ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
こちらです
https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 ネットの一部で「彼方のアストラはSFとして突っ込みどころがありすぎる。SFとして認めない」という意見がある。 それに対して「そういう偏狭なことを言うからSFは衰退したのだ」という意見がある。 えっ!? 私、前者より後者の意見に驚いたよ。 SFが衰退したって?? いまの日本は、ヴァーチャルリアリティーとかタイムスリップの話が満ち溢れてるじゃないか? SFが大流行しているようにしか見えない。 SFが大流行して、SFが当たり前になってしまったからこそ、「あれはSFじゃない。僕の好きなマイナー作品こそがSFだ」って言うんだよ。 そうしないと、「SFを読んでる自分」が「特別な存在」ではなくなってしまう。 「お前たち普通の人間に、僕の崇高な趣味がわかってたまるものか」という考えだよ。 衰退しているのは、SFじゃなくて、「スペースオペラ」、宇宙冒険ものだな。 ……それがまさに、「彼方のアストラ」なのか…… 宇宙で戦争する話ならあるけど、冒険する話は絶滅寸前だ。 絶滅寸前のジャンルに挑んで成功させた作者は本当に偉大だ。 私も「彼方のアストラ」は大好きだ。終盤は泣ける。 SFとして突っ込みどころがあるか、ないか、と言われれば、あるね。 私が一番気になったのは、「なんで隕石を破壊しなかったのか?」 ワームホールを自由に操れるなら、簡単でしょう。 ロケット取り付けて軌道を変えてもいい。 重力制御装置があるんなら、それを使って軌道を変えててもいい。 何年も前から衝突がわかっていたなら、軌道を少し変えるだけで、十分に衝突は回避できる。 移住の必要なんてないんですよ。 隕石じゃなくて、ブラックホールが地球にぶつかる、という設定のほうが良かったのでは? ブラックホールは、もちろんロケットを取り付けることなどできないし、破壊できない。 なんとかブラックホールを破壊できないか? あるいは軌道を変えることはできないか? それを研究しているうちに、ワームホールを作り出す技術が生まれた。 破壊はできないが、移住ならできるようになった。 これでSF的に整合するのでは? ブラックホールとワームホールは厳密にいえば違うものだけど。 他にもいろいろ突っ込みどころはたくさんあるのです。 あるのですが、でも、それが致命傷にならないくらい面白い。 傑作の証です。 PR 伴名練「ひかりより速く、ゆるやかに」という小説が傑作! 短編集「なめらかな世界と、その敵」に収録されています。 他の短編も面白いですが、やはり「ひかりより速く、ゆるやかに」です。 修学旅行生を乗せた新幹線が、「低速化」という不思議な現象を起こしてしまう。 新幹線の時間の流れが、2600万分の1になってしまう。 外で何年たっても、新幹線の中では時間がたたず、修学旅行生は年を取らないまま。写真のように止まっています。 中に入ることも、会話することもできない。 たった二人、修学旅行に参加しなかった生徒がいて。 「作家志望」の少年と、「不良」の少女。 ふたりが、クラスメートを救い出すために頑張る、という話です。 やっぱり「大切な人が、止まった時間に閉じ込められた」はロマンチックだなあ! 梶尾真治「美亜に贈る真珠」 古橋秀之「むかし、爆弾がおちてきて」 このへんが好きな人には絶対おすすめ! 恋愛の話になりそうでならない、というあたりが、特に良い。 主人公が、「止まった時間に閉じ込められたクラスメート」を助けたい理由は、最初は「片思い」なんだけど、でも、最終的には違う理由になる。 その心が変わっていく過程、なぜ命がけで頑張れるのか、というあたりがとても良い。 抒情的な青春SFであると同時に、「新幹線の時間が止まってしまったら、何が起こるか」という、リアルな社会の描写がある。 ロマンチックだけどロマンにおぼれず、現実に足をつけて書いている小説で、とにかくすごく良い。 私なんて、この小説をより楽しむために、新幹線で静岡まで往復して、列車の中で読んだのです。 こだま号だけどね。 ひかりより遅く、もっとゆるやかに。
新しい小説を書きました。
「無敵の平和主義者」 「将軍様の宇宙船」 この2本です。 「無敵の平和主義者」は、「コスマッチの帰還」「永久戦争惑星」「終末・シェルター問答」と同じシリーズです。 「将軍様の宇宙船」は、ネットの一部で北朝鮮の金正恩が人気なのを見て、書きました。 「ロケットを打ち上げた時の、金正恩の満面の笑顔が魅力的だ。本当は彼は、単なる、ロケット大好き人間なのでは?」 違うと思うけど、もし本当にそうだったら? 彼の目的は宇宙進出だったら? 仕事が忙しくてヒマがない。 それ以上に、体力がない! 週に1日くらいは休みをもらっているのだが、せっかくの休みなのに、ものすごい疲労感と眠気が襲ってきて、何もできずに寝てしまう。 先週の金曜日なんて、お昼ごろに帰宅して、真夜中までずっと寝てしまった。 驚異の16時間睡眠! 小説を書くどころか、読むこともできない…… 気が付いたら、8月は新作小説をぜんぜん発表してないじゃないか……! 『三体』を読みました。 中国で2000万部も売れている超人気SF小説です。日本でもぞくぞくと重版されるベストセラーです。 (正確には、2000万部売れているというのは「三体」「暗黒森林」「死神永生」の三部作を合わせた数字だが、それでも凄い) かなり歯ごたえがあって読みづらい小説だと感じました。