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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 「児童ポルノの単純所持」を禁ずる法案が自民・公明・維新から出ています。

 詳しくはこちらを。

 2009年に続いて、また出てきたのです。
 この法案が可決されればマンガ界に多くの悪影響があると考え、多くのマンガ家、作家たちが反対の意思表示をしています。
 とくにマンガ家・実業家の赤松健さん、漫画原作者の樹林伸さんなどの精力的な反対運動が素晴らしい、心強い。でもいまの自民党は2009年と違って勢いづいている、阻止できるかどうか分からない。もっと多くの、反対の声が必要だ。

 今回の規制は、「18歳未満のように見える性的な写真・絵は」「所持してはならない」ので、最大級の危険性がある規制だと言えます。「子供には見せないようにする」とか「過激表現を控える」とか、そんなことやっても無駄なのです、この法案が通ってしまえば。かつてネットを騒がせた「都条例の流通規制」を遥かに上回る恐ろしさです。

 だから私はもちろん反対です。
 この法案の問題点は山ほどあります。

 1、「児童を性犯罪から守るため」という目的だが、そもそも性的な漫画・写真等が性犯罪を生み出しているということがまったく立証されていない。逆に「マンガ・アニメは性犯罪を生み出していない」という根拠ならある。全く的外れ。

 2、「18歳未満に見えるキャラクターの性的なマンガ・写真」は、誰の家にもあるはずです。
 だって「18歳未満に見えるかどうか」は警察の判断なんですよ。
 マンガの絵柄が幼いだけでアウトなんですよ。身内の写真でもアウトなんですよ。
 誰でも逮捕、誰でも前科者という法律です。

 3、マンガやアニメというのは「綺麗な文化芸術」「俗悪なロリコンポルノ」を切り分けられるものではなく、かつてはロリコン・エロを描いていても、一般に進出して優れた作品を描いた人間が大勢いる。直接の作家進出でなくても、「エロはエロ以外のマンガ・アニメに多大な影響を与える」。
 根っこを切り落とした植物のように、ロリコン的なものを全否定すればマンガ・アニメは滅びる。
 
 4、仮にエロ漫画・エロ本を絶滅させたとして、無菌状態が子供にとって良いことなのか?

 私が一番、切実に感じているのは3ですね。
 マンガもアニメも、エロやロリコン抜きでここまで発展することは無かったと思うんです。
 「現在のアニメ」だけでなく「過去のアニメ」にも、ロリコンやエロの要素は満ち溢れていた。
 今のマンガやアニメがとくに低俗、などという事実はないのですよ。
 1980年代にはロリコンブームがあったし、1990年代だってリヴァイアスでは女の子が集団レイプされていたんですよ。エヴァンゲリオンだってセーラームーンだって「少女を性的に見る」ことと無縁ではありません。
 それらの要素がアニメの全てだったわけではないけど、でも、ある時は撒き餌のように、ある時は栄養源として機能し、「物語」や「キャラ」を支えてきたんですよ。
 18歳未満のエロを全否定して、どんなアニメやマンガ文化が作り得るというのか。
 過去数十年の積み重ねがここで断ち切られてしまうのですよ。

 と、ここまでは「一般向け」。
 多くの人に向かって話す言葉。
 ここからは、共感されないかもしれないけど、言いたい言葉。

 規制反対関連で、もっとも私の心を捉えた言葉は「エロを規制することによってエロくないマンガも滅びる、だから規制するな」ではありませんでした。
 「エロこそが人を救っている、だから規制するな」でした。
 根拠を出して言えないのですが、でも私は「ほんとうにそうかもしれない」と思っています。
 
 「交通事故鑑定人環倫一郎」などで有名な、マンガ家・樹崎聖さんが、こんな文を書いています。
 
 今回の児童ポルノ法に対する声明ではなく、2010年の都条例改悪の時の声明ですが、いまこそ、ぜひ一読してください。 

 素晴らしい告白で、すばらしい演説だと思います。
 読んでいて、何度、胸が引き裂かれるような痛々しい気持ちになったかわかりません。
 この痛さは共感の痛さです。「体が勝手に、わかってしまう」。
 「よくぞ言ってくれた」と手を叩くが、叩けば叩くほど自分が痛い。
 
 特に胸うたれた文章を引用します。

 作家性とはそうした闇を含んだもんでしょう。

 つまり大切なのは、ネガティブな部分を描かねば表現できないものがあり、人がいるってことです。

 (中略)

 ロリータしか愛せないので女性とは付き合わない人の苦しみを考えたことがありますか?
 覗きでしか性的に興奮できないので我慢している人の苦しみは?
 偏見にさらされるゲイの人の苦しみは?
 暴力でしか愛せないのに我慢している人の苦しみは?
 そんな人はおぞましいから排除ですか?
 変態は気持ち悪いから社会に必要ないですか?
 頭がおかしいと切り捨てますか?

 (中略)

 芸術は、お金持ちが投資するためだけのためにある小奇麗なモノじゃないんです。
 マイノリティが救われるためにこそあるのだと思いませんか?
 現実にあるデータも 、性表現は規制されるほど多くの犯罪を生み出す事を示しています。
 当然でしょう。
 コンプレックスが生み出す文化は、コンプレックスに苦しむ人を救っているのですから!!

 (中略)

 弱き者のわずかな希望を、平和にどっぷり浸った人が奪う・・・そんなお綺麗な人間にだけはなりたくないもんです。


 引用終わり

 共感できるんです、わたし、この文章に。身悶えするほどに。とくに最後のヤツに。
 これがわかるひととわからないひとのあいだには大きな断絶がある、だから表現規制との戦いは永遠に終わらない。
 だが決して諦めてはいけない理由も、書かれている。
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コメント
無題
ただ問題なのは規制派の連中は感情論でわめいているので、理屈じゃ説得できないことですかね。
そして憂鬱な事にやつらのいっていることは「正論」なんです。
【2013/06/07 20:32】 NAME[こうひんひろみ] WEBLINK[] EDIT[]
無題
>こうひんさん
 コメントありがとうございます。 
 ゴリゴリの規制派を説得するのは無理だと思いますが……
(ゴリゴリ規制派は、ほんとうに人の意見に耳を貸さない。まあ「ああいう趣味の人は異常者」みたいなレッテルを貼っちゃう人達なので、そりゃ聞かんでしょうなあ)
 「よくわからないけど、なんとなく悪いよね」くらいの、「あまり興味を持ってない消極的規制派」相手なら、理屈で多少は動かせる可能性があると思っています。
 赤松健さんなどの規制反対運動も、「中間的な人々」「消極的規制派」に対して訴えるものに見えます。
【2013/06/08 00:20】 NAME[ますだ] WEBLINK[] EDIT[]


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