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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 全国で数千、いや数万の軍事マニアが同じように思っているでしょう。

 だから私が書くまでもない。
 でも書きたい!
 今週のジャンプの「こち亀」は、戦車マニア同士の合コンが題材だが……
 出てくる戦車の知識が間違いだらけなんですけど!
 ギャグでわざとやっているのか、といいたくなるレベルで!
 
 1.
 まず「ティガーⅠ(ワン)戦車」というのが変。
 ティガーはドイツ語でワンは英語だから。
 統一しようよ。
 古い戦車ファンは、英語で統一して
 「ティガーⅠ」→「タイガー」
 「ティガーⅡ」→「キングタイガー」
 って言ってましたよね。
 ぶっちゃけ正式名称は
 「ティガーⅠ」→「6号戦車1型」
 「ティガーⅡ」→「6号戦車2型」
 ですし……
 とにかく、なんで名前がドイツ語表記で数字が英語表記なのか、わからないので気持ち悪い。
 それとも私の知らないマニア世界では「ティガーワン」が普通なのか?
 好みの問題で、あえてこういう書き方をしたのかもしれない。
 私は「ティガー」戦車のことは「ティーガー」って書く。にもかかわらず、「パンター」は「パンテル」って書く。
 これはおかしい。
 古い発音のドイツ語 ティーゲル、パンテル
 現代的発音のドイツ語 ティーガー、パンター
 私の書き方は新しい発音と古い発音が入り交じっていて、「ティガーワン」と大して変わらない、変な書き方だ。自覚している。
 この表記がもっとも美しいと感じているから、あえてこう書く。
 ティガーワンも、秋本先生的には美しいのかなあ。 

 2.
 「ライバルのロシア戦車T35」
 目が点になるほどのトンデモ記述。
 どう考えても「T34」の間違い。
 T35という戦車は実在するが、ティガーよりも遥かに古い(ティガーは1942年、T35は1933年)、重くてデカイ割に装甲が貧弱でエンジントラブル多発、実戦の役に立たなかった「失敗作」。
 しかも60両しか作られていない。実戦では全くといって良いほど活躍していない。
 性能的にも実績的にもティガーのライバルじゃない。
 T34とT35を間違えるなんて信じられない。
 一箇所だけなら誤植とも思えるが、T35って名前が2回出てくるし、しかもそのうち片方は手書き文字。
 本当に作者がごっちゃにしているとしか思えない。

 細かいことを言えば、「ロシア戦車」じゃなくて「ソ連戦車」が正しい記述だろうし、「T34がティガーのライバル」というのも、やや疑問。
 T34は火力・装甲・機動の三つがどれも高水準で、何万両と作られて大活躍した傑作戦車だが、火力や装甲を直接比較すると、やはりティガーより大きく劣る。数と運用でカバーしないと勝つことはできない。
 どういう理由で「ライバル」と呼んでいるのだろう?
 スペックや実績、登場時期などを比較すると、
 4号戦車のライバルはT34/76(T34が性能的にやや優越)
 5号戦車パンターのライバルはT34/85(T34が性能的にかなり劣勢だが)
 6号戦車ティガー(1、2ともに)のライバルはJS2(一長一短あるので互角)
 こんな感じが適切じゃないかな?
 「ドイツとソ連、それぞれを代表する有名な戦車」という意味でライバルと呼んでいるのだろうか?
 それならティガーとT34がライバルでもいいか?
 
 3.
 「バルバロッサ作戦の独ソ戦みたいだわ」
 独ソ戦のバルバロッサ作戦、では。
 だって独ソ戦というのは1941年6月の独ソ開戦から1945年5月のドイツ降伏まで4年も続き、軍人だけでも1500万人を死に至らしめたという、人類史上最大の闘いのことだよ。
 バルバロッサ作戦というのは、独ソ戦の一番最初、ドイツ軍がソ連に侵攻した作戦のことだ。
 あと、バルバロッサ作戦の時にはティガーはまだ実戦配備されていなかった。
 だから当時、T34とティガーが戦うという光景は有り得なかった。
 
 4.
 「52口径の薬莢を送る奴とか」 
 これも少しおかしい。
 絵を見る限り、戦車砲の薬莢ですよね?
 戦車砲の場合、「52口径」というのは「砲身の長さが口径の52倍である」という意味です。
 弾の大きさを指しているのではないのです。
 つまり「52口径の砲」はあっても、「52口径の薬莢」なんてものは存在しない。
 拳銃の38口径、44口径(こっちは弾丸の直径、つまり口径の大きさを百分の一インチ単位で表記したもの)とごっちゃにしているのではないか。
 
 5.
 「ロンメル少佐とパットン大佐が戦った戦場のアフリカ」
 ギャグすか! このセリフはギャグとしか解釈できないんだけど、ギャグすか!

 ロンメルは第2次大戦が始まった時点で、すでに少将!
 アフリカに派遣されたときは中将。
 のちには元帥にまでなっている。
 パットンも、アフリカにいたころは少将。大佐ではない。
 
 常識的に考えて少佐が軍団なんぞ指揮できるわけがないでしょう?
 なにか比喩的な意味で少佐と言っているのか、私の知らない意味があるのか、と思ってネット検索を繰り返したが、特に見当たらない。
 じゃあ単に間違いとしか言えない。
 この「ロンメル少佐」が両津のセリフである、というのが特に痛い。
 両津はもともとミリタリーに詳しいという設定のキャラクターだから、ここで間違える理由がない。
 理由がないのに間違えているのは作者の間違いとしか言いようがない。
 