こんなにややこしい小説が2000万部も売れるって、中国人すごいな! 私が最近、海外SF読んでないから歯が弱くなったのかもしれません。 (山本弘や小川一水の書くSFは、もっとずっと読みやすい) 種明かしというか、要点を言ってしまえば、簡単な話です。 地球のすぐ隣の恒星系、アルファケンタウリに文明があるんですよ。 アルファケンタウリは3つの太陽があるから『三体世界』というわけです。 太陽が3つもあるせいで惑星の軌道が安定せず、ものすごく寒くなったり熱くなったりして、とても暮らしにくい星である。 だから自分たちの星に見切りをつけて、気候の安定した星、地球を侵略することに決めた。 だが、宇宙艦隊が地球に行くまで四百年もかかる。そんなに時間がかかったら、地球人の科学力が自分たちを上回るかもしれない。 それでは困るので、地球人を弱体化させ、科学の進歩を止めるために間接的な侵略を行うことにした。電波で呼びかけて地球人の中に裏切り者を作るのだ。 地球人でありながら、三体人に侵略されることを望む裏切り者たち、三体協会。 彼らは何十年も前から、歴史の裏側で陰謀を巡らせ暗躍を続けていた。 人類はついに三体協会の陰謀に気づき、三体協会を打ち破る。 だが、まだ戦いは始まったばかり。恐ろしい超科学をもった異星人艦隊に、どう立ち向かうのか!? 「三体」終わり。「暗黒森林」に続く。 こうやって書いてしまうと、非常に簡単な話に思えるのですが、この小説はこれらの話をジワジワと、焦らしながら語ります。 まず、1960年代の中国。文化大革命の真っ最中から、物語は始まります。 一人の科学者が、『相対性理論やビッグバン理論を教えた』というだけの理由で、反革命的だとレッテルを貼られ、リンチの末に処刑されます。 その娘、葉文潔も科学者になりますが、同僚に陥れられて彼女も反革命的とされ、投獄されそうになる。 優れた能力のおかげでギリギリ助かり、刑務所に行く代わり、謎の基地での任務を言い渡される。 巨大なパラボラアンテナのある基地で、生涯にわたり、極秘の任務につくのだ。 任務とは、異星人を発見し交流することだった。 それから舞台は、四十数年後の現代中国に移る。 ナノマテリアルという超強度素材を開発していた科学者、汪淼。彼はゴーストカウントダウンという不思議な現象に襲われる。彼の撮影した写真に、謎の数字が現れ、しかもその数字がどんどん減っていくのだ。さらにカウントダウンは、王自身の視界にも及ぶ。常に目の前に数字が見えるのだ。 この不思議現象を解き明かそうとするうちに、汪淼は『三体』というゲームに出会う。三つの太陽を持つ、気候の不安定な世界で、なんとか太陽運行の法則を解き明かし、文明を発展させるのだ… こんな感じ。 父を文革で殺されて人類に絶望した科学者が、異星人との交信に成功し、やがてこの異星人こそ救い主だと考えるようになる。エコロジストの大富豪と手を組んで、三体協会の総帥となる。 カウントダウン現象の謎を解き明かすために奔走する科学者が、やがて「三体」というゲームを通じて、三体協会から接触され、同志にならないかと勧誘される。 この2つの物語が並行して語られるわけです。 読んでる間は、「細かいことを書きすぎだ。早くSF的な本筋を進めてくれ!」って思ったけど、でも読み終わってみると、細かい部分の肉付けこそが面白い。 いきなり真相をバーンと出したら面白くなかっただろう。 三体世界の描写が面白いし、「異星人に侵略されることこそ救い」という三体協会の考えも説得力を感じる。 感じるんだけど…… 終盤、三体世界が新兵器を使って地球を攻撃するあたり…… 万能すぎる……そんなすごい科学力があるんなら、もっと速く艦隊を飛ばせるのでは? っていうか、地球まで来る必要もない。恒星とか惑星も操れそうじゃん。 あと、アルファケンタウリって、作中で描写されているような三体世界とは違う。 3つの太陽があるといっても、3つめ(プロキシマ・ケンタウリ)は2兆キロも離れた場所にあり、重力的に影響がないはず。 ケンタウリAとBは比較的近い連星だが、近いといっても15憶キロあるわけで…… もっと近く、2、3億キロくらいの範囲に3つの太陽がギッチリじゃないと、惑星の軌道がメチャクチャに振り回されることはないはず。 「異星人に侵略されることこそ救い」という三体協会の考えが、今回の話で、打破されるべき間違った考えだと、はっきり描かれてしまったのが、ちょっと好みに合わない。 最終的に否定されるにしても、もっと引っ張ってほしかった。 すごいリアリティのある部分と、いくらなんでも無理があるのでは、という部分が混在して、うまく融合してない。 面白いSFだとは思うけど、2000万部の超ベストセラー!! って言われると、うーんそこまでか? という気もする。 2巻3巻がもっと面白いのかな? 誤読があるかもしれないので、もう一度読み返すか。 |
カレンダー
フリーエリア
最新コメント
[10/25 Home renovation]
[10/25 Быстрые деньги Минск]
[10/19 TopHost]
[10/19 CloudVPS]
[09/22 Harrytebra]
最新記事
(05/17)
(04/06)
(03/22)
(06/16)
(05/29)
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(09/05)
(09/06)
(09/07)
(09/10)
(09/12)
カウンター
アクセス解析
|