ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観てきました。
具体的なネタバレをしないように感想を書きます。 大満足です。 初っ端から、アクションまたアクションで……たった108分の間に使徒と5回も戦うんですよ! しかも毎回趣向が違って新鮮です。「こうなるのか!」「すごいな!」と感嘆します。戦闘シーンは7割くらいテレビ版をなぞっているけれど、「もっと敵のビジュアルを不気味に」「もっと疾走感のあるアクションに!」と、徹底的に研ぎ澄まされた感じです。 人間ドラマのほうも熱く盛り上がります。 シンジがかっこよくなるという話をきいて……私はよわよわシンジが好きだったのに、グレンラガンのシモンみたいな熱血キャラになってたらやだなあ、と危惧していました。噂話を総合すると、もろにシモンなんですよね。 いや! 大丈夫! これはあきらかに前と同じ人間です。見知りが激しくて、「ぼくは父さんに愛されてない」という事に深く傷ついて、寝床でわけもなく不安に駆られる、ひとりで音楽を聴いているときが一番落ち着く、あのシンジです。性格というか魂が変わったわけじゃないんです。でも最終的にはずいぶん違う行動をとります。 どうしてだろう……? これは登場人物たちの「互いに結んだ絆」のせいじゃないでしょうか。 前のテレビ版のシンジだって、「人格が異常」「人並みはずれて臆病」だとは思いません。 人を思いやる心もある。第1話では、見ず知らずの女の子が傷ついているからって、「かわりに僕が出撃します」などと言える勇気もあった。 それがなぜ旧劇場版では、アスカが殺されかかっても膝を抱えて泣いているだけなのか。 挫折体験や失敗体験があまりに積み重なって、シンジの心は折れてしまったんだと思います。 ゲンドウには「お前には失望した」と言われたままで、信頼関係回復不可能。 綾波は自爆して記憶を全部失うし。 仲良く思えたアスカからは憎しみを向けられて、やっぱり関係はズタボロ。 とどめに、好意を寄せてくれたカヲル君まで自分の手で殺してしまったら…… 「友達が死のうが世界が滅びようが知ったことか」という気持ちになっても、そんなに不思議ではない…… いや、そういう気持ちになる人のほうが多い、とすら思います。 ところが新劇場版では、シンジのまわりのゲンドウ、ミサト、綾波、アスカが、テレビ版よりも少しだけ、1割か2割くらい優しくて、人間味があって、相手の気持ちを思いやって、積極的にコミュニケーションする。すると、その優しさを受けた相手も少しだけ優しくなって、テレビ版ではありえないような態度をとって……という相乗効果で、ちゃんとみんなの間に「濃い人間関係」「絆」みたいなものが生まれています。たった108分の映画で、使徒と戦いながらですよ? その人間関係があればこそ、シンジは終盤で頑張れた。「こういう人格だから」ではなく、「こうしたいから」熱血行動を取れた。すごく自然だと思いました。 人間は一人で生きているわけではないんだなあ、と痛感させられる映画でした。 はっきりいっちゃうと、このストーリーは人類保管計画の全否定だと思います。 世界をどうこう、人類をどうこう、なんて大上段に構えなくても、身近な人たちを「現在よりも少しだけ」思いやれば、それだけで幸せは作れるという実例です。 まあ、新劇場版はまだニ作品残っているから、これからドン底に落とされる可能性もあるんですけどね。 でも、今回のシンジ達なら、なんとか切り抜けそうな気がします。 PR
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」がすげえ面白いらしい。
なんか、観にいった人の大半が褒めまくってるんだよね…… 単純明快、これぞ娯楽の王道、ストレートにロボットアニメとして楽しめる、という意見が多い。 う、うーん…… 不気味で、ウツウツした部分まで含めてエヴァだと思っていました。 14年前、テレビ版のエヴァを夢中になって見ていたときは、「普通のロボットアニメとしての面白さ・カッコよさ」なんてぜんぜん求めていなかった気がします。 この見たこともない奇怪な作品はどこに転がっていくんだろう、という期待がありました。はっきりいって、当時の私にとってエヴァンゲリオンは娯楽ではなかったのだと思います。 「人知を超えたモノとの接触」「理解できないから凄いんだ」みたいに感じていました。だから普通の娯楽物語のパターンから外れ、シンジは成長せず、謎が明かされなかったとしても気にしなかったんです。 「よくできた、普通の話」になっていたら、それはそれで、なんか違うな…… あと、面白いと思ったのは、ネットの一部(ふたばちゃんねる等)で、碇シンジが「シンジさん」と呼ばれつつあることです。 今回の劇場版を見ると、さん付けしたくなるんだそうです。 そうか、かっこいい男になっちゃうのか、シンジ。 さびしいなあ…… いつまでたっても成長せず、それどころかストーリーが進展するほど甘えて壊れていくシンジは、二十歳ごろの私の救いでした。もしシンジが多少なりとも勇敢で前向きな人間だったら私はエヴァを好きにならなかったと思います。 「成長しろ」というのは「自分を世界に合わせろ」ということです。 「世界が間違っている」と信じている人間にとっては物凄く嫌なことです。 たとえば、イジメられっ子に対して、「頑張って強くなってイジメに勝て」というのは、現実的な対処でしょうが、残酷なことでもあります。 つまり、「強くなれなかったらイジメられ続けても仕方ない」「つまり相手は悪くない、お前の怠惰が悪い」と言われたような気がするんです。イジメる側は口を揃えて「俺たちがお前を鍛えてやっているんだ」「俺達のおかげで、お前は正常な人間になれるんだ」とほざくわけですから。あいつらの言い分は正しいのだと言われた気がするのです。 私は昔、そういう類の説教をしてくる人間を激しく憎みました。 たとえ強くなって幸せになっても、それは自分と全く連続性のない「向こう側に行ってしまった、汚い自分」の人生だから僕とは関係ないと。 何一つ変わらない自分自身のまま幸せになれなければ意味がないと。 成長物語なんて、ただひたすら憎悪の対象でしたよ。 今では「それは不可能だ」「考えても仕方の無いことだ」と諦めています。 そもそも、世の中のたいていのことは「自分も世界も、両方悪い」のであって、どちらか片方の非を認めたから反対側の正しさが証明されるわけではない。二者択一という前提自体が間違っている。 そうなんだけど…… でも1995年~1997年、旧エヴァンゲリオンを見ていた私は、いつまでもメソメソと泣き言を言っているシンジに、それを描いてくれるエヴァという作品に、おそらく魂を救われていた。この作品だけが私を理解して、肯定してくれていると思っていた。「君はダメなままでもいい」と言ってくれる存在はこの世でエヴァしかなかった。 だから、そんなダメシンジが別人になるというなら……「こっちが本物のシンジです」という扱いになるというんなら……私は……どういう気持ちで観にいけばいいんだろう…… ある日の会話 ますだ「マイケル・ジャクソンが亡くなったそうですね」 某「そうだね」 ますだ「……。(い、いかん。何を話せば良いのか分からない)」 某「世代的に、あんまり詳しくないんだけどねマイケル」 ますだ「ぼ、ぼくもです。よく考えてみると、どんな歌を歌っていたのか知らない……」 某「タイトルを知らないだけで、たぶん曲自体はどこかで聴いて覚えてるよ」 ますだ「あ、もしかしてアレでしょうか。なんとなく思い出してきました。 あ、間違いない! 覚えてますよマイケルの歌! ちゃんちゃらちゃっ ちゃっちゃっ ちゃんちゃらちゃ ちゃっちゃっ」 某「……?」 ますだ「ちゃーらっ ちゃーらっちゃっちゃっ ちゃーら ちゃーらちゃっちゃっ まいけーるじゃくそーん!」 某「それ『ゴーストバスターズ』だ!!」 ますだ「え? そうでしたっけ? マイケルとは関係ない?」 某「ない! ぜんぜんない!」 ますだ「かなりイコールのイメージがあるんですが……」 某「お前はマイケルを何だと思ってるのか……」 いいとこ見せようとすると、私はいつもこうです。
私の住んでる町田市の近くに、相鉄線という鉄道があります。
横浜、海老名、大和などを結んでいる、そこそこ規模の大きな私鉄です。 そこが今日、始発から終電までの大規模ストライキをやるそうです。 すごいな……いまどき珍しい。フランスみたいだ。 (フランスのストライキは、言ってみればJRが全部止まるくらいの規模ですが) むかし学校の社会の時間で、先生が生徒達に討論させました。 鉄道のストライキについてどう思うか? って。 「利用者の迷惑だからやめるべき」 「労働者の権利を守るために頑張って欲しい」 両方の意見を聞かせた上で、どちらを支持するか討論させたんです。 なんとクラスのほとんど全員が、前者を支持しました。 後者を支持したのは、私をはじめ、たった数人。 私は強硬に後者を主張しました。 「一時的には迷惑かもしれないが、長い目で見れば労働者の尊厳を守ることにつながる。それどこか、ストライキを行って労働者側にも力があることを見せておかないと、日本は資本家による独裁国家になってしまうのだ。これは正義の抵抗戦争なんだ。戦わなければ正義は実現できない!」 今にしてみると、「お前、まだ労働したことないよね?」「誰の受け売り?」って言いたくなります。 ここまで極端なことは、今はもう思いません。 「一般大衆を苦しめて正義の戦いといえるのか?」 「なんで労働運動が盛んであるはずのフランス等で、失業率があんな高いんだろう?」 「労働運動のせいで労働者を苦しめている面もあるんじゃないのか?」 と、今では思います。 だから、今回の相鉄ストもあんまり喜べない…… 掲示板などでは相鉄線ストライキを非難する意見が多いです。 相鉄の社員はどう考えているのだろう…… ゴリゴリに思想で動いている人間は、いまどき少ないと思うんですが……
