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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 映画「キャプテンハーロック」の感想です。
 ネタバレしますので、これから観に行く方はご注意を。







 念のためスペースをあけておきますね?











 こんなもんでいいですか?

 まず断っておくと、私はキャプテンハーロックという作品とキャラクターに、あまり詳しいわけではありません。
 松本零士の原作漫画はごく断片的に読んだだけで、TVアニメ版も観たことがない。
 知っているのは「銀河鉄道999」に出てきたハーロックと、あとはネットで聞きかじった情報だけです。
 だから偏った見方をしてるのかもしれない。松本零士の真意を理解しないで書いてるのかもしれない。
 「本当のハーロックは……」とか口が裂けても言えない。
 そう断った上で、それでも言うと……
「面白かったけど俺の見たかったハーロックじゃない」。

 まずこの映画の良かった点。
 第一に、アルカディア号のカッコよさ。
 骸骨のモチーフを今まで以上に強調し、まるで死骸を繋ぎ合わせて作ったかのようにグロテスク!
 ほんと気持ち悪い形をしていて、どう見ても正義の味方が乗る船ではなく、「大魔王の城塞」。
 でも観てるうちに、このグロテスクさが癖になって迫力を感じるようになる。

 第二にミーメがエロい。
 スゲーエロい。
 ウィキペディアでは「美しい異星人ではなく、気持ち悪い外見に変更されている」とのことだが、何いってんの、あれがいいんじゃない、あのばかでっかいグレイみたいな目と、人間の女性ではあり得ないスレンダー体型がクるんだよ! あんな容姿で全裸よりもエロい服を着て艦内を歩いていて、「おいおい、この映画、全年齢で大丈夫かよ」って思ったわ!
 
 第三に役者。
 私、実写の役者さんのことは全く知らなくて、ハーロック役の小栗旬というのが何やった人なのかも全然知らない。
 ただ、「声優には専門家を使うべき! 実写の役者なんてダメ!」って思っていた。
 思っていたけど……「いや、これはこれで上手いんじゃないの?」って思った。
 暗く、重苦しい、胸の内から絞りだすような喋り……「渋い」を通り越して「機械が軋んでいるような喋り」は、この作品のハーロック像にかなりマッチしていた。

 次に、「なんか違うんだよな……」「ハーロックってこんなんじゃないよな」という疑問点。
 やっぱり最大の疑問点は、ハーロックの行動原理だよね。
 私の知っている「999のハーロック」は、信義にあつく、強きをくじき弱きを助ける、義賊的側面の強い男。
 とくに若者の力を信じ、「少年が命がけで信念を貫く」ことを応援する、良き大人。
 この映画のハーロックは非常に破滅的・虚無的で、そのへん正反対といっても良いくらい。
 未来なんてねーよ、だったらいっそ、という考えで動いている。
 仲間がピンチの時は命がけで助けるけど、仲間じゃない奴は別に助けない。
 そもそも、「不死身の肉体を持っている」という設定なので、命がけに見えても、実は命をかけてない。
 とどめに、作中で明かされる、ハーロックの目的。
 中盤で出てくる「表面上の目的」が、「時間を巻き戻す」というもので、これがすでにハーロックらしくない。(松本零士イズムに反する。限りある生命だからこそ素晴らしい、の否定)。
 終盤戦に入って、「真の目的」が明かされるんだけど、これがなんと「宇宙を破壊してもう一度やり直そう」というもの。
 人間に絶望して世界を滅ぼし、天地創造をやり直そうだなんて、明らかに「悪のラスボス」がやること。
 この映画が「ファイナルファンタジー」などと揶揄されるのはCGのせいじゃないくて、ハーロックがRPGのラスボスみたいなことを口走るからですよね?
 結局、ハーロックは主人公の頑張りによって考えを改め、荒廃した地球の自力復活を助け、守ろうと決意して、再び戦いの旅に出る。
 ある意味ハッピーエンドではある。
 でもねー、最終的に考えを改めたにしても、「こんなダメな世界、滅ぼしてしまおう」って考えて準備しちゃってるからねえ……俺の求めていたハーロック像とは正反対の、打倒されるべき悪役だよ……
 つうか作中ではハーロックって、「海賊」らしいことは別にやってないんだよね。
 「超スゴイ爆弾」を仕掛けて回ってるだけw
 宇宙爆弾魔キャプテンハーロック! 

