ますだ/ペンネームCの日記です。06年9月開設
ウェブサイト「カクヨム」で小説書いてます。
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最近面白かった本。
葛西伸哉「恋愛撲滅隊コイスル」ファミ通文庫。 ジャンルは「アンチ・ラブコメディ」。 主人公の少年は、失恋したショックで「恋愛のバカヤロー!」と叫んだ。 すると何者かに拉致されてしまった。 彼を拉致したのは同じ学校の美少女たち。 彼女達はこう名乗る。 「人類はレンアイという宇宙からの侵略者に支配されている。 我々はレンアイと戦い、人類を解放する革命組織『コイスル』! お前は見所があるから仲間になれ!」 「なおコイスルの秘密を漏らすものは、酷い目に遭わす!」 と…… 主人公はなし崩し的に「コイスル」の「レンアイ撲滅活動」に付き合わされることになり、「隊長」こと露草未否(つゆくさみいな)の電波な言動に翻弄されつつ、波乱の毎日を送ることに…… で、主人公は最初、「こいつらおかしいよ!」としか思っていなかったのですが、だんだん隊長の「ちょっと考え方は変だけど、とっても知的で、一生懸命で、物事を深く考えていて、信念があって……」みたいな所に好意を抱いていくのです。ある瞬間、「ぼくはこの人が好きなんだ、どうしよう……」と気づいてしまう。 恋愛を否定することで逆説的に恋愛を描く物語です。 なんといっても隊長の魅力が面白さの8割を占めてると思います。 だから隊長を好きになれるかどうかで、この小説の評価が決まると思います。 私の好みにはピッタリです。 絶世の美少女で、ロリ体型。頭脳明晰だが「レンアイは悪だから撲滅する」という奇妙な信念を持つ。 とにかくエネルギッシュで、押しが強く、演説癖がある。でも演説すると呂律が回らなくて必ず台詞を噛んで、恥ずかしがる。 しかも近眼で、隠れ眼鏡っ子なのです。 普段は裸眼ですが、漫画を読むシーンで眼鏡をかけました! だらけて読んでいた私は驚愕し、「ちょ、ちょっと待ってくれ! いま正座する!」 で、私はこの小説を読んでる間、強い既視感をおぼえたんですよ。 私はこの小説を読んだことがある。 いや……書いたことがあるぞ! 自称革命家の電波少女に振り回されて、いつの間にか好意を抱いてしまう物語…… こ、これは「赤星サヨの革命戦記!」じゃないか! もちろん、「アイディアを盗まれた」などと妄言を垂れるつもりはありません。 「革命少女に振り回される」なんて、こんなシンプルなのはアイディアでもなんでもない。単純化すれば同じ話に見えるという箇条書きマジックに過ぎません。 でも…… 同じ話でもこんな風に書ける、ということは確かなんだ…… 革命少女を「ライトノベル変換」「萌え変換」する方法は、ちゃんとあるじゃないか! こう書かないから私の小説はダメだったんだ。 どうして、現実の左翼をそのまま美少女にしただけで、事足れりとしたのだろう? PR
なんでも巨大台風が来るそうですな。
こんな日にもバイクで夜勤に出る。 しかも今日の現場はクレーンを使う作業だ。 危険じゃねえかなあ。 「危険なことを、安全に遂行するために警備員がいるんだよ」 そうだけどさあ。 今回の台風はコースは50年前に名古屋を壊滅させた「伊勢湾台風」と同じくらいの強さで、コースも同じだそうですね。 私も「ジャジャ」というバイク漫画で読むまで伊勢湾台風のことは知らなかったのですが、大変な天変地異だったそうで…… 今の日本なら大丈夫だよな! たのんだぞ50年間の治水努力!
