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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 映画「ALL YOU NEED IS KILL」を観てきました。
 結論から言うと、原作小説とぜんぜん違うけど面白い!!

 『謎の怪物ギタイに侵略され、人類は滅亡の危機に陥っていた。
 軍で広報の仕事をやっていたケイジ少佐は、上官と対立し、二等兵に降格されて最前線に叩きこまれてしまう。
 右も左も分からないケイジは即座に戦死。
 しかし死んだ途端、1日前(数時間前?)に巻き戻って目を覚ます。
 その後も、何度も何度も死んで、そのたびに時間が巻き戻って目を覚まし……
 果てしない時間のループに巻き込まれてしまった。
 いったいなにが起こっているのか……』

 これが映画版の導入部。
 原作では少年だったケイジがオッサンになってるだけで、だいたい同じ。
 ところが、これ以降はものすごい勢いで原作と乖離していく!

 同じなのは、「登場人物の名前」「時間のループ」だけだ!
 他は全部違う!

 原作だと、果てしない時間のループの中で己を鍛え上げたケイジが、戦場の女神リタに「お前、いま、何周目なんだ?」と声をかけられる。「ループしてるのは自分だけじゃなかった」。ふたりで協力してループ脱出を目指す。これが真ん中へん。
 
 ところが映画版だと、あっさりとリタに声をかけて、自分が時間を繰り返していることを伝える。リタとの協力関係は簡単に成立してしまう。4分の1くらいしか経ってない頃に。
 協力関係が成立したあとで、ケイジは自分を鍛えて強くなる。

 原作では「事情を知らないメカニック少女」だったシャスタ・レイルが、映画だと「ループを知った上で協力してくれるマッドサイエンティストのおっさん」になっていて、ループのメカニズムをあっさり解き明かし、どうすれば脱出できるのか作戦を立案する。

 私は「おお、話が早いな。これだけお膳立てが出来たなら、あとはどんでん返しが1回あるくらいで、終わりに向かうのかな?」と思ったんですよ。
 思って、腕時計をみたら、1時間しか経ってない!
 おい、あと半分何をやるんだよ!?

 実は、方針が定まってからが長かった!
 果てしない試行錯誤の連続。
 あっちで戦って、こっちで戦って、上官を説得してみたり脅迫してみたり。カーチェイスやったり。
 原作では終盤以外はずっと同じ海岸で戦っているけど、映画は違う。
 しまいには……
 原作を読んでいるからこそ「いったいどうなるんだ!?」と、困惑半分ワクワク半分。
 
 ラストまで観て、「ああ、よかったね……」。

 はっきりいって、原作の「切ない読後感」は映画版では99パーセント消えてるんですよ。
 なにしろ展開の8割くらいが違うんだからラストも違うわけで。
 「なぜ主人公はループするのか?」「脱出方法は?」両方とも違うんだから。
 悲劇性は全くない。
 「君が好きだと言った空の色に」。
 このラストの独白も、ない。
 これから主人公はリタとの思い出だけを胸に、誰とも共有できない修羅の道を往くんだ……という終わり方でもない。
 俺、あの終わり方大好きなのに……いちばん好きなタイプの終わり方です。
 この映画のあらすじだけ聞かされれば、「ALLYOUのいい部分が全部なくなってる、そんなのALLYOUじゃない」って、私は怒ったと思う。
 
 でも、じっさい観てみたら、めっちゃ面白い。
 原作未読の人間の意見も聞いてみたいけど、一介の原作ファンとしては、「別物だけど、面白かった」。
 原作のテイストはほとんど残ってないけど出来のいい映画です。
 こうやって比較してみると、「必要最小限のパーツだけで構成された、研ぎ澄まされた刃のような原作、サービス精神満点であれもこれもくっつけた賑やかな映画」という、まったく正反対の方向性であることがわかります。

 あと、わりとユーモアがあった。
 この映画にギャグなんて期待してなかったんだけど……笑えるシーンが結構ある。
 ループして目を覚ますたんびに「起きろウジ虫!」って言われるとか。うんざりするだろこれw
 ケイジが訓練で怪我をするたびにリタが撃ち殺してループさせるとか。リタさんマジ非道w
 序盤で、ケイジが部隊のみんなにループのことを説明しても全然信じてもらえずに、口にテープ貼られてしまうあたりとか。
 とくに最後のは吹き出す寸前だった。
 
 オススメです。

 ケイジがおっさんなんて嫌だ!
 リタがケツアゴなんて嫌だ!
 シャスタが男なんて嫌だ!
 悲劇性がないなんて嫌だ!
 そんなの「ALL YOU NEED IS KILL」じゃない!

 私だってそう思っていたけど、観たら面白かったです。
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