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ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設 ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。 こちらです https://kakuyomu.jp/users/pennamec001
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 この10日間、アニメを見ようとも試みたのだが、オルフェンズみても、おそ松さんをみても、なんだか気が乗らない。
 意外にも、小説なら読める。
 仕事で疲れ果てていた時は、小説はハードル高かった。活字を追って、頭の中で再生するのが疲れる。頭使う。だから口をポカンと開けて、アニメ見た。
 でも、いまは逆に、アニメより小説だ。

 山本弘の「アイの物語」「去年はいい年になるだろう」「僕の光輝く世界」「翼を持つ少女」あたりを、何度も読み返していた。どれもいい話だ。
 なにより、作者の思想が進化する過程を味わえる。
 山本弘は「アイの物語」でいちどは結論を出した。
「人類は真の知性体ではない。人工知能こそ地球の支配者にふさわしい。人類はさっさと引退しろ。人類のやりたかった宇宙進出は人工知能が引き継いでくれる。だからもういいだろ」。
 絶望的だけど、すごく美しくて、頭をガツーンとやられてしびれちゃうような、感動と快感を与えてくれる結論なんだよ。「敗北を受け入れる」のも気持ちいいものだ。

 ところが山本弘はその結論を超克する。

 「去年~」では、「人工知能も神様じゃない、人類を救うつもりで逆に苦しめて、世界をメチャクチャにしちゃうことだってある」と限界を描く。だから愚かな人類は、愚かなりに奮闘して、血と涙を流しながら世界を変えていくべきと謳う。
 「僕の光輝く世界」の主人公は特殊な能力を持ってはいるが人間だ。その人間が不完全なりに奮闘して幸せを作ろうとする姿を暖かく描いている。
 「翼を持つ少女」に至っては、ただSFが好きなだけで特別な力など何もない少女が、周りの人間とコミュニケーションしながら恐る恐る、自分と周囲を救っていく姿を描いている。世界は悲しみと挫折に満ちているが、げんに希望もあるじゃないか、と、繰り返し繰り返しメッセージが放たれる。
 「人間バカ! 人工知能偉い!」とズバッと断言することに比べて、これらの作品のメッセージ性は、泥臭くて歯切れが悪い。
「人類は素晴らしい」とは言ってないのだ。
 人間はダメだけど頑張ろう、という矛盾に満ちた、「そんなの、口で言うのは簡単だけどさあ」という思想。
 ある意味、何千年も前から、当たり前に言われ続けてきた説教への回帰。
 でもそれは、単にヤケクソになっての思考停止ではない。読めば分かる。

 というわけで、私はこれらの小説群が大好きです。
 
 小川一水の「イカロスの誕生日」が再刊されていたので、買って読んだ。
 あ、これ昔も読んだ。
 リメイク版ではなく、15年前に出たやつと同じ小説みたいだな。

 山本弘といい、小川一水といい、人も死ぬし、苦悩もあるんだけどな。
 なんで抵抗なく読めるんだろう。
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 10日ほど前に大変悲しい出来事があった。
 仕事を休んで対応した。
 具体的にはお葬式だ。
 空いた時間も、パソコンに向かう気にもなれず、家でゴロゴロ、ボーッとして過ごした。
 仕事がまた始まったが、やはり日記を書く気になれない。
 仕事が終わった後はゴロゴロ、ボーッ。
 昔だったら酒浸りになっていたかもしれない。今は酒を飲まないけど。
 ネットの日記? そんなもん書いて何になる……もう遅い。もう遅い。
 そう思って布団にくるまった。
 
 要するに悲しんでいた。
 そして恐怖にも襲われていた。
 人間はこんな簡単に死んでしまうのか、という。
 じゃあ俺も。あの人も。明日会える保証はない。
 ああすればよかった、ああ言えばよかった、という後悔も強い。

 でも、悲しむことはきっと必要だったと思う。
 「まどか☆マギカ」でさやかが壊れちゃった理由(の一つ)は、マミさんが死んだ時に泣かなかったから……と言う意見をネットで見ました。
 まどかはさんざん泣いたけど、さやかは泣かなくて、「私がマミさんの遺志をついで正義の魔法少女になるんだ!」って発奮して、頑張り続けて……だからだと。
 そうかもしれない。

