ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 吉岡平「北海の堕天使」が復刻されたので買った。 時に1939年、ヨーロッパの架空の国・トルステイン公国は、超強力な新型戦艦「ビフレスト」と、それさえも超えた46センチ砲搭載戦艦「ヨツンヘイム」を建造した。 (正確には、作ったのは日本で、トルステインは注文しただけ) しかし謎の悪の組織によって「ヨツンヘイム」は奪取されてしまう。 「ヨツンヘイム」は神出鬼没のテロリスト戦艦と化し、世界中の船や艦隊を襲撃する。 フランス、ドイツ、イギリスの海軍さえも、「ヨツンヘイム」には全く歯が立たず、蹴散らされてしまう。 世界の平和は風前の灯! 主人公は、ふとした偶然で「ヨツンヘイム」の捕虜となるが、女艦長フレイヤを人質にとって脱出し、知略を尽くして「ヨツンヘイム」に立ち向かい、ついに打ち破る!! これは1991年頃に出た本で、当時まだ架空戦記というものがあまり流行していなかった、架空戦記勃興期の作品。そんな時代に架空の無敵戦艦が大暴れする話を書いた。 歴史的な先駆者なんだよ。 すごい作品なんだよ。 当時、「獅子王」という雑誌で連載されていたのを夢中で読んだよ。 でも…… おれは、この25年の間に、無駄に軍事知識を蓄えてしまった。 だから、いま読んでみたら、あまり楽しむことができなかった…… 「あり得ないだろう」と白けるのだ。 この本の前提は「46センチ砲搭載の戦艦は、40センチや38センチの戦艦よりも圧倒的に強い。束になっても敵わない」というものだが。 いやいや、そんなことないでしょう。 「ヨツンヘイムの射程は4万メートルもあって他の戦艦よりも1万メートル長いから、敵の弾が届かない距離から一方的に攻撃できる」とあるが。 アウトレンジ砲撃なんて机上の空論。 46センチだろうが38センチだろうが、現実に命中が期待できる距離は2万数千メートルしかない。 じっさいの海戦をみれば明らかですよ。 4万メートルから撃っても弾が切れるだけですよ。 たぶん徹甲弾を全部撃っても当たらないと思いますよ。 防御力の高さもあり得ない。作中では、ドイツのビスマルク級に撃たれて、砲弾を弾き返してビクともしない、それも距離1万メートルの至近距離で。 そんな無茶な。 大和型戦艦みたいに7万トンあるなら、38センチ砲を無効化する防御も可能だろうが。 「ヨツンヘイム」は基準排水量4万4000トンしかないんですよ。 「ビスマルク」や「ヴィットリオ・ヴェネト」より少し大きいだけです。 「ビスマルク」と同じくらいの重さで、遥かに強力な砲を積んでいるんだから、常識的に考えて「ビスマルク」よりも装甲は薄くなるはず。作中では「舷側装甲350ミリ、甲板装甲200ミリ」という大変な重装甲ですが、こんな分厚く出来るわけない。たぶん7割くらい。下手すりゃ半分で、それだと戦艦の主砲には全く耐えられない。38センチどころか、ポケット戦艦の28センチでも沈む。 よしんば「舷側装甲350ミリ」が事実だとしても、それでもビスマルク級の主砲は、1万メートルなどという至近距離ならば350ミリを貫通できるんですよ。ビスマルクなめんなよ。「戦艦らしく戦い、戦艦らしく沈んでいった最後の戦艦」だぞ。俺ビスマルク好きだから、噛ませ犬扱いでムカついております。 こんなに無敵のわけがない。 ビスマルクと戦ったら、勝てるとは思いますが、「ヨツンヘイム」の側だって相当なダメージを受けるでしょう。速力が落ちて、袋叩きですよ。それこそ史実のビスマルクのような最後を遂げますよ。 などということを、もちろん作者の吉岡平は、分かっているはず。 話を面白くするために、46センチ砲戦艦の強さを誇張してるのでしょう。 俺は頭が固くなって、その「話を面白くするための嘘」を受け入れない。 それだけのことで、作品は何も悪く無い。 っていうか、「ヨツンヘイム」の排水量を4万4000トンじゃなくて5万5000トンくらいに設定しておけば、それだけで無理が減る。それで良かったのでは……? なにか元ネタがあって、どうしても4万4000トンにしたかった? PR
無題
文句をばっかり書いたけど、「戦艦ヨツンヘイム」とかの北欧神話由来のネーミングはメチャクチャ格好いいよ!
