ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
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映画を観た。
「実録・連合赤軍」。 「なぜか若い人が観ている」と噂に聞いていたが、そのとおりで、客の平均年齢はたぶん20代。いわゆる「全共闘世代」なんて数えるほどしかいなかった。 目を覆いたくなる、悲惨で重苦しい映画だった。 しかし観てよかった。「やはりそうか」と思った。 連合赤軍が結成され、あさま山荘で壊滅するまでを、現場にいた人間の証言をもとに取材した、まさに実録。連合赤軍を扱った映画とかマンガはすでにあるが、人物の名前を変えていたり(山本直樹「レッド」)、「連合赤軍をモデルにした架空の組織」(立松和平「光の雨」)だったりする。 だから、これがいちばん事実に忠実な映画化、なのだと思う。異論がこれから出ない限り。 監督は左翼シンパだから美化して描くのかな、と思ったけどまったくそんなことはなくて、この映画の中の連合赤軍はまったく美しくない。身の毛もよだつ。 なにしろリンチ映画だ。 190分もある超長い映画の、実に半分くらいが、「総括シーン」だ。 山の中を逃げ回りながら、「お前は化粧をしたから反革命だ! 風呂に入ったからダメだ!」とか訳の分からない理由で仲間を次々に殺していく、あの悪名高い総括。 それがもう、何十分も何十分も続いて…… リーダーである森と永田の「自己批判を要求する!」「ぜんぜん総括ができていない!」という鬼気迫る叫び(森役の演技はすさまじい迫力だった)が発されるたび、メンバーは涙声で自分を批判し、謝罪し、殴られて、ついに殺されていく。一人、また一人。 あまりに暗い展開ばかり続くので、わずかに残ったメンバーがあさま山荘で銃撃戦をやるあたりで、「やっと戦えるぜー!」と、すがすがしい解放感すら感じてしまった。(「やっと戦える!」は彼らの思いそのものだろう。こういう危険な感情移入があり得る映画なのだ) で。 総括シーンの最中ずっと、映画館のあちこちからクスクス笑いが聞こえていた。 最初、空耳かと思ったが、確かに笑っている。 「キサマは何々をどう総括するつもりだ!」「はい、わたしは革命戦士として生まれかわり……」 クスクスッ 「そうじゃない! 総括とはもっと主体的なものだぁ! ぜんぜん総括ができていないッ!」 「そんなことで自己を共産主義化できると思ってるのォ!?」 プププッ こんな感じで。 うーん、何を笑うのだろう。 あまりに現代の感覚とかけ離れたことを、目を血走らせて叫んでいるから、そのギャップが滑稽? 「いわゆる電波系」を見たときの笑い? なぜだ……? なぜ笑える? あなたにとって、この映画はフィクションか? あなたの現実と関係ない、安全な殺人か? わたしは恐ろしかった。 「彼らの異常さ」が恐ろしかったのではない。 見た事ある、これ知ってる、だから怖かったのだ。 皮膚感覚的に、知ってる! わたしが学校で経験したイジメと酷似している。 「お前にはナニナニが足りない!」「ナニナニとは何か、自分で考えろ!」「反省しろ」「謝れ、土下座しろ」と罵倒され、暴力と性的辱めを連日加えられる……しかも加害者は「俺達は教育してやってるんだ」と悪びれもしない。いままでイジメられていた者が、ある日イジメ側に加わる。そうしないと脱出できないからだ。 ある日、気づくのだ。自分を苦しめているのは「空気」だと。 「イジメに参加しないものは裏切り者だからイジメられて当然」という空気が、その場所に充満しているのだ! はっきりいってしまうと、イジメに限った話じゃなくて、体育会系の「シゴキ」が過激化するとこうなるだろう。会社でも、こういうところがあると聞く。だから自殺していくんだ。 この映画を観てはっきりわかった。連合赤軍は「洗脳された殺人マシン」じゃない。異常な人たちではない。「人間」だ。ときには楽しくドラム缶風呂で談笑し、顔の良い奴に嫉妬する、ただの人間だ。 人は潜在的に連合赤軍であり、みんな、ああなり得るのだ。わたしもだ。弱いものを救うために立ち上がったはずの彼らが、現実には弱者を踏みにじり続けたように、わたしもだ。 彼らはおぞましかった。だが誰が彼らを笑えるのか。 我らが内なる連合赤軍をどうやって抑制するか、考え続けるべきなのだ。 PR
無題
今さらなのですが、一昨日、この映画を見たという人に会いました。その人が見た映画館では、お客さんはみな引き攣ってたそうですよ。
誰も笑ってはいなかったんですって。 いや、私は笑う人の気持ちもわかるんです。実体験がないと、他人を追い詰める言葉って滑稽なんですよね。 でも、笑える内容ではないし、やはり、笑わない人達も居る、ということが、何か、ホッとする要素になればと思って書き込みに来ました。
無題
>ぼこしゅうさん
コメントありがとうございます。 おお、そういう方もやっぱりいらっしゃいますよね。 ネット上で感想を見ると「観客が笑ってた!」などという記事はほとんど見当たりません。どうも、わたしが体験したのが例外だったようです。 |
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