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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 伴名練「ひかりより速く、ゆるやかに」という小説が傑作!
 短編集「なめらかな世界と、その敵」に収録されています。
 他の短編も面白いですが、やはり「ひかりより速く、ゆるやかに」です。

 修学旅行生を乗せた新幹線が、「低速化」という不思議な現象を起こしてしまう。
 新幹線の時間の流れが、2600万分の1になってしまう。
 外で何年たっても、新幹線の中では時間がたたず、修学旅行生は年を取らないまま。写真のように止まっています。
 中に入ることも、会話することもできない。
 たった二人、修学旅行に参加しなかった生徒がいて。
 「作家志望」の少年と、「不良」の少女。
 ふたりが、クラスメートを救い出すために頑張る、という話です。

 やっぱり「大切な人が、止まった時間に閉じ込められた」はロマンチックだなあ!

 梶尾真治「美亜に贈る真珠」
 古橋秀之「むかし、爆弾がおちてきて」

 このへんが好きな人には絶対おすすめ!
 恋愛の話になりそうでならない、というあたりが、特に良い。
 主人公が、「止まった時間に閉じ込められたクラスメート」を助けたい理由は、最初は「片思い」なんだけど、でも、最終的には違う理由になる。
 その心が変わっていく過程、なぜ命がけで頑張れるのか、というあたりがとても良い。
 抒情的な青春SFであると同時に、「新幹線の時間が止まってしまったら、何が起こるか」という、リアルな社会の描写がある。
 ロマンチックだけどロマンにおぼれず、現実に足をつけて書いている小説で、とにかくすごく良い。

 私なんて、この小説をより楽しむために、新幹線で静岡まで往復して、列車の中で読んだのです。
 こだま号だけどね。
 ひかりより遅く、もっとゆるやかに。
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コメント
無題
 非常によくできたジュヴィナイルSFですね。とても楽しめました。「上位互換新海」という評の意味がよくわかりました。なるほど、辿りつくところは同じ、少女を救うために少年が頑張って走る。それなのに、そのシーンまでの道の舗装のしかたが違う。新海誠作品がとにかく情緒頼みで物語を動かすのにたいして、こちらは細かい理屈を組みあわせて物語を動かしている。私は物語進行の論理がカッチリしているのが趣味なので、ご推察のとおり、伴名練の芸風のほうが好みです。これを、理屈がけば立っていて呑みこみにくい、喉ごしが悪い、と感じる人は、新海誠にたいして私より好意的になれるのかもしれません。

 私がいちばん好きなのは、電子データ通信で話を組んでおきながら決定的なところで「本に挟まれた手書きのメモ」を出してくるくだりでしょうか。あそこは理屈よりもケレン味を露骨に優先させている感じがして、逆にそれがいい。
【2019/09/28 21:07】 NAME[エフヤマダ] WEBLINK[URL] EDIT[]
無題
>エフヤマダさん
 そう、ラストは「少年が走って解決する」。
 そこに至るまでの「なぜ彼が?」がきっちり組み上げられていて、とても感銘を受けました。

 走るときに彼が独白する、「もし今も天乃を好きなままだったら、愛する人を救うために未来に特攻して、二度と会えないなんて、耐えられなかっただろう。僕は二人に再会してほしかったんだ」というのも好きです。
 
 
 
【2019/09/30 05:51】 NAME[ますだじゅん] WEBLINK[] EDIT[]


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