こないだの週刊少年ジャンプを読んで確信。
やっぱり「バクマン」で一番かわいいのは蒼樹さんだよ! イマイチ主人公のコンビに感情移入できない。高校生のジャンプ作家なんて人生がうまく行き過ぎているから(笑)。そんなわけで35歳でようやく漫画家になれたデブの中井さんに共感しながら読んでいたのだが…… 蒼樹さんに完全に振られた! これはキツイわー。 まず結ばれることは有り得ねえとわかっていたが…… でも、きっぱりと振るシーン、その後の編集者と会話するシーンの蒼樹さんの、なんと可愛らしいこと! これは線じゃない! 絵じゃない! 生きている! とか口走りたくなったね。少女の可憐、大人の思慮が完璧にマッチングしているね、あの瞬間! あの数ページを舐めるように読み返しています。 この人はなんで眼鏡をかけたりかけなかったりするんだろう、と思いながら。 (いつもかけてください) それにしても蒼樹さん、男を振った直後に「真剣な恋愛漫画」を描く事になるとは皮肉ですわな。中井さんの立場になってみれば「あああああああ」以外の何物でもない。 なんだかんだいってバクマンは、それほど深刻なオチにはならない。これまでも「悲劇になるぞ!」という煽りはあったが、最悪の予想よりはずっと良い展開だった。きっと中井さんにも救いがあると信じている。 これがチャンピオン連載だったら中井さんは「主人公の反面教師」というだけのキャラで、とっくに出版社の屋上から身投げしている。小豆も枕営業をさせられているよ。 あとバクマンの主人公達は、「編集者がダメっぽい路線を強要してくるので、新人賞に応募してやり直しを図る」という行動をとりつつあり…… 「選考員が新妻エイジだから編集者より信頼できる」とか言って。 うーん、これはどうなんでしょう。 あなたたちはエイジ先生の「ライバル」を自称して、それがプライドだったんですよね。 それなのにエイジ先生の眼力を頼りにして、引っ張り挙げてもらおうとするのは、なんか違わないですか。 このへんの筋の通らなさも、主人公コンビにイライラする理由です。
「ブラッドファイト 蒼血殲滅機関戦闘録」を更新しました。
今回は原稿用紙で10枚くらいです。 姉の幸せのために教団に尽くすべきか。 あくまで殲滅機関戦闘局員として蒼血と戦うべきか。 いくら悩んでも答えを出せない敬介は、凛々子のもとを訪れ、どうすればいいと訊く。 本当は「蒼血と戦え! キミは人間だろう!」と叱り飛ばして欲しかった。 だが凛々子の答えは意外なものだった。 「どうしろとも言ってあげられないよ」 なぜだ? と戸惑う敬介は、凛々子の過去を知ることになる。 蒼血と一つになって80年間も戦いの中を生きてきた、少女の真実を。 こんな話です。
で、これが「すごかった小説・2作目」。
新城カズマ「15×24(イチゴーニイヨン)」の1巻と2巻。(スーパーダッシュ文庫) 新城カズマ、「狗狼伝承」完結以来4年ぶりの小説新刊! 新城カズマの小説が大好きです。 でも、たぶん、世の中の普通の新城ファンとは「好きな理由」が違います。 ふつう新城カズマは「衒学趣味が凄い」ってことになっていますが、そのへんのことはピンと来ません。 衒学。この人の小説って衒学的(知識や学問をひけらかしている)かなあ。 ぜんぜん衒学性を感じないんですけど。 「いろいろ勉強して、大量の設定を作ってもあえて語らない」という書きかたで、衒学とは正反対なくらいでは? 佐藤大輔とか本田透のほうがよほど衒学的な小説を書いているような…… 私は衒学趣味とかどうでもよくて、新城カズマがみずみずしく、痛々しく描く「心」が好きなんです。 もう20年近く前、デビュー作の「蓬莱学園の初恋!」を読んだときからずっとです。 「蓬莱学園の初恋!」 タイトルの通り恋の話、片思いの話です。 主人公の少年は、一目見ただけの少女に恋をして、彼女のためならどこまでも駆け巡り、10万人の冷たい視線を浴びてもひるまない。 熱い、青い心。 そして主人公は、なんの反論も許されず犯罪者に仕立て上げられ、死刑に処されようとする彼女を守らんと、10万の群集に叫ぶ。 「お前は悪いから、劣った存在だから、責められて当然なんだといえる奴は出て来い、ここに来て彼女を責めてみろ!」 主人公は凡人です。小さな勇気とまっすぐな心があるだけの凡人です。でも、いざというときに小さな勇気を奮い起こせる人間がどれだけいるか。 それなのに主人公は、どんなときも小さな勇気を捨てなかった。 そして、積もり積もってきた小さな勇気が、やがて大きなうねりとなって奇蹟を起こす! これらのことが、きわめてアップテンポな文章で、素朴に、前向きに語られるのが「蓬莱学園の初恋!」です。 そして「狗狼伝承」。これも愛する人を救うための戦いの物語。 歴史を改変して想い人を救うため、時を超え、異世界の怪物と戦いながら旅を続ける少年と、その少年に心動かされてどこまでもついていく、少女の物語。 少年は戦えば戦うほどに悲しい真実を知って打ちのめされ、そのたびに「絆の力・想いの力」でふたたび立ち上がる。最後には、自分の戦いこそが敵の利益であったこと、すべては巨大な罠の一部であったこと、そして愛する人を救うためには、三千世界(全宇宙)を跡形もなく破壊しなければいけないと知る……!! たった村一つ、娘ひとりの、報われない愛の話が、全宇宙消滅の話になってしまう。 