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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 そんなわけで、劇場版「文学少女」みてきた。

 すごかった。
 なにが凄いって美羽が。
 鬼気迫るものがあった。
 もっと美羽の泣き喚くところを見たい、あの眼で睨まれたい……
 
 平野綾のイメージがまったく変わった。ハルヒやこなたのイメージしかもっていなかったが、こんな、こんな役を……

 ネット上で
「平野の好演は意外ではない。平野はもともと、性格悪い女が上手い、女の嫌な部分が上手い声優。正統派アニメヒロインはむしろ不得手。ハルヒだってミサミサだって、相当おかしい女。依存心で男を振り回す、という点では美羽の同類とすらいえるのではないか」
 という意見が見つかった。
 そうか。そうなのか。私の声優理解がまったく足りなかったのだ。

 ストーリーは、たしかにダイジェストで、複雑な人間関係をバッサリ切ってるんだけど、でも、すべての要素をつめこんで破綻するよりはずっといい、うまくまとめられている。
 なんで「慟哭の巡礼者」をベースにしたんだろう、といろいろ考えてみたけど、

 1、主人公コノハは、竹田さんとか芥川くんのドラマに対しては、「基本的には傍観者でありたい。遠子先輩に引きずられて仕方なく関わった」でしかない。積極的に動く動機があるのは美羽あるいは遠子を中心にしたドラマのみ。つまり「主人公らしさ」の問題で巡礼者を選んだ。

 2、美羽が抱えている闇は「恋愛の変化した独占欲」で、わりと世間一般のドラマにありふれたもので、一見さんにとってとっつきやすいのではないか? 
 美羽は人間なら誰でも持っている「寂しい」「甘えたい」が肥大して、ああなっただけ。しょせんは大規模な八つ当たり。
 しかし竹田さんは「精神の種類が異質」。途方に暮れるしかない巨大な深淵。竹田さんの闇こそ、真にサイコスリラー。今回の映画ではその片鱗すら見せないが。

 こんなところなのかなあ。
 
 ネットでは、「竹田さんの物語である第1巻、『死にたがりの道化』を映画化するべきだった」という意見もあるが、竹田さんの闇は描写が難しいし、美羽のほうが一般受けするという考えで却下されたのかもしれない。『死にたがりの道化』には、詳しくは未読の人に悪いから書けないけど、ある種の仕掛けがあって、その仕掛けが「映画」という媒体と相性が悪い、ということもあるだろう。(かなりバレバレだ)
 
 だから、まあ、今回の映画は満足したし、納得した。
 満足した上で、できればみんな原作を読んで、今回は脇役にすぎなかった竹田や芥川にも濃厚なドラマがあることを知って欲しい。そのほうがもっと楽しめる、とは思った。
 あと前々から思ってたけど、美羽が飛び込んだ、あのトラックの運転手は一番の被害者。
 間違いなく会社はクビで、社会的に抹殺されてる可能性すらあるんですけど……

 で、「うん、いい映画だった!」と思って席を立った。
 感動したのは私だけではないようで、泣いている人もいる。
 客の中で、50過ぎぐらいのおっさんが一人いて、その人が映画館の従業員をつかまえて、喜びの表情で叫びだした。
 「きみ! きみ! いいアニメだった最高だよ!」
 「去年もやってただろうサマーウォーズって。細田監督の。あれも素晴らしかったけど、今回の作品もいいよ! アニメ界の若い才能って育ってきてるんだね!
 俺の人生は間違ってなかった! 間違ってなかったよ!

 おっさん何者だ(笑)
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