「ガルパンは自民党のプロパガンダ！ 軍靴の音が聞こえてくる」について

　そういえば、ガルパン（アニメ「ガールズ＆パンツァー」）について「自民党によるプロパガンダアニメ」「軍隊のイメージを向上させるのが目的」だって言ってる人がいるね。
「他にも、自衛隊や軍隊などを肯定的に描いているアニメが増えている。これは政府の陰謀だ」みたいなことを言ってる人がわりといる。ジョジョのアニメまで陰謀だってさ！
　「えっギャグでしょう」と思っていたら、本気らしい。

　私は以前、（２０１１年１０月ごろ）ネット上の「韓流は何故駄目なのか？」という記事に反論した。
　だから、今回の「ガルパン陰謀論」にも反論する。
　アホらしいと思いながらも、いちいち反論する。

　「韓流は何故駄目なのか？」というのは、「韓国のドラマやアイドルなどがゴリ押しされているのは韓国の陰謀、日本の中にいる裏切り者どもの陰謀。日本人を洗脳し、侵略する意図がある」みたいな記事です。
（ぐぐれば出てきます）
　他にも「南京事件はなかった！」とか「太平洋戦争はアジア解放の聖戦」とか、そういうたぐいのことも書いてあって、私はそれらにいちいち反論したんですが……
　まあ、韓流に関することだけに絞りますよ。
　私は、「韓流は侵略だから許せん」という主張に対して、２つの点で反論したはずです。

　１，「韓国が明確に侵略の意図を持っている」という根拠が無い
　日本のテレビ局などが自発的に韓国製品を選んでいるのかもしれない。たんに安いから、日本国内に良いのがないから仕方なく韓国製品、なのかもしれない。実力で日本製品が負けたのだ、という可能性をなぜ検討しないか？

　２、「仮に」韓国が、日本人を洗脳する意図をもって韓流をゴリ押ししていると仮定しても、「効果はほとんどないだろう」。
　
　特に、私が強調したいのは２。
　戦前の日本でもアメリカの映画や音楽が愛好されていました。
　ヨーロッパ諸国は互いの文化を愛していました。
　しかし戦争は起こった。
　サブカルチャーの力は、残念ながら、国家の意思決定の前には無力です。
　したがって、韓国ドラマがどんなに大人気になっても、それによって日本人が洗脳されちゃって親韓的になって、領土が割譲されるとか、国ごと乗っ取られるとか、そんなことはあり得ない。

　「韓流は何故駄目か？」のコメント欄では、「絶対にあり得ないと言い切れるのか！　もし万が一、ほんとうに洗脳される危険性だってあるじゃないか！」って再反論してくる人がいましたけど。
「もしかしたら万が一、洗脳されるかも！」なんて曖昧な懸念で、作品を否定してはなりませんよ。
「１００％の安全が保障された作品で無ければ嫌だ！」っていうんなら、エロ漫画も暴力漫画も規制できる。
　エロ漫画が、絶対に性犯罪を誘発しないと断言できるのか！　そりゃできないからね。「もしかしたら有害かも」という論法を認めてしまったら、どんな規制されても反論できなくなっちゃうんだよ。
　有害だと批判する側に立証責任がある。「ないとは言い切れないだろう」は立証じゃない。
　だから私は（韓流に全く興味が無いにも関わらず）反論した。

　今回のガルパン陰謀論についても同様のことが言える。

　戦車をかっこよく素敵に描いたって、国民が戦争好きになるわけじゃありません。
　国民はそんな簡単に洗脳などされない。
　韓流の時もガルパンの時も、「日本人が洗脳される！！」と危惧する者達は、日本人をよほど意志薄弱で無能な生き物だと思っているようだ。にも関わらず、自分たちはちゃんと物が見えていると。
　聞こえてくるのは軍靴の音ではなく、笑い声だ。
　民衆のためと言いながら民衆を侮蔑する、彼ら・彼女ら自身の嘲笑だ。

　そもそも、「軍隊や戦争や兵器を肯定的に描いたアニメが増えている」って、事実なんですかね？
　そんなの昔からあったと思うけどなあ。

　追記

　私自身が、ついこないだ「琴浦さん」第４話について、「この作品で、イジメを容認する思想が広がるかもしれない。けしからん（キリッ）」などと批判していた、この矛盾につきましては、えーと、あー。うー。まーそのー。

　これから言い訳を考えるから、ちょっと待って！