 だから「今は悲しんでいい」「頑張らなくていい」と思って、薄ぼんやりと10日間を過ごした。

 もうそろそろ立ち直れそうだ。
 立ち直るも何も…… 
 俺は最初から、人間的に自立していなかった、ということを思い知らされているのだが。

 スマートフォンが壊れた。
 しかも、「仕事のため、どうしても同僚と連絡しないと」という時に、狙ったようにブツッと、画面が真っ暗に。
 な、なにこれ? 何が起こってるの?
 驚きと苛立ちが襲ってくる。
 真っ暗で、どう操作しても変わらないのに、電話が鳴った。
 画面が壊れてるだけで、電源も入ってるし通話もできるぞ!?
 不幸中の幸い! たぶん、画面のこの辺を撫でれば、電話を取れる……
 ほら、同僚と通話できた!
 でも、受けることはできても、こっちから掛けるのは無理だった……
 その一回の通話だけで、なんとか話を全部終わらせる。
 
 次の夜勤のために寝なければいけないのに、睡眠時間を削って携帯ショップへ。
 修理に出して、代替機を借りてきました。
 ああ、睡眠時間があんまり取れなかった。今日の夜はツライだろうなあ……

「こなたま」さんという人が2chで連載した「やる夫がフューラーになるようです」を読んだ。

 2008年から2011年まで連載されたもので、もう何年も前のものだけど、いやこれが実に面白くて、なんで今まで読まなかったんだろう!
 ここ1、2週間くらい、隅から隅まで夢中になって読んだ。
 スゴイ面白かった!
 こういうのはなんて言うんだろう……小説とは違うしマンガでもない……
 「やる夫スレのAA物語」、としか言えない……

 フューラーというのはナチスドイツの総統、アドルフ・ヒトラーです。
 ヒトラーの青年時代から、ナチ党への参加、ミュンヘン一揆、失敗後の再建、選挙、政権獲得、ドイツの支配者になるまでを描いています。
 いろんな歴史上の人物が、アニメキャラのAA(アスキーアート)の姿を借りて、カリカチュアされた姿ではあっても魅力的、人間性たっぷりに描かれている。
 私はドイツ軍好きではあってもヒトラーはあんまり好きじゃなくて、総統になる以前のことは「若いころはダメ人間のワナビだった」「軍隊では勇敢だった」くらいの知識しかなかった。
 ましてワイマール共和国の政治家なんてぜんぜん知らん。(知ってたのはローザ・ルクセンブルクなど、共産主義関連の人だけ)
 でもこれが、ナチスもその敵対者も、面白い奴ばっかりで。

 前半で興味深いのはエーベルト大統領かな。
 左翼でありながら、共産主義の暴動を弾圧したので左翼から憎まれ、右翼からは弱腰の売国奴と憎まれ、それでも最大限、安定と民主主義を守ろうとした姿が泣ける。

 中盤では、ヒトラーの恋愛面が面白かった。
 エヴァ・ブラウンは有名だから知っていましたが、マリア・ライターという少女に惚れられていたのは知りませんでした。初々しい恋愛で、妬ましくもあり、微笑ましくもあり。
 ヒトラーのまわりには相思相愛の女の子が何人もいたのに、なかなか一人に決めなくて、ラブコメ主人公みてーだな。
 優柔不断ぶりのおかげで、女の子が次々に自殺して、ちっともコメディじゃねーけどな。
 ラブコメ主人公と政治権力が合体すると人が死ぬ。みたいな。

 終盤は、レーム(突撃隊)、ヒムラーとハイドリヒ(親衛隊)、ゲーリング、ヒンデンブルク大統領とその側近など、さまざまな人物の思惑がドーッとぶつかりあって、濁流となって一つの結末に流れ込んでいくところに、すごいダイナミズムを感じだ。
 生きた歴史!! という感じ。

 映画「ヒトラー 最後の12日間」も良かったけど、こっちの「やる夫がフューラーになるようです」も「人間・ヒトラー」を描いた傑作だと思う。
 とにかく、歴史って面白いなあ! と興奮させてくれる、素晴らしい作品だった。

 「おそ松さん」を見ている。
 第1話のパロディはちょっと白けたけれど、2話、3話、4話と見てると、「これはすごいな」。
 笑えるし、「これは画期的なアニメじゃないのか」という気もしてくる。
 昔の「おそ松くん」を見てないから、この作品だけの評価になっちゃうけど。
 外見はほとんど同じ(僅かに違いはある)の六つ子たちが、声優の演技によって演じ分けられ、見ているうちに、「別の人格」として立ち上がってきて、関係性までわかってくる。
 こんなアニメもあり得たのか。


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