ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 少しでもカネにできれば……といって本を売りに行き、3000円ゲット。 イヤッホー! これで肉が食える! 意気揚々と帰る途中で本屋に寄ってしまった。 それが運の尽き。 前から読みたかった上田早夕里「深紅の碑文」上下巻を見つけ「あーっ!」と叫んで買ってしまう。「あーっ!」は喜びと葛藤の叫びです。頭の中で悪魔と天使が戦い、コンマ五秒くらいで悪魔が勝ったのです。 文庫だけど2000円もした。ああ、せっかくのカネがふっとんだ…… 俺のバカ……死ぬかも。 でも、死ぬんなら、人生最後にこの本を読んで死ぬのも、悪くない。 そのくらいの力作だ。 「深紅の碑文」は、「華竜の宮」の続編だ。 「華竜の宮」は、地球の大部分が海に沈んでしまった未来世界で、海に適応した人々「海上民」と陸上民の対立、融和を描いた未来史SF作品だ。主人公の外交官があくまで平和を愛し、絶望的な状況を非暴力で解決する生き様が、カッコイイ。クジラみたいな生物を家族として暮らす海上民の異世界描写が面白い。ラストには世界の危機も出てくる。 そして続編の「深紅の碑文」は、世界の危機に直面した人類がどうやって生き残るか、まさに死闘としか言いようが無いエゴのぶつかり合い、それでも理想や夢を追う人々を描いている。 なんといっても泣けるのは、あと数十年で人類滅亡という状況で、凍結されていた宇宙開発を再開し、恒星間宇宙船を作ろうとする人々だ。 いまの科学技術では、よその星に移住はできない、それでも人工知能を積んで、「人類という生き物がいたのだ」ということを知らせることは出来る。宇宙の彼方にきっといる、見知らぬ友へ。 「世界の危機だってのに無駄なカネを使うな」「そんな金があるなら人を救うのに使え」という人もいるが、それでも支持する人はいて、艱難辛苦を乗り越えて、ついにラスト、宇宙船は飛ぶ。 「人類は滅亡したらしいが、想いを託された宇宙船が他の恒星系に飛んでいく」このラストは、前作「華竜の宮」ですでに明かされている。それこそ人類文明が最後に成し得たことだったと。 「華竜の宮」ではさらっと描かれていたものを詳細に描き直したのだ。 まだ流し読みしたにすぎないけど、「この話は良い!!」という感動が沸き起こってくる。 ラストで、出発する人工知能に対して人間たちが言う。 「必ず追いつく。何千年かかるかわからないが、文明を復興して、人間も行く。だから、さよならは言わない」 これが良い。 しかし、どうやら、このまま人類は絶滅したらしい、復興はついにできなかったらしい…… それでも生きたことに意味はあった。 最後まで捨て鉢にならず、夢と愛を忘れずにいた人類は美しかった。 たぶん精読すれば、もっと感動できるだろう。 山本弘「アイの物語」との対比が興味深い。 人類はダメな生き物だ、人工知能こそ優れている。という「心地良い諦めの物語」である「アイの物語」。 人類はダメかもしれないが、それでも諦めるか! 絶対に生き残ってやる、その努力は尊い! という、「人類の熱き血の物語」である「深紅の碑文」。 正反対なのに、「他の恒星系に人工知能を送って、人類のことを伝えてもらう」という部分は同じ。 ロマンだよなあ。 あと、作中で強調されているのが、「無人の恒星間宇宙船は大して難しくない」。 「数兆ヴァルート(日本円で数兆円だと思う)の予算があれば出来る」。 作中の宇宙船は核融合炉を使っているから、今の技術では作れないけど、核爆弾を動力源とする(オライオン計画)ことで代用できる。 光速の1割以下、何百年もかかるけど、でも他の恒星系には行けるんだよね。 宇宙開発の停滞は、技術の問題では無いんだよね…… 「やらなかった」だけなんだよね。 イラク戦争やらなにやらの戦費、数十兆円をぶっこめば、いまごろは太陽系じゅうを探査機が飛び回っているし、他の恒星系にだって無人船が向かっているんだよね。 この作品のような、人類滅亡という追い詰められた状況じゃないと、「何が何でも宇宙船を送る」というモチベーションが出ないかもしれないね…… PR |
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