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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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『三体』を読みました。
 中国で2000万部も売れている超人気SF小説です。日本でもぞくぞくと重版されるベストセラーです。
(正確には、2000万部売れているというのは「三体」「暗黒森林」「死神永生」の三部作を合わせた数字だが、それでも凄い)

 かなり歯ごたえがあって読みづらい小説だと感じました。こんなにややこしい小説が2000万部も売れるって、中国人すごいな!
 私が最近、海外SF読んでないから歯が弱くなったのかもしれません。
(山本弘や小川一水の書くSFは、もっとずっと読みやすい)

 種明かしというか、要点を言ってしまえば、簡単な話です。

 地球のすぐ隣の恒星系、アルファケンタウリに文明があるんですよ。
 アルファケンタウリは3つの太陽があるから『三体世界』というわけです。
 太陽が3つもあるせいで惑星の軌道が安定せず、ものすごく寒くなったり熱くなったりして、とても暮らしにくい星である。
 だから自分たちの星に見切りをつけて、気候の安定した星、地球を侵略することに決めた。
 だが、宇宙艦隊が地球に行くまで四百年もかかる。そんなに時間がかかったら、地球人の科学力が自分たちを上回るかもしれない。
 それでは困るので、地球人を弱体化させ、科学の進歩を止めるために間接的な侵略を行うことにした。電波で呼びかけて地球人の中に裏切り者を作るのだ。
 地球人でありながら、三体人に侵略されることを望む裏切り者たち、三体協会。
 彼らは何十年も前から、歴史の裏側で陰謀を巡らせ暗躍を続けていた。
 人類はついに三体協会の陰謀に気づき、三体協会を打ち破る。
 だが、まだ戦いは始まったばかり。恐ろしい超科学をもった異星人艦隊に、どう立ち向かうのか!?

 「三体」終わり。「暗黒森林」に続く。

 こうやって書いてしまうと、非常に簡単な話に思えるのですが、この小説はこれらの話をジワジワと、焦らしながら語ります。

 まず、1960年代の中国。文化大革命の真っ最中から、物語は始まります。
 一人の科学者が、『相対性理論やビッグバン理論を教えた』というだけの理由で、反革命的だとレッテルを貼られ、リンチの末に処刑されます。
 その娘、葉文潔も科学者になりますが、同僚に陥れられて彼女も反革命的とされ、投獄されそうになる。
 優れた能力のおかげでギリギリ助かり、刑務所に行く代わり、謎の基地での任務を言い渡される。
 巨大なパラボラアンテナのある基地で、生涯にわたり、極秘の任務につくのだ。
 任務とは、異星人を発見し交流することだった。

 それから舞台は、四十数年後の現代中国に移る。
 ナノマテリアルという超強度素材を開発していた科学者、汪淼。彼はゴーストカウントダウンという不思議な現象に襲われる。彼の撮影した写真に、謎の数字が現れ、しかもその数字がどんどん減っていくのだ。さらにカウントダウンは、王自身の視界にも及ぶ。常に目の前に数字が見えるのだ。
 この不思議現象を解き明かそうとするうちに、汪淼は『三体』というゲームに出会う。三つの太陽を持つ、気候の不安定な世界で、なんとか太陽運行の法則を解き明かし、文明を発展させるのだ…

 こんな感じ。

 父を文革で殺されて人類に絶望した科学者が、異星人との交信に成功し、やがてこの異星人こそ救い主だと考えるようになる。エコロジストの大富豪と手を組んで、三体協会の総帥となる。

 カウントダウン現象の謎を解き明かすために奔走する科学者が、やがて「三体」というゲームを通じて、三体協会から接触され、同志にならないかと勧誘される。
 
 この2つの物語が並行して語られるわけです。
  
 読んでる間は、「細かいことを書きすぎだ。早くSF的な本筋を進めてくれ!」って思ったけど、でも読み終わってみると、細かい部分の肉付けこそが面白い。
 いきなり真相をバーンと出したら面白くなかっただろう。

 三体世界の描写が面白いし、「異星人に侵略されることこそ救い」という三体協会の考えも説得力を感じる。
 感じるんだけど……
 終盤、三体世界が新兵器を使って地球を攻撃するあたり……
 万能すぎる……そんなすごい科学力があるんなら、もっと速く艦隊を飛ばせるのでは?
 っていうか、地球まで来る必要もない。恒星とか惑星も操れそうじゃん。

 あと、アルファケンタウリって、作中で描写されているような三体世界とは違う。
 3つの太陽があるといっても、3つめ(プロキシマ・ケンタウリ)は2兆キロも離れた場所にあり、重力的に影響がないはず。
 ケンタウリAとBは比較的近い連星だが、近いといっても15憶キロあるわけで……
 もっと近く、2、3億キロくらいの範囲に3つの太陽がギッチリじゃないと、惑星の軌道がメチャクチャに振り回されることはないはず。
 
「異星人に侵略されることこそ救い」という三体協会の考えが、今回の話で、打破されるべき間違った考えだと、はっきり描かれてしまったのが、ちょっと好みに合わない。
 最終的に否定されるにしても、もっと引っ張ってほしかった。
 
 すごいリアリティのある部分と、いくらなんでも無理があるのでは、という部分が混在して、うまく融合してない。
 面白いSFだとは思うけど、2000万部の超ベストセラー!! って言われると、うーんそこまでか? という気もする。
 2巻3巻がもっと面白いのかな?

 誤読があるかもしれないので、もう一度読み返すか。
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