えない、現実こそがリアル」って言いますけど、それは単にあんたの技術が足りないだけ。バーチャルリアリティで味覚を再現することは原理的には可能。
 それこそ、一昔前のサイバーパンクみたいに、脳に直接信号を送り込めば良いわけで。
 そうすれば美味い飯だろうが気持ちいセックスだろうが体験できる。
 「単なる技術不足」にすぎないものを「本質的な欠陥」にすり替えないで欲しい。
 「バーチャルリアリティを原理的に否定」したかったら、「最高のバーチャルリアリティ」を否定しなければいけない。
 
 そんなわけで、「面白かったけど、終わり方がスゲー納得できない!!!」という映画でした。

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