メルカトル図法を理解した！！

　いつだったか、東急デパートで腕時計直したんですよ。
　デパートから出た時、洒落た物を見かけました。
　路面に「世界各国の年までの距離と、方位」が掘りこまれているのです。
　へー、と思いながら見ていると妙なことに気づきました。

　ソウル　１１００ＫＭ

　ホンコン　２８００ＫＭ

　ロサンゼルス　８８００ＫＭ

　パリ ９７００ＫＭ

　リオ・デ・ジャネイロ　１９０００ＫＭ

　このへんまでは納得したんですよ。
　「ああ、ブラジルは地球の裏側だから２万キロいくだろうね」って。
　
　シンガポール　５３００ＫＭ

　アンカレジ　５５００ＫＭ

　はあっ！？　アンカレジって、アメリカのアラスカ州だよね？
　アラスカまでの距離と、シンガポールまでの距離が同じ！？
　そんな馬鹿な、アラスカは太平洋の向こう側だぞ、ハワイより向こうなんだぞ、ロサンゼルスと同じくらい、つまり９０００キロくらいは離れていないとおかしいじゃないか？　世界地図くらい頭に入ってる、間違いない、アラスカはシンガポールより断然離れてる、確かに地図がそうなってる！
　おかしいなあ……
　いいや、おかしくない！
　脳裏に地球儀が浮かび、落雷のようなショックをうけました。
　私がいままで見てきて、頭の中に入れてきた地図は「メルカトル図法」の世界地図だから。
　距離が現実と違うのは当然！
　メルカトル図法ってのは方位が正しく表記されるが、面積と距離は全然正しくない。北極南極に近づくと、どんどん「現実の地形よりも大きく長くなる」。実際の地球では窄まっている「極」を東西に広げている。めちゃくちゃでかいグリーンランドが、その象徴だ。
　メルカトル図法の特徴については、学校で習った。たしか小学校だった気がする。
　グリーンランドが本当よりでかくなってることをはじめ、　「メルカトル図法での最短コースと、地球儀の上での最短コースはぜんぜん違うんですよ」とかいろいろ教わった。
　教わったのに、いま始めて体感してショックを受けた。
　そうか、アラスカって近いんだなあ……沖縄の２倍くらいの距離でしかない。
　あ、いま調べたら沖縄まで１６００キロだから３倍だった。

　とにかく、「メルカトル図法の問題点を、２５年経っていまやっと理解した」というお話でした。