ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
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小川一水「天冥の標」7巻を買ってきたよ。
作者のすべてをぶちこんだ大河SFだ。人類が太陽系宇宙に進出していく歴史と、その背後で起こっている2大勢力の暗闘を描く。 ストーリーの中心となるのは、永遠に感染力を保ち子孫にまで伝染してしまう疫病「冥王斑」だ。「冥王班」にかかった人々は被差別民族となり、隔離された星に住み、独自の宗教体系を築いて、世界への恨みを貯めこんでいった…… 感染者は何度もテロ行為に走るが、その憎しみを受け止め、いっとき癒す愛の人がいて、残酷ではあるが希望の持てるストーリーになっている。 途中の5巻で、実は6000万年ものあいだ、戦いが続いていたことが明らかになる。2巻も3巻も4巻も、巨大な歴史の中の断片でしかなかったのだ。種族や文明さえも将棋の駒のごとく使い潰す、おおいなる戦いの…… 2つの勢力に翻弄されながらもなんとか生き抜いてきた人類だが、ついに6巻で、ふたつの勢力の争いだけでなく、第三勢力の異星人とかがいろいろ絡んで、繁栄していた太陽系文明は滅亡してしまう。 これまで何度も憎しみを受け止めて決定的な滅びを防いできた友情と愛の力は、今度ばかりは無力だった…… 愛憎と誤解が果てしなく交錯し、戦争に次ぐ戦争、テロに歯止めが効かなくなって、「冥王斑」が爆発的に広がってしまったのだ。 7巻は、太陽系の人類のほとんどすべてが死にたえた世界で、わずかに生き残った子どもたちが社会を再建する話。 相変わらず面白い。 でも重い! 重すぎる! 胃に来る! 世界が滅ぶ過程を描いた6巻以上に陰鬱だ! 「皆殺しの話」は、ある種の躁的な快感をともなう。 アヒャヒャヒャ! って笑う感じの。 誰もが一度は、みんな滅びればいいのに、そうすればスッキリすると夢想したことがあるだろう。 でも、完全に滅びきれず、廃墟の中から再起する話は、ずっと歯をくいしばって現実を見つめて、考えて、汗をかいて、その繰り返しだ……地に足をつけ続ける行為だ……重いに決まっている。 明日、とくに大変な仕事が待っているのに、こんな重い小説を読んでいいのか…… ちょっと後悔しているけど、でも先が気になるんだ。 PR |
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