 「人類に絶望して世界を滅ぼそうとしたヤツが、主人公の努力やヒロインの愛によって改心する」
 という話は、わたし好きです。
 好きだけど、ハーロックじゃないよな……
 外見的にはハーロックを完全再現しているだけに、「内面が正反対」という点が気になる。

 そんなわけで、「ハーロックの外見が好き」という人にはおすすめできるけど、「中身が好き」という人は強い違和感を覚えることでしょう。
 
 続きます。
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 そうだそうだ、面白いSF短編を読んだんですよ。
 こないだ訪れた「文教堂書店 三軒茶屋店」。
 久々にきてみれば店内が改装され、背丈よりも高い本棚に、ハヤカワと創元推理がギッシリ!!!
 ギャー! 嬉しい悲鳴!!
 前から興味を持っていた、創元推理のSF短篇集「結晶銀河」「極光星群」「拡張幻想」を買った。
 年に1冊、その年を代表する傑作SF短編を収録してる。
 3冊で4000円もしたけど、それだけの価値は十分にある、素晴らしい。
 とくに、
 「極光星群」より、宮西建礼「銀河風帆走」
 「拡張幻想」より、伴名練「美亜羽へ贈る拳銃」
 この2本がめっちゃ面白かった。
 対照的な作風だけどね。
 1800万年後の超未来、肉体を宇宙船のごとく変異させて、太陽風ならぬ銀河風を浴び、他の銀河まで渡っていく少年少女……「銀河風帆走」。
 近未来、「撃った相手の脳を組み換え、永遠の愛を実現する拳銃」を発明した天才少女……「美亜羽へ贈る拳銃」。
 こうやって一行かいただけでも、すごさがわかるでしょう。無限の想像力を感じて「ギャーッ! こんな小説があり得るんだ!!」って、もう泣きたい。生きててよかった。
 
 
 そんなわけで「パシフィック・リム」見て来ました。
 アメリカ人にこれが作れるのか!!!
 っていうくらいの、バリッバリの巨大ロボットもの!
(ごめん、監督はメキシコ人でした)

 海の底に異次元のゲートが開き、巨大怪獣が襲来!
 それを倒すため、人類は総力をあげて巨大ロボット兵器「イェーガー」を開発!
 各国がそれぞれ特色あるイェーガーを製造し、力を合わせて戦うぞ!
 主人公(声・杉田智和)は、かつて兄とコンビを組んで活躍していたイェーガーパイロット。
 だが戦いで兄が戦死し、心を繋いだ仲間を失うのはもう嫌だと、いちど戦いから離れていた。
 巨大な壁をつくって怪獣を食い止めようという、虚しい工事に参加していた……
 そこにイェーガー部隊の司令官(声・玄田哲章)が訪れ、主人公を再スカウト。
 人類最後の決戦を挑むため、君の力が必要だと。
「どこで死にたい、ここか、イェーガーの中か!?」

 ほら、燃える導入部でしょう?
 主人公が兄を失った戦いも描かれるんだけど、この戦いだけでも「観てよかった!」というくらい迫力があって、しかも「怪獣とはどんなものか」「イェーガーはどんなふうに操縦して、どう戦うのか」「やられた時はどうなるのか」を克明に描き出していて、「理屈抜き! この世界はこうなんじゃい!!!」って骨に刻みこんでくれる。ガツンとやられたよ。
 
 最後までこの調子で、次から次へと襲い来る怪獣、ピンチまたピンチの連続。殴る蹴る斬るが中心のアクション、吹っ飛んで盛大に都市をぶっ壊す怪獣とイェーガー。
 人間ドラマは最小限なんだけど、でも研ぎ澄まされたドラマだ。
 ウダウダ悩んだり、湿っぽい話になったりはほとんどない。
 湿っぽい時も行動し決断しながら湿るので決して停滞しない。
 ユーモアもある。
 マッドサイエンティスト二人組すごい面白かった。
 中国人(?)の闇商人のオッチャン、猥雑でまがまがしい生命力にあふれていて、「中国人のガメつさ、怖いw お前らもカイジュウだろw」って感じ。だってオチがああだぜ?w
 
 そんなわけでメチャクチャ面白かった。
 面白かったんだけど……

 いくつか不満点が……
 監督はロボットも好き、怪獣も好きで、どうも怪獣のほうが好きなんじゃないかなという気がする。だって「好きな怪獣映画」の名前はいくらでも挙げるけど、ロボットアニメの名前は鉄人とかを挙げるのみで、「いわゆる王道のロボットアニメ」は挙げない。
 勇者シリーズとかエルドランシリーズは好きじゃないのかな? 俺的にはゴウザウラーがオススメです!