 細かいツッコミポイントとしては、戦車の数え方は「96台」じゃなくて「96両」が正しい、キャタピラのことをキャタピラと呼んでいる時点でマニアじゃない、履帯と呼ぶべきだとか、いろいろあるんだけど、このへんは私の主観が混じっているかもしれないので、あまり強く言わない。
 呼び方は個人の好みもあるし。
 私がフランスのルクレール戦車を、「ルクレルク」と呼んでしまうように。
 この方が強そうだし、昔は軍事雑誌などでも「ルクレルク」表記だったのだ。
 今回の漫画、ルクレール戦車にスポットを当てたのは面白いと思う。
 レオパルトでもソ連系でもないフランス戦車、「女性の軍オタ」らしい、いいチョイスだと思う。
 私はソ連の戦車(とくに冷戦期の)が好きですが、ソ連戦車(冷戦期の)好きは険しい道である。その弱さを認めた上で愛好するか、一時期の私のように、あらゆる屁理屈を駆使してソ連戦車の性能を弁護するか。私はもう疲れました。もうドイツに浮気していいですか。最近ちょっとイタリアのチェンタウロ装甲車に関心があるんですが愛好していいですか。

 なんの話だっけ?
 とにかく、ルクレール戦車を知っているマニアがT34とT35を混同するとか、ロンメル少佐とか!
 そんな間違い、いったいどういうことなのかと、もうぜんぜんわけがわからないよ! きゅっぷい!
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コメント
無題
あのページはゲラゲラ笑いながら読みましたが。

作者は昭和30年代の戦記ブームのころの軍事ファンで、そこから発展していないのでしょう。
それに両さんは考証などあんま気にしないタイプに見えます。女性モデラーが初登場した回で、デタラメな考証のモデリングをしてつっこまれてませんでしたっけ。
【2012/03/06 23:10】 NAME[こうひんひろみ] WEBLINK[] EDIT[]
無題
>>こうひんさん
 そうですか、こうひんさんは気にならなかったですか。
 私は「ないわーっ!」って思いながら読みました。

 >昭和30年代から進歩していないのでしょう

 昭和30年代の戦記ブームだって、T34とT35の区別くらいはしていたと思います。

 >女性モデラーにつっこまれてませんでしたっけ

 はい、初登場ではそうでした。
 だったら今回、女性モデラー陣が「T35」につっこまないのは変でしょう。急に知識が劣化した。
 いや、私、本当に気になる。
 だってT34といえば、零戦並み、あるいはそれ以上の武勲を上げた超有名兵器ですよ。
 これを間違えるなど信じがたい!
 ロンメル少佐も!
 細かいことを言えば「アフリカ」じゃなくて「トブルク」とか「エルアラメイン」とか具体的な地名を出してほしかったんですが、まあ、T35と比較すれば小さな問題です。
 T35!

 私がつい3年前に真珠湾攻撃の日付を間違えたことは……ゴニョゴニョ。
 
【2012/03/07 21:51】 NAME[ますだ] WEBLINK[] EDIT[]
無題
ティガー=ドイツ語、タイガー=英語というのは、一般的にはそのように浸透しているのでしょうが、所詮はカタカナ表記ですから。

昔のこち亀で「タイガー戦車と言うと、マニアはいちいちティガー戦車と訂正してくる」「細かいところにこだわりますよね」というような会話があったので、秋本先生としては、ティガーはより英語の原音に近い言い方と考えているのだろうと思われます。「ウォーター」より「ワラ」のほうが正確みたいな。だからドイツ語と英語が混ざってるという指摘はあたらないかと。
【2012/03/08 16:13】 NAME[NONAME] WEBLINK[] EDIT[]
無題
該当のシーンで僕は「T35? 34じゃなかったっけ? でもこんだけ自信満々で描いているから、僕の記憶違いだったかな」なんて思ってました。
……いや、実は本当に多砲塔戦車が活躍するシーンを再現していたのかもしれません。
【2012/03/08 21:02】 NAME[こうひんひろみ] WEBLINK[] EDIT[]
無題
>NONAMEさん
 「ドイツ語と英語が混ざっている」は、おっしゃる通り私の勇み足だったかもしれません。
 確かに、「英語の正確な発音」は「タイガー」とはかけ離れているでしょうし、作者は英語を意図しティガーと言っているのかもしれませんね。
 「ウォーター→ワラ」「アップル→アポゥ」「タイガー→ティガー」みたいな。
 指摘1は撤回します。

 >こうひんさん
 もちろん、多砲塔戦車T35のほうを「わかってて出す」んなら、たしかにT34よりもマニアックで、そりゃモデラー女子もウットリしますよね。
 でもT35は装甲が35ミリ。主砲は短砲身の75ミリ。ティーガーと戦うなんて無謀です。死屍累々ですよ。
 そもそもティーガーが実戦配備された時期には、T35は完全に姿を消していたはずです。
 
【2012/03/08 21:23】 NAME[ますだ] WEBLINK[] EDIT[]
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【2013/10/23 17:50】 NAME[Anwahak] WEBLINK[] EDIT[]
無題
めっちゃ早口で言ってそう
【2019/06/23 19:09】 NAME[NONAME] WEBLINK[] EDIT[]
無題
 >NONAMEさん
 早口で言いますとも!
 さすがに頭にきましたから。

 軍オタという設定のキャラクターがこれだけ滅茶苦茶なことを言うのは、我慢ならんです。

 個人的なこだわりで(どうしても零戦が最強であってほしいとか)うそを書いているなら、わかるんですけど……
 T34をT35と間違えることに、なんの意味があるの??

 このT35問題、単行本ではどうなっているんでしょうかね?
【2019/06/24 11:01】 NAME[ますだじゅん] WEBLINK[] EDIT[]


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