そして……そういった激動の物語すべてが、登場人物の心情を独白形式で書きまくる、きわめて心情描写に偏った文体で語られる!! 出版社がつけたあおり文句はこれです。 「目もくらむほどの感動を約束するロマンチック・ファンタジー」。 ふつうここまで臆面もないことは書けません。 でも私は現に目が眩むほど感動したので無問題! さらに「ジェスターズ・ギャラクシー」。 これは10万年続いた銀河帝国が落日のときを迎えたとき、滅びゆく帝国に忠誠を誓い、革命勢力と戦い続けた「銀河騎兵」の物語です。 物語は帝国崩壊100年後から始まります。そして、ジジイになった主人公が回想するという形で帝国崩壊の戦争が語られるのです。主人公たちの戦いは敗北がすでに決まっているんです。そして100年後の世界では、主人公達の功績はすべて否定され、ただ虐殺者という評判だけが残っているのです。 きわめて暗い設定を基調にしている話です。 物語が100年前に移っても、「世界設定がきわめてシビアで暗い」ことは変わらない。 なにしろ革命で倒されるような国ですから、庶民は貧苦に喘ぎ、餓死者病死者ゴロゴロ、それなのに貴族達は遊び半分の勢力争いばっかりやっている、という始末です。 主人公たち銀河騎兵は、上からは「血筋も定かでない野蛮人」と蔑まれ、民衆からは不信と怒りの目で見られます。 そんな中で主人公達は、なおも帝国を維持するために革命派を探り、戦います。 ドツキ漫才しながら。 どんなときもアホ会話を欠かさないんです、こいつら。 銀河騎兵というのは明らかに新撰組をモチーフにしており、主人公の兄貴分であるベレズ副隊長は土方歳三がモデルだと思うのですが、私はこの小説を繰り返し読んだおかげですっかり土方のイメージがお笑い方向に歪みました。 で、この小説は狗狼伝承と比較すれば心情表現が控えめなのですが、それでも登場人物たちの清く正しい心が、情熱が、友情が、伝わってきます。アホな漫才をやればやるほど「覚悟」が浮き彫りになるんです。これはこれで「最後まで彼らを見届けたい」って思います。 どうせ主人公以外はみんな死んじゃうんでしょうが…… この話、5年も中断してるんですよね。 どうにか読めないかな。 長い! まだ本題に入ってないのに日記が長すぎだ! で。 今回の「15×24」です。 原稿用紙3000枚の大作です! 今回2冊でましたが、2冊ではもちろん終わりません。 6冊くらい? もっと? すごく楽しみではあったんですが、さすがにこんな長いのを読むのは尻込みします…… しかも買って中身をみたら、字がびっしり詰まってるし…… こんなん新城カズマとちがうー。 しばらく別の小説読んでました。 本田透「ライトノベルの楽しい書き方4」とか。 なごむー。やっぱりラブコメはこうでないと! でも、意を決して「15×24」読んでみたらやっぱり面白かったですよ。 SF要素が全くない話ですね。 ひとりの少年がネット心中を決意して、親しい友人に向けて遺書のメールを書いていたら、ちょっとしたトラブルで書きかけのメールを送ってしまう。 で、メールを送られた人たちは「なんとか止めなきゃ!」と思って奮闘を開始する。 ところがその時、自殺少年のケータイは少女スリに盗まれており、スリは中身を見てビックリしていて、友人たちは「もっと人手を増やして彼を見つけよう」と思ってメールを片っ端から転送し始める…… 転送に転送を重ねられて作られた「捜索隊」にはいろんな面子がいます。 生まれながらの正義感で、迷わず自殺を止めようとする優しい少年。 ただ自分をアピールして英雄になりたいから捜索のリーダーを買って出る傲慢な少年。 人が死のうとしているのを見過ごしたら後悔する、という理由で動き出す古風な少女。 「ちゃんと動く身体があるのに捨てちまうなんて許せない」という怒りで、自殺を止めようとする身障者の少女。 これまでケンカや犯罪に明け暮れてきて、「良いことをして罪のプラスマイナスをゼロにしたい」と考える荒くれ者。 そしてケータイをもつ少女スリも、いつしか捜索隊に加わって…… 彼らの思惑がぶつかりあって、あっちこっちへ迷走して、なかなか自殺少年は捕まらない。 しかも自殺計画には裏があった。彼を自殺へと導いた奴がいたのだ。そいつは何食わぬ顔で捜索隊に参加しており…… さらにどんどん話が大きくなって、自殺とはまったく別の要素が入ってきます。行方不明のケータイを巡ってホンモノの犯罪者が暗躍し、捜索隊メンバーが拉致されて脅迫を受けるという事態に! こんな感じで、あっちこっちの事件や行動が錯綜して、からまってぶつかりあって、大きな流れになって、どこへ行くんだと…… 捜索隊なるものはメールのやりとりで作られた「友達の友達の友達」の集まりで、お互いほとんど顔を知らない、すれ違ってもわからない、ということがポイントです。 そうですねえ、面白いけど、面白さは「狗狼」「ジェスターズ」とは全く質が違いますね。 「蓬莱学園の犯罪!」のサスペンス性と、「サマー/タイム/トラベラー」の友情と叙情…… この二つを合わせた感じかな。 とにかく、「疲れるけど面白い」。 あと、この小説の凄いところは「もうそろそろ終わるよね?」という状況になって、まだ2冊だけ、半分もいってないこと。 いったい最終的にはどうなってしまうのか。 全宇宙が消滅するのでしょうか。 (それはもう終わった!) |
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