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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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「中国嫁は差別か?」の話の続き。

 http://togetter.com/id/fujimon00

 このへんでまとめられている

 http://togetter.com/li/166146
 http://togetter.com/li/170752
 
 この二つ。
 最初は「性差別の被害にあっている女性」が怒っているのだと思っていたが、読んでみると、そればかりではないようだ。男性のオタクも何故かいっしょになって井上純一氏を叩いている。
 読めば読むほど、「なんとかしなければいけない深刻な問題だ、フェミとか何とかレッテル貼って笑うだけではだめだ」という気持ちがわき起こる。
 でも「何を言っても無駄っぽい気がする」。

 「中国嫁日記」に差別性がゼロなのか、と言われれば「ゼロとは言い切れない」。
 でもそれは、何をもって差別とするか、何を差別と感じるかの基準が人によって違うから。
 たとえば、上にあげたリンク先では、「子供っぽくデフォルメしてフィギュアを作ることは、対等な人間として認めてない、差別」と言っている。そう感じる人はいるだろう。しかし、子供っぽくデフォルメされて喜ぶ人も大勢いるようだし、月(ゆえ)さん自身も、「丸く描いてもらって喜んで」いる。
 いちばん重要なのは当人の意識だと思う。
 悪意が無くても差別と受け取られる可能性はある、差別と受け取られる可能性があるなら是正するべき、
 そこまでは同意する。だが、「誰が」差別と受け取った場合か?
 いちばん重要なのは、その表現を投げかけられた当人ではないか。
 第一に、中国嫁日記の場合は、井上氏の妻である月さんだ。
 第二に、月さんと同じような境遇にある人々、すなわち、「日本人と結婚して日本に住んでいる中国人女性」だ。
 もし「月さんと同じような境遇の人たち」が差別と感じるなら、なんらかの改善が必要だと思う。
 我慢しているだけで実は月さんも不快なのかも、という憶測が可能だから。
 しかし、リンク先に中国人はいない。
 関係のなさそうな外野の人間だけが騒いでいる。
 差別の当事者と、外野の人間を、はっきりさせることが大事ではないか。
 あらゆる人間の感性と価値観を想定して、誰にとっても差別ではない作品を、表現を、って言いだすと、何も書けなくなる。
 私だって、「あれも差別だ」と言いたい。漫画の中のイジメられっ子が醜いOR不気味な容姿なのは差別だ、スポーツマンは良い奴として描かれているのは差別だ、内向的であることが悪い事として描かれているのは差別だ。オタクの外見が悪く描かれているのは差別だ、とくにいまどきチェックのシャツにバンダナはやめてほしい、ロリコン犯罪者を「オタク趣味の結果そうなった」と描くのは差別だからやめてほしい……

 はっきり言っちゃうと、「私が差別だと感じるもの」を全て否定したら、「ドラえもん」すら出版できない。
 あれだけ暴力を振るっているジャイアンが「実は良い奴」で片づけられてしまうことに深刻な恐怖を感じる。
 イジメの矮小化をもくろむ邪悪なプロパガンダだ。こうして重大な犯罪が「子供同士の悪ふざけ」のもとに隠蔽されるのである。あれだけ暴力を振るわれた人間が委縮するのは当然のことなのに、作中では「のび太の怠惰」「のび太の臆病」は、ただひたすら笑われ、否定されるのである。彼が救われるべき人間であると描かれない。これを差別と言わずしてなんと言うのか。
 けしからん。憎しみがわきあがってくる。
 いや半分冗談だけど半分本気です。あれ相当陰惨だと思うんだけど。先生も、のび太の成績なんかより先に指導するべき点があるだろう。カーチャンに怒られたくらいで「ジャイアンは十分に罰された」ことになってるのが我慢ならない。のび太の苦しみは我々の苦しみだ! おー!

 しかし、私の言い分を聞きいれたらドラえもんは出版できないし放送できない。
 私と同じように「これが許せん、これが差別だ」って思っている人が大勢いるだろうが、それ全部世の中に反映させて、いったいどうなる。
 よほど牧歌的なコンテンツ以外は、出版や放送できなくなる。
 萌えアニメ、ロボットアニメ、変身ヒーロー、少年漫画……
 どれも100パーセントの無毒じゃない。
 私がドラえもんを読んで傷付く程度の苦しみを、きっと誰かに与えている。
 だから、少なくとも「公共の場所」では売れなくなる。
 現在のエロ同人誌即売会よりもさらにクローズドな「地下」で、同好の士だけが楽しむ、ということに。
 万が一にも差別だと言われないように……
 そんな世の中、誰が望む。冗談じゃない。
 だから、私は我慢する。
 直接、名指しで中傷されない限り。

 当人が納得しているものを他の人間が「俺の感覚では許せない」って言いだすことに非常な傲慢を感じる。
 むしろ、月さん当人の感性や思考力を非常に低く見積もっているからこそ、「当人が何と言おうと差別は差別」って考えて出てくるのではないか。
 なんというか、リンク先の「当人が幸福だとしても差別は差別。幸福は主観に過ぎない、差別は客観的事実」って意見にびっくりだよ。
 差別っていうのは「不当に低く扱われて、自尊心が人格が傷つくこと」だろう。
 「つらい」「傷付いた」と感じた瞬間に差別が生まれるんだろう。
 だから差別は主観の産物だ。
 「客観的事実」じゃない。
 主観だから放置してよい、という考えは傲慢だが、客観的に判定できると考えるのは、それ以上に傲慢だ。
 判定できないから、差別問題は解決が難しいんじゃないのか。
 
 で、それはそれとして、じゃあ、「中国嫁日記を批判する人々には一片の理もないのか」って言ったら、そんなことはないんだよな……
 ネット上に差別的言論が溢れていることは確かだし、「オタクは、非モテは差別されてる!」とか言ってる人が他のカテゴリの人たちを猛然と差別するし、井上氏に限ったところで、キムタク版宇宙戦艦ヤマトのくだりで「嫁もしょせん女ですよ」って言っちゃったのは、冗談にしても酷いと思うし。
 さんざん差別的言論に苦しんだ結果の神経過敏、つまりれっきとした被害者ではないか、とも思える。
 私が野球部をみるたびにイジメを連想し、心臓バクバクして吐き気に襲われるような感じで。
 難しい問題だ。
 結論としては、「別に中国嫁は差別じゃないけど、だからといってオタクが差別をしない生き物というわけではないので襟を正して生きよう」みたいな。
 
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