ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
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「明日書く」といったのに、このままでは「明日」が終わってしまうぜ。
ネット上で、プロアマ問わず多くの書き手が小松左京先生の追悼文を書いている。 もちろん、多くの読み手も。 みんな、自分にとっての小松作品を語り、小松先生自身の思い出を語っている。 今日、家に帰ってきてから、ずっと読んでいた。 「なるほど、そうだよな」というのもあった。 「え、そういう人だったんですか」というのもあった。 「小松左京先生は徹底的な楽天主義者」 「これこれの根拠があって楽観というものではなく思索の原点が楽観」 「小松左京先生は、今の日本はユートピアみたいなものと言っている」 このへんは「えっ?」のほう。 小松作品は、「人類」全体の潜在的な力は信じているけど、「楽観的」という印象は……むしろ絶望的じゃん…… 人間は愚かな生き物って、繰り返し書いてるし…… もちろん、もっと悲観的な書き方をする作家は大勢いるけど…… いや、でも、交流していた作家がいうなら、そうなのだろう。 私は小松左京先生のことをぜんぜん知らなかったのだ。 いま小松作品を読み返したら別のものが見えてくるかもしれない。 そういえば「さよならジュピター」もう20年よんでない。 太陽系脱出移民船団の連中がゼラニウムの鉢植えを気にするところは覚えているが、主人公がジュピター教団とどういう決着を付けたのか思い出せない。そもそも木星どうやって爆発させるんだっけ。ガンマ線レーザーとかだっけ? ジュピターゴーストってなんなんだっけ? 読もう。 小松作品で、なんといっても好きなのは、いいや、私の心に突き刺さって心の形を変えてしまったのは、 世界破滅の光景が、一生忘れないくらい胸に焼きついた「復活の日」。 壮大な時空を超えたバトルと、一人の女の待ち続ける恋が結びついて、生きることは尊いという気持ちになれる、「果しなき流れの果に」。 世にも奇妙な物語で見て、私の人生観がかわるレベルの衝撃をあたえてくれた「戦争はなかった」。 (もちろん、その後、原作も読みました。太平洋戦争のことを大東亜戦争と書いてることに強い違和感が) この三本が、とくに…… 感動した、というより、怖くて凄かった。 そう。私にとって小松作品は「怖い」「トラウマもの」なんです。 ホラー小説の怖さとは少し違うんですが…… 復活の日で、南極に残った人たちが、アマチュア無線か何かで世界中の声をきくシーンがいい。 いちばん印象に残っている。 すでに人類の9割9分9厘は死んで、ところどころに生き残っている人たちが、必死に電波を発している。 アメリカだかどこだかの田舎から、少年が発してる通信。 少年は、家族が一人一人死んでいったことを、飼っている馬も具合が悪い事を、自分ももうすぐ同じ運命をたどることを、涙をからして語る。 南極の人々は、彼にたいして、どうすることもできない……耳を傾けることしか…… やがて、少年の声が途絶え、ズダーン、銃声が。 南極の人々は押し殺した声で言う。 馬だ、馬を射殺したんだ、きっとそうにきまっている…… 違う事はわかっていたが、少年が自殺したんだとわかっていたが、そう言い聞かせないと、きっと南極の人たち自身もおかしくなってしまう…… この絶望感! でも、1960年代に、先行作品もなく、人類絶滅を、迫真の…… だめだ言葉が足りねえ! このシーンの迫力を、どう形容すればいいんだ! そうだな、この絶望の中でも、わずかにでも人類が生き残れば復興する、人類ならできる、という事は書いてあった。そういう意味ではものすごい楽観的かも。 復活の日のあと、人類が文明を復興させるのはきっと大変だったろうけど。 だって、南極には1万人のこったけど、その99パーセントは男性なんだよ。女性は数十人。 必然的に、次の世代は、1万人よりも遥かに少数になるわけで…… 人類は100人程度の子供(若者)たちと、1万人の老人……そこから再スタートする。 きっと子供たちは老人を養いきれない。 殺して食うんだろうな。 人類の新たな原罪だ。 でも、乗り越えられるはずだ、できるはずだと、小松先生は信じて、いや確信して、その状態から這い上がる人類の姿を具体的に構想していたのかも。 だったら「今の日本はユートピア」発言もうなずける。 そんなわけで、「小松作品は絶望的な描写が凄まじい」「でも作者は超楽観主義者」って、別に矛盾しないな。 復活の日だけで終わってしまった。 明日は「果しなき流れの果に」の話をするぞ。 PR
無題
明日が終わっちまうぜ~!
無題
おわっちゃいました、すいません。
ネットでみなさんの小松左京語りをよんでいたら、自分の読書量の足りなさに気づいて、「こりゃ、私が語ったらぼろが出るな」と思って、書くのが怖くなったのです。 |
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