やっぱりネーミングの美しさ、力強さは大事だ。 あと、本を読み返したら「ヨツンヘイム」じゃなくて「ヨツンハイム」だったわ。
無題
>俺はめんどくさいオタクになって、「北海の堕天使」を楽しめない……
わかる。当時はわりと楽しく読んだが、今となってはな……。
無題
>NONAMEさん
書き込みありがとうございます。 そうなんですよね。 今となっては軍事考証のアラが気になって。 アラじゃなくて意図的にハッタリかましてるのだ。リアルロボットではなくスーパーロボットなのだ、という擁護もあると思うんですが…… 「異星人の科学で作った」みたいな設定なら「ツッコんでも仕方ない」って思いますけど、ヨツンハイムは基本的に1930年代の技術で作られた戦艦ですからねえ。 やはり、この25年の間に佐藤大輔とか三木原慧一とか横山信義とかが「架空戦記の前提となる知識」をアップデートしたんですよ。 残念だけど、「北海の堕天使」は過去の傑作でしか無いな…… 大和並みの巨大戦艦にすれば良かったのに。それだけで無理がかなり減るんですよ。
無題
北海の堕天使を、原作ではなく奇想艦隊に連載されていた漫画版で読みました。
まあ、現実性より娯楽性やわかりやすさを追求した作品でしょうから、ある程度の無理には目をつぶらないと仕方ないでしょうね。実際あの時代、46センチ砲戦艦は最強なんだ!圧倒的なんだ!という風潮でしたし。 現実性を言い出したら、あの当時の戦艦にあんなに精密なレーダー射撃ができるのかとか、(そもそも装甲以前にヨツンハイムの動力とか…)突っ込みどころがいくらでもありますし。 今でこそリアル系架空戦記の代表的作家である横山信義さんでさえ、初期の作品では非現実的な描写がたくさんあります。(日本戦艦の砲撃の命中率が異常に高かったり、大和が異常に打たれ強かったり…)
無題
>NONAMEさん
コメントありがとうございます。 「奇想艦隊」の漫画版は私も読みました。 傑作ですよね。 飯島祐輔先生が描かれたマンガでしたよね。 ああいう系統(主人公が個人的な冒険で悪の巨大戦艦をやっつける)の架空戦記って、意外と少ないですし、あの時代としては面白かったんです。私が細かいことを気にするようになってしまっただけなんです。 架空戦記の一種として読むのではなく、戦前の軍事冒険小説を現代に蘇らせたもの、という読み方をするべきかもしれません。 ヨツンハイムは、マッドサイエンティストが作った超兵器、という読み方です。 読み返してみたら、「装甲は特殊な合金」って書いてあるんですよね。たぶん鋼鉄より」はるかに強靭な謎の金属なんですよ。 じゃあ、ツッコんでもしょうがないか……
無題
気持ちわかります。昔面白かった小説が今の目で見るとツッコミが入っちゃうってのは、私も経験があります。「北海の堕天使」が書かれたころの常識では「46㎝砲戦艦はチート」だったんで、そのノリで書かれてるんですよね。吉岡氏も作家なんでわかっててやってるんですが・・・
昔読んで好きだった檜山良昭氏の「アメリカ本土決戦」も、今の目で見ると「太平洋戦争でハワイ攻略なんてガッチリハワイでありえない」とか「大和がチート過ぎてトンデモ」とかツッコミが入りますからね。 どちらも当時は滅茶苦茶面白かったんですが、正直今読むときつい部分がありますね。
無題
>NONAMEさん
コメントありがとうございます。 時代によって常識は違うので、仕方ない面もありますよね。架空戦記にかぎらず、SFでも。 リアルといわれる佐藤大輔ですら、いまの目で見ると、ちょっと突っ込みどころがあります。 たとえば佐藤大輔の「レッドサン・ブラッククロス外伝 勇者のごとく倒れよ」では、「ドイツの戦艦は防御を重視して設計されている」と書いてありますが、ドイツ戦艦(ビスマルクなど)の防御力が高いというのは今では否定されていますし、「燃料気化爆弾は核兵器に匹敵するすさまじい威力」という描写もあります。これもやはり現代では否定されいている、神話のようなものでは…… >ガッチリハワイ ガッチリハワイ太郎! 2chの軍事版ですか、懐かしいです。私も10年以上前はよく見ていました。 |
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