終戦翌日の新聞に「原爆アッパレ」って書いてあった

　そういえば終戦記念日を過ぎちゃいましたね。
「戦争に負けて何が記念だ！」という声もありますけど、でも私は「１９４５年の８月に降伏できたのは、ギリギリのところで成功といえる。記念して当然だ」と思います。あと１ヶ月遅かったらいまごろ北海道は日本人民共和国だし、それ以上遅れたら本土決戦で民族絶滅です。
　そう、あのとき降伏できて、まだよかったんです。
　不謹慎といわれるのを承知で、「負けることができて良かった」って言います。８月１５日は「絶滅をまぬがれた記念日」なんです。
　
　ああ、そうそう。近所の図書館に古い読売新聞があったので、読みました。昭和２０年のやつを。
　トンデモないことが書いてありましたよ。
　昭和２０年８月１６日、つまり終戦の翌日。
　当然、「日本はポツダム宣言を受諾した」って記事が載っているわけです。皇居の前でひれ伏して泣く人たち、の写真もありました。
　で、ものすごい社説が載っていたんですよ。

　「敵は地球上の全生命を死に至らしめるほどの兵器を使用した。しかし、このような兵器を使用した敵を憎んではならない。むしろ、それほどの兵器を作ることができた敵の科学力を天晴であると考え、日本の復興につなげるべきだ」（大意）

　えーっ！？
　おいおい……
　「原爆は仕方なかった」でも物議をかもすのに「アッパレ」ってか！
　終戦の翌日に、そう言うのか！
　その兵器で攻撃された人たちが、血反吐をはいて次々に絶命していく、真っ最中にか！
　怒りではなく、茫然とした。
　なんていうか……頭の切り替えが早いというか、節操無しというか……
　怨讐を乗り越えるポジティブ・シンキング。素晴らしいことだけど、あまりにもポジティブ過ぎて狂気に近い領域に踏み込んでいるような。