 いっぽう私はロボットアニメはそこそこ見ているけど、怪獣映画のことは全然知らない。
 だから「怪獣映画には怪獣映画の楽しみ方、お約束があって、ますだはそれを知らずにトンチンカンなツッコミを入れてる」可能性がある。多いにある。
 トンチンカンの可能性を承知で、一介のロボ好きとして言わせてもらうと……

 ロボのアクションに緩急をつけて欲しかった。
 作中の巨大ロボット・イェーガーは、アクションシーンの全編を通じて、全力全開。走ってジャンプしてパンチ、殴って取っ組み合って剣出してミサイル撃って……一瞬たりとも立ち止まらずにドッタンバッタンと戦う。そのたびにビルはへし折れ、クルマは豆粒みたいに飛んでいく。
 すごい迫力だし、血沸き肉踊るんだけど、でも、そればっかりだと……
 動いてるシーンの迫力をもっと高めるために、止まってカッコつけてるシーンも欲しかった。
 ロボットアニメのアクションってのは現実の格闘と違って、要所要所で止まってググッと見栄を切って、動くところは猛烈に動いて、その緩急の差でカッコよく見せるものだと思うのです。

 発進! ドォォォン!
 剣を出す!ガッキィィィン!
 敵と対峙、にらみ合い! ゴゴゴゴゴゴ
 紫電一閃、超光速の斬撃で敵をぶった斬る!
 斬った後、敵を通りすぎて数瞬、立ち止まる
 ビビビッ ブババ…… (敵の断末魔の呻き、敵の各所で火花が散り、光が溢れだし)
 ズッガーン! ロボの背後で爆発する敵
 爆発の中でキリリと立つロボ

 これでしょう。こういうもんでしょう。
 もしかすると、こういう「緩急の極端な」戦い方は「省力化のため仕方なく」なのかもしれない。
 毎週やるロボットアニメと、何年も掛けて制作するハリウッド映画、同じアクションができるわけない。
 でも私はノンストップアクションのプロレスよりもこっちのほうがカッコイイと思うのだ。
 
 あと細かいことだけど、画面が暗い。
 たまには青空の下で戦ってください。
 嵐のアラスカ、夜の香港、海底、みんなイェーガーが薄闇に溶け込んでしまって、いまひとつよく見えない。機体の各所に光る部位があるので、私はその光を頼りに、いまそのイェーガーが何をやってるのか認識しました。光ってなかったら本当に何も分からなかったはずです。
 
 さらに細かいことですが、イェーガーの名前が覚えづらい。
 名前を一発で覚えられたのはロシアの「チェルノ・アルファ」だけ。名前がすごくロシアっぽいし、「T90 別名 チェルノ・アルファ」ってのが良かった。「T90」! たちまちあふれるソ連力(ちから)!
 それにひきかえ、中国イェーガーが「クリムゾン・タイフーン」で、日本イェーガーが「コヨーテ・タンゴ」って、なんですかソレ。。
 それぞれの国の「らしさ」がぜんぜんなくて、だから覚えづらい。
 中国はやっぱ三国志の英雄名とか、神話の神の名にして、日本は……やっぱ「富嶽」とか「轟天」とか……「王」をつけるのもいいよな。「鉄鬼王」とか「鋼神王」とか……
 オーストラリアのイェーガーが「ストライカー・エウレカ」というのも、なんで唐突にギリシャ語がでてくるのか。設計を思いついた科学者が興奮のあまり全裸で街に飛び出したことに由来する?
 
でも、このへんのことはみんな細けえことだから。
 不満なんて1パーセント。

 要するに面白かったんですよ。
 ロボットアニメ好きはぜったい興奮します!

 そして映画館を出て見れば、深夜の街、殴りつける土砂降りの雨。道だか川だかわからないレベル。 
 ああ……
 熱血ロボットバトルを観た後のオタクを、こんな状況に放り込んだらどうなると思う!?

 「負けるものかよ……このマシーンがさ!」

 タイヤを空転させ、身長ほどもある水しぶきを全身に浴びながら、テンションマックスで帰ってきた!
 
 「スワロウテイル 初夜の果実を接ぐもの」読み終わった。
 堂々の完結編だった。
 興奮のままに感想を殴り書きする。
(オチなど、具体的なネタバレはあんまりしませんが、ところどころ漏れます。ご注意を)




 日本国が解体占領され、自治区にも危機が迫る。団結して対処すべき時なのに、謎の人工妖精“麝香(ジャコウ)”が無敵の強さで自治区の要人を暗殺してまわり、政治が混乱する。「人類の運命を覆す乱数」として作られた揚羽と真白の姉妹は、果たしてこの状況を打開し、自治区を救えるのか!

