ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
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「ヤマト2199」の感想を書いていなかったですね。
第1章(1話と2話)観ました。やっぱり若い客はいない。若くても30代、年いってる人は50代60代。白髪頭が目立ちました。アニメ映画としてはきわめて異例。そうですよね、ヤマトって38年前ですもの、当時中高生なら、もう50歳を過ぎてますよね。 感慨深い。 で、感想…… おい新見さんが台詞ゼロじゃないか! 真田さんの片腕なのに! 集合して兵員輸送車(?)に乗るシーンで、いちおう映っていたけど、一言も喋らない! 公式サイトの人物紹介を見ていたから良かったものの、予備知識ゼロで映画観ていたら、このお姉さんが何者なのかぜんぜんわからない、つうか「モブのくせに美人だな」という感想になっていたところだ。 まあ新見さんの活躍は、反射衛星砲とかドリルミサイルとか、これからいろいろ機会がありそうだから、これからに期待する。「敵性技術の分析」が専門だぜ? 1000円ぶんは楽しんだ。 帰りの電車の中で「ふふふー、ふふふふー。ふふふー、ふふふー♪(ヤマトの主題歌のつもり)」とか鼻歌が出てくるくらいの面白さはあった。 とくに良いと思ったのが、細かい演出。 「ガミラス」を「ガ軍」と呼んでいる。 最初のほう、地球の戦艦のモニターにガミラス艦隊の編成が表示される時、 「ガ軍戦艦」 「ガ軍巡洋艦」 とか出てくる。 カァッコイイ! ガミラスの軍艦の装甲板の破片は「ガ軍 甲種資料」だそうな! なんか「戦時中っぽさ」が出ていて良いな! 旧日本軍だったら確かにガミラスのことをガ軍って呼ぶだろうね! そのわりに階級が自衛隊式なのはなんかよくわからん世界だけど、まあヤマトってのは元々よくわからん世界なのだw あと、ガミラス人がガミラス語で喋っているとか、冥王星基地の司令室にデスラーの御真影(レリーフ?)があるとか、「地球人が精神的に荒廃している」ことが暴動という形で描かれたりとか、「日本以外の国はどうなっているのか」描かれているとか。 微修正を積み上げて「社会」を描き、SFとして完成度を高めよう、という意志が見える。 でも、「これはどうなんだろう」と思ったのが、戦闘シーン。 序盤のヤツ。(冥王星会戦) 速いんだよ、軍艦の動きが。 ヤマトの宇宙戦闘ってのは、もっと重厚、悪く言えばノソノソ、ヌーッとい感じじゃないのかな。 とくに「駆逐艦にドッグファイトをやらせた」のは、絶対、危険な賭けだと思った。 ガミラスの駆逐艦が、地球の戦艦(ヤマトじゃなくて旧式のやつ。戦艦キリシマ。沖田が座乗)に、斜め上からギューンッて、急降下爆撃機みたいな感じで突っ込んできて攻撃するんですよ。 そこに、古代守の「駆逐艦ゆきかぜ」が横から突進してきて魚雷発射。ガミラス艦を撃破して戦艦を救う。 「ゆきかぜ」の動きのスピーディーなこと! 完全に戦闘機の動きですよ! その後、撤退する戦艦を守るため、「ゆきかぜ」は単艦でガミラス艦隊に殴り込みをかけます。 ますますスピーディー! 艦隊の中を上下左右、縦横無尽に旋回し、駆け巡る。 ガミラス艦の攻撃をかわしまくり、何隻も撃沈する。 だが、ガミラス艦も素早く動いて応戦。熾烈なドッグファイト。 ゆきかぜ、ついに力尽きて爆発…… うん、かっこいい。 でも、このカッコよさは「ヤマト」じゃない。 これマクロス! これバルキリー! 戦闘機ならともかく、軍艦がこんなに素早く動く、という描写は、旧ヤマトにはなかった。 そもそも旧ヤマトの軍艦は(惑星に離着陸する時を除いて)上下には動かない、平面的に機動して戦闘するものだった。「ななめ上」から敵艦が急降下してくる、という時点で「エーッ。ヤマトじゃない」。 いや、なんていうのかなあ…… 「リアリティの出し方」の問題なんですよ。 ヤマト世界の宇宙戦闘って、科学的には絶対ありえない代物ですよね。 「なんで宇宙なのに、あんなにゆっくり飛ぶのか」 「なんで宇宙なのに、あんなに密集して艦を並べるのか」 「なんで宇宙なのに、平面的に軍艦を並べるのか」 「なんで宇宙なのに、艦の上半分にしか砲塔が付いていないのか」 「なんで宇宙なのに、敵も味方も、どの艦も、上下の向きが一致するのか。本来、宇宙には上下なんてないんだから、ひっくりかえった状態で会敵する例があってもいいんじゃないか」 「なんで宇宙なのに、艦橋を高いところに付けて、わざわざ狙われやすくするのか」 これらは、旧ヤマトが放送されていた1970年代には、すでにツッコまれていたそうです。(伝聞でしか知りませんが) で、一般的に「SFっぽいのに、科学的に変」なのは「リアリティがない」からマイナスポイントですよね。 この「科学的に変」をどう解決するか。 三種類くらい方法があります。 1、ツッコミを受け入れて、作品設定や描写を科学的に修正する。 リアルタイムでの修正は滅多に行われない。続編やリメイク版では設定が修正されることもあるけど。 2、後付け設定で正当化する。 1に似ているが、作品内での描写を変えるのではなく,、設定資料集とかファンブックとか、作品の外側で「後付け設定」を行なって、「このシーンは、実はこういうことが起こっているんですよ。だから科学的に筋は通っているんですよ」と正当化する。 要するに「ガンダム(宇宙世紀ガンダム)」です。 Q「なんでモビルスーツという人型兵器が戦場の主流になったの?」 A「ミノフスキー粒子によってレーダーが使えなくなったから、近接格闘戦を行う必要がある」 Q「格闘で腕が必要なのは分かったけど、なんで宇宙で足が必要なの?」 A「AMBACによって姿勢制御を行うため」 Q「ビームサーベルはなんで他のビームサーベルとぶつかって、鍔迫り合いをすることができるの? 固体じゃないから互いに通り抜けてしまうのでは?」 A「ビームサーベルを構成している『Iフィールド』が互いに反発するから」 Q「ビームサーベルって固体じゃないのに、なんで振った時、しなるの?」 A「Iフィールドの形成遅延効果」 Q「ホワイトベースは、あんなに空気抵抗が大きそうな形なのに、なんで空を飛ぶことができるの? 後ろにしかロケット噴射していないのに、なんで上に飛び上がれるの?」 A「あれはロケットの噴射で浮いているわけではなく、ミノフスキー・クラフトという原理で浮上しています」 最初から設定されていたのは、一番最初のAだけで、AMBACだの、ミノフスキー・クラフトだのの設定はなかったんですよ。 こうやって後から後から設定を追加すれば、筋を通すことはできる。 3、言い訳しない! こういう世界なのだ! 黙って付いて来い! 「科学的にありえない? その通りです。でもこっちのほうがカッコイイでしょ?」という「美」で押し通す。 「現実とは違うけど、この世界はこういう世界なんですよ!」って。 じっさいのアニメを例に取ると、「この作品は2,このアニメは3」などと完全に分けられるわけではなく、混ぜて使うことが多いです。ガンダムだっていろいろ理屈を付けて、付け切れなくなって、最後の最後では「これはロボット物なんだから人型兵器が出てくるのは仕方ないの! カツ丼屋で、なんでカツ丼があるんだって言っても仕方ないの!」(byガンダム・センチネル)って放言しているわけですし…… でも完全には分けられなくても、「ガンダムシリーズはどちらかといえば2」とは言えますよね。 ヤマトは2ではありませんでした。 徹底的に「3。考証放棄。説明放棄。だまって俺についてこい」という作品でした。 でも……「この世界は、こういう世界なんだ」で押し通すんなら、「こういう世界」をどの場面でも貫き通すべきだと思うのです。 貫き通すことによって初めて、「リアリティがない」じゃなくて「この世界はこういうリアリティなのだ」になる。 「ヤマト世界の戦闘ってのはあくまでスペース太平洋戦争で、宇宙船は水上艦、だから上にも下にも行けません」。 この美意識を貫くべきだったのでは。 それなのに、ゆきかぜは、戦闘機顔負けの3次元高機動戦闘を見せつけた。 まったく違うリアリティを入れてしまったのです。 美意識の破綻です。私は「この世界はスペース太平洋戦争だ」という心構えを崩されました。 どういう心構えで観ればいいのか分からなくなった。 格闘漫画なんかに置き換えれば分かりやすくなりますかね。 トンデモ武術を出して「気」で機関銃の弾を跳ね返して空飛んで超人バトルやっていたのに、一転して、「ホーリーランド」みたいな現実的な格闘理論で勝敗が決まったら…… 「せっかく頭を非現実に切り替えたのに、いまさら何いってんの!?」って反発されると思いませんか? そんな感じで、「ゆきかぜ」の戦闘シーンで不安になりました。 もちろん、複数の美意識・世界観を混ぜて、必ず破綻するとも限らないし、方法論3を放棄して1や2で行く、つまり、ちゃんと科学的説明を用意してくれるのかもしれない。 今回、「ガミラスは属国(被征服民族)を従えている」という、新しい設定が加えられました。 これは今後のストーリー展開を大きく揺るがしうる大変更です。 だから、戦闘シーンに関してもガラリと変えてくるのかもしれない。 不安ではあるけど、まあ今後に期待。 PR |
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