最近面白かった本。
菅沼誠也「タイム・スコップ!」一迅社文庫 愉快で壮大なタイムトラベルもの。 前作のマッドサイエンティスト少女物「ストップ! まりかちゃん」もそうだけど、この作者の書くものは「生まれて初めてSFを読んだときの、あのワクワク」に溢れている。原初のSF! そう原初のSFだ! タイム・スコップは、タイトルどおり、スコップで時間を掘りぬいてタイムトラベルできる少女と、その少女をオタク趣味で振り回す幼馴染(少年)の物語だ。 えっ! こんな風に書いちゃうの! と何度も驚いた。 なにしろ第一話はナチスの話。うっかりヒトラーを史実より早く死なせて歴史を変えてしまい、なんとか元に戻そうと奮闘する、という話で……こんな壮大な話をたった60ページで! 改変後の世界ではヒトラーが英雄視されて女子高生がヒトラーユーゲント風の制服着てるとか(イラストもあり。けっこうかわいいです。こんなのを再現してくれるイラストレーターは滅多にいないぞ!)、政治活動を始める前のヒトラー伍長に会いに行ったり、いろいろと盛りだくさんです。 第2話は錬金術とか「フランケンシュタインの怪物」の話。このへんで疑問が沸いてきます。 「あれ? フランケンシュタインって歴史上の人物じゃなくって小説のキャラだよね?」 複雑なパラレルワールド設定があるようです。「どこかの時間流では、小説も史実になっている」という。 この設定だと、なんでもできますよね。 第2話はSFっていうより……ギャグです、ギャグ。 サブタイトルが「俺の嫁だよフランケン」だし。 やっぱ人造人間作るなら筋肉男じゃなくてブルマ履いたロリだよね! という話。 私はブルマに辛い思い出があるので異議を申し立てます。 なんの話でしたっけ。 そして第3話。いきなりすごくシリアスな話になります。いままではタイムスコップ少女が主人公だったのですが……幼馴染のオタク少年が主人公になります。 少年がある日目覚めてみると、あんなに一緒に冒険したタイムスコップ少女はいなかった! 誰もそんな奴知らないという! 歴史から抹消された! 歴史改変によって「生まれてこなかったことにされた」!? 代わりにいたのは、まったく知らない別人! 愛する(たぶんね)人を取り戻すため、少年は時を駆け、謎のタイムトラベラーに戦いを挑む! え? タイムスコップ少女が消えたのにどうやって時を駆けるのかって? かわりにタイムのこぎり少女がいるからだいじょうぶ。(何だそりゃ) スコップ少女が明朗快活なドジ娘であるのに対し、のこぎり少女はヤンデレ入ってるメガネっ子で……こっちのほうが絶対いいよね、でもあとバストを10センチ削ってください。メガネに乳は不要。繰り返す、メガネに乳は不要。 なんの話でしたっけ。 とにかく、第2話がスチャラカであるからこそ、第3話の「少年の、悲壮なまでの決意」が際立つ。 「僕はあの楽しい日々を、守りたかった人を、なんとしても取り戻す! たとえ「改変後の世界の人々」を踏みにじってもだ!」 みたいな。カッチョいいです。 で…… えー! これで終わりー!? これだけ「出るぞ、出るぞ、すごい敵が出るぞ、時空間の壮大な秘密が明かされるぞ!」と引っ張って盛り上げたのに……顔見せしただけって感じだ! あっさりしすぎだー! これ絶対続くよね、続かないとひどい。 というわけで、面白かったです。早く2巻を! え? ブルマにどんな辛い思い出があるのかって? 高校生の体育祭のとき、女の子のブルマからピンク色のパンツがはみ出していて(克明に覚えているキモイ私)、私は注意したんですよ。 贅肉を震わせ、汗をダラダラ流しながら。甲高い声で。 「き、き、き、きみっ、ぶ、ぶる、ぶるまからっ。ぱ、ぱぱ。ぱんちゅが、でてましゅよっ!」 (当時の私は、どもらないと女性と会話できなかった) すると、その子の彼氏に呼び出されて、校舎裏で 「オラオラオラオラオラオラオラオラ(中略)オラオラオラオラ……立てやデブッ!!」 という感じでぶん殴られて…… ブルマこわいよう。 |
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