 自治区、日本国、そして人類、「この因果系宇宙」の運命すらかけた、最後にして最大の戦い!
 
 1巻と2巻は「悪い奴がいるからやっつける」話だった。
 愛と善意ゆえの悲劇もあり、各勢力の思惑が入り乱れる話で、オチとしては必ずしも勧善懲悪ではない(悪を許すことも妥協することもある)。でも少なくとも「悲劇の原因はあいつだ、あいつらだ」と名指しすることはできた。
 同情や共感の余地がない「悪役」がいた。
 3巻に至っては、マッド・サイエンティストの実験でした、の一言で要約できる。いちばんわかりやすい話だ。
 しかし4巻は、「悪不在」の悲劇だった。
  揚羽も、真白も、自警団も、赤色機関も、総督も、みんな善人で、愛する人のため、国のため、人類のために思いやりにあふれて覚悟完了して戦って、でも勘違いとスレ違いで、ピタゴラスイッチ的に死屍累々……
(ジャコウさんはたしかに悪役なんだけど、ああいうふうになってしまったのは本人のせいではない、被害者でもあると徹底的に描かれている)

 とくに揚羽と真白のふたりの運命が、徹底的に「悪不在」で、だから泣ける。
 誰か悪い奴に騙されて陥れられてああなった、というわけじゃないんだもの。
 一片の悪意も打算もなく、揚羽と真白の姉妹が互いを深く愛し、「自分なんて失敗作、姉こそ、妹こそ本当に宝物」って思っているからこそ、その心からの善意が、「悪不在」故におおいなる悲劇を生んだ。
 こうなるしかなかった、とはわかるが、悲しい結末だった。
 大きな目で見ればハッピーエンドなんだけどね。
 いろんなキャラが勢揃いで豪勢な話だし、苦い結末を生んだにせよ、それぞれ心の限り全力を尽くしたことが伝わってくるんだけどね。
 とにかく感慨深いものがある。シリーズをもういちど全て読み返したい。きっと発見があるだろう。
 1巻では重要キャラだったのにそれっきり出て来なかった曽田洋一くんもジャーンと再登場し、「おお!」と思わせてくれる。
 1巻から4年、2巻から3年経ってるし、かれ、成長したんだねえ、貫いたんだねえ。
 わたしは、3巻(スワロウテイル序章 人工処女受胎)がとくに好きなので、「あのキャラ」の再登場と大活躍で大喜び、頬が緩みっぱなしだった。変わってねえw あんた一度記憶が消えて生まれ直してるのにぜんぜん変わってねえw つうか数段パワーアップしとるw あなたが五稜郭で過ごした二度目の学生生活、ぜひ読んでみたいですw

 少なくともAパートとBパートに関しては、怒涛の展開、凄まじいアイデアとハッタリの乱舞で、頭のてっぺんから煙噴きそうなほどに興奮して読んだ。読まずにはいられない力があった。
 「天皇と三種の神器があるから日本国なんだ」って言い出した時は「そっちに行っちゃうの、ゾーッ」と思ったけど、でも話が面白いからなんでもいい!

 Aパートラストの戦いも、バトル物ライトノベルの王道! という感じで大いに盛り上がったし。

 それはいいんだけどCパートはなんなのですか。
 一読しただけでは、Cパートの揚羽さんが何者なのかわからない。
 いったいなにが起こってこんなことになっちゃったんですか。
 エピローグはもっと謎……
 おれ頭わるいんだなあ、やっぱりおれの理解力をこえてるわ……
 どこかに叙述トリックとか仕込まれているんだろうか……
 
 「スワロウテイル 初夜の果実を接ぐもの」読んでいる。
 「Aパート」「Bパート」「Cパート」があって、どれも「揚羽」という名前の少女が主人公なんだけど、同じキャラではないようで時代も違うらしく、それぞれに進行したものがたりが最後にひとつになる……
 なるんだけど、えーっ。
 こういう話になっちゃったかー。
 
 おれの体を流れる赤い思想が拒絶反応を示すわー。

 「面白い物語を求める気持ち」「SFを求める気持ち」のほうが断然強いから読むけど。

 このシリーズといえば、鏡子さんをはじめとする科学者陣の饒舌な語り(世界の真実について、あっと驚くような切り口で力強く断言してくれて、トリップしそうになる。新興宗教にハマる快感はたぶんこんな感じ)が特色だけど、今回もそれはかわらない。
 ああいう語りが好きだという人はきっと今回も満足する。

 脳みそをフル回転させないと、それぞれのパートの繋がりが理解できなくて、格闘するような気持ちで読んでるけど、でも面白いよ。もうすぐ最後まで